運動と認知症リスクの関係は比較的よく知られています。
一方で、血圧と認知症リスクの関係は、あまり知られていないのではないでしょうか。
ここでは、血圧と認知症リスクの関係について科学的知見を見ていきます。
高血圧と認知症リスクの関係
まずはこちらの研究です。
こちらの研究では、脳小血管病(cerebral small vessel disease:SVD)という「脳微細血管劣化に伴う効率的な脳内微小循環・代謝・ネットワーク維持の困難な状態,及びそれらによる認知・身体機能低下状態」と精神疾患・無気力症候群との関係について調べています。
研究では、合計約450人が被験者となった別の研究を分析した形となりますが、その結果としてSVDが無気力症候群に、そして認知症リスクと関連がある、ということが示されました(うつ病等の精神疾患とは関連がないとのこと)。
研究者は、高血圧や糖尿病によりSVDが引き起こされ、それにより神経ネットワークの損傷が起き、そして認知機能の低下が誘発され、その初期症状として無気力症候群が見られるのではないか、としています。
つまり、高血圧と認知症リスクの関連性が示唆されている、ということです。
低血圧と認知症リスクの関係
一方、こちらで紹介されている研究では低血圧と認知症リスクの関係が触れられています。
記事内では、約2万7千人を対象とした最大約27年間に渡る追跡調査について言及されており、低血圧が認知症の発症を高める可能性が示唆されています。
低血圧が脳に送られる血流の減少につながり、それにより認知機能の低下が誘発されるのだろう、としています。
この話は、高齢者に限らず若年層にもあてはまり、低血圧と認知機能の低下には関連性があることが示されています。
研究者達は予防策として、適切な運動(特に足、ふくらはぎ)により筋肉を鍛えると、血流量を増加させるポンプ機能が強化され、正常な血圧を保てる、としています。
以上のことから、高血圧でも低血圧でも脳の認知機能の観点でネガティブであり、正常な血圧を維持することの重要性がわかります。
そのために、過剰な塩分の摂取、栄養不足、喫煙、過度の飲酒、運動不足、ストレスは避けるよう、日常の中で気を使っていく必要があります。
忙しくストレス過多な現代人にとってみれば、このシンプルなことでさえ行うのは難しい場合も多いでしょうが、やらないで抱えるのは認知症リスクの増大であり、またそれのみならず代償として健康を支払うこととなります。
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