freeeとX-Smartが2020年3月よりAPI連携、具体何が良くなるの?

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クラウド会計システム「freee」と宝印刷㈱のディスクロージャー支援システム(開示書類作成システム)「X-Smart.Advance/Basic」が2020年3月よりAPI連携を開始するようです。
freee使用の会社は、X-SmartにCSVファイルで出力したデータを読み込む、ないしは手動でデータを入力する作業をしていましたが、これが省力化されるようです。
これによって、何が具体的に良くなるのでしょうか?

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ディスクロージャー支援システムの連携これまで

宝印刷㈱は以前より他社会計システムとの連携を進めており、㈱TKCの連結会計システム「eCA-DRIVER」や、㈱ビジネストラストの連結会計システム「BTrex 連結会計」、ISIDの「STRAVIS」、そして連結会計システムの大御所、㈱ディーバの「DivaSystem」との連携が可能でした。
今回はこれに、「freee」が加わるようです。

競合である㈱プロネクサスの「PRONEXUS WORKS」も、上記「eCA-DRIVER」「BTrex 連結会計」「STRAVIS」「DivaSystem」との連携が可能ですが、宝印刷㈱が一歩先んじる形となってようです。
とは言え、ディスクロージャー支援システムの進化は、両者が競い合って開発を続けており、㈱プロネクサスのクラウド会計システム連携は、(おそらく)時間の問題でしょう。
(ただし、「PRONEXUS WORKS」は未だに「Internet Explorer」にしか対応していないなど、全般的に宝印刷㈱に遅れている印象があるのは留意。)

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省力化については若干疑問

なお、これによってどれだけの省力化が図れるのか?は疑問です。

従来、手動でExcelファイルを介して行っていた連携作業が大幅に削減されることによりお客様の業務効率性を飛躍的に高めると共に、ミス発生リスクとなる手作業・Excelの排除による内部統制面の強化も期待できる機能となっております。

IPO準備企業や上場企業の開示書類作成業務を自動で効率化 -freee、宝印刷と会計データAPI連携を開始-

ここの部分は確かにそうだとは思うのですが、出力したCSVファイルを所定のフォーマットにはめて開示システムに読み込ませる、ここの部分の作業は(所定のフォーマットが作りこまれていれば)10分程度で終えられます。
そのため、本連携は既にディスクロージャー体制を作りこんでしまった企業には、ほとんど刺さらないものなのでは、と考えます。
また、開示書類の作成業務で大変なのは、会計システムと開示システムの繋ぎこみのメンテナンスで、これは四半期と年度末で開示科目が異なること、その時々の業績の状況で開示しなければならない開示科目が変更になることが原因です。
ここの部分のメンテナンスのやりやすさが、どこまでカバーされているのか?が重要かと考えます。
繋ぎこみ部分のフォーマットを作りこむと、このメンテナンスはExcel上でやるのがイージーかつリーズナブルで、かつ可視化も簡単なため、古の開示戦士にしてみると却って使いづらいシステムになる可能性があります。
つまり「省力化」だけにフォーカスすると、そこまでのアップデートにはならない、というのが私の意見です。

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では、どういう企業にとって有用なの?

別の観点で見てみます。
「freee」を使用している会社はベンチャー企業が多いでしょう。
そしてベンチャー企業にはディスクロージャー領域で知見が豊富な社員がいる例は稀でしょう。
宝印刷㈱は自社グループで開示支援のコンサルティング部隊も抱えているため、繋ぎこみ部分の初期コンサルと、メンテナンスもセットで提供し業容を拡大。
IPOした直後のベンチャー企業にとっては、社内リソースも経験値も限られた状態の中で、(お金はかかるけれど)イージーに開示業務が対応ができる、という便益を享受できる。
このような絵姿が見えてきます。

なお、「freee」の競合である、クラウド会計システムのマネーフォワードもIPO準備企業向けの「マネーフォワード クラウド会計Plus」を提供開始しています。

「マネーフォワード クラウド会計Plus」は、IPO準備・中堅企業向けに特化した会計ソフトで、仕訳承認機能や仕訳更新履歴機能などの内部統制機能を搭載している。今年の秋には、電子承認をはじめとする内部統制を保ちながら、領収書などの証憑を本サービスに添付することで、Web上で証憑確認などの監査手続きを行うことが可能になる。料金は、月額29,800円(税抜)から。料金はアカウント数に応じて変わる。

マネーフォワード、IPO準備・中堅企業向けのクラウド会計ソフトをリリース

「マネーフォワード クラウド会計Plus」でも開示システムとの連携が進み、またクラウド上で動く連結会計システムが増えれば、アナログな領域が多く、古の開示戦士の手でしか改善が進まなかった開示業務の効率化が一気に進むかもしれません。
この領域・業界での更なる進化に期待です。

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