先行きが不透明な状況が続いています。
将来のシナリオを推定する前提として、まず、新型コロナウイルスの感染拡大はいつまで続くのか?を考える必要があると考えました。
それについて考察すると共に、考察の過程ででてきた仮説を解説します。
ロックダウンはおそらく効果が無いようです。
感染の急拡大が進む期間は1月半ほど
次の対数グラフを見て下さい。
これは、感染の多い国をいくつかピックアップして、感染者数の推移を対数グラフで表現したものです。
(イタリア、フランス、ドイツ、イギリス、韓国、オーストラリア、アメリカ、カナダ)
(比較として日本も入れている)
こちらにある通り、多くの国において、1ヶ月から2ヶ月ほどで感染の急拡大が落ち着いています。
もう一度書きますが、対数グラフの動き方を見ている限り、感染が急拡大するのは、せいぜいが1月半程度なのです。
日本でも換算の急拡大がはじまったのが2020年2月26日頃からなので、統計的なサイクルで考えるならば、すでに感染のピークを越えて、終焉に向かっている可能性があります。
潜伏期間の様子見2週間、継続して発生する感染者対応で+αで考えると、日本ではGW明けには、かなり収束した状況になっているのでは?と希望観測的に考えます。
5月はGWに入るため、多くの働く方にとって、休みやすい環境に入ることと、気温湿度が共に上昇していき、ウイルスにとって生存しにくい環境に入ることも指摘できます。
このままなんとか、感染の拡大が落ち着いてくれると良いのですが。
ロックダウンはコロナウイルスの感染拡大防止には効果が無い
感染拡大封じ込めのためにロックダウンを行っている国があります。
部分的な封鎖や、緊急事態宣言に留めている国もあります。
その効果の程はどうなのでしょうか?
次のグラフを見て下さい。
この対数グラフは次の視点での比較を行ったものです。
- ロックダウンを行ったイタリアとスイス
- 地域封鎖にとどめたアメリカ
- 何もしていないスウェーデンとベラルーシ
- 比較として日本
対数グラフを見る限り、もちろん国によって動き方に差異はあるにせよ、ロックダウンを行った国と、行っていない国、部分的な地域封鎖に留めた国で大きな差異がありません。
疫学的な観点ではなく、統計学的な観点において、どうやらロックダウンや地域封鎖は、感染拡大防止の効果が無いようなのです。
緊急事態宣言を行った日本の推移は不思議な感じです。
なお、死者数の推移としては下記の通りになります。
こちらのグラフからも、新型コロナウイルスの影響は(感染という観点のみで)落ち着きを見せ始めていることがわかると共に、ロックダウンや地域封鎖を行っていようが、いまいが、差異が無い、ということがわかります。
日本の推移が不思議な感じ
日本は何故、感染が急拡大しつつも、他国に比べてそのペースを抑制できているのでしょうか?
これは、現時点において、説明をするだけのデータが揃っていません。
仮説として考えられるのは、次のようなものです。
- そもそもとして接触が少ない文化(握手やハグが無い)
- マスクを当たり前に着用する文化
- 手洗いうがい、と言われるように幼少期より衛生面での教育が行われている
- 他国に比べて規律正しいから外出自粛に全体として大人しく従っている可能性
- PCR検査の数が少ないだけ(別にこれは悪くはない)
将来的に新たな感染症脅威が訪れた時のためにも、何故、日本は感染拡大のペースが少ないのか、医学や疫学的な観点だけでなく、行動的観点からも解明が必要でしょうね。
とりあえず、上述の通り、GWを乗り越えれば感染急拡大は落ち着くはずなので、ここまで来たのならば後少々、外出を自粛し、封じ込め切るのが良作でしょう。
(私個人の考えとしては、当たり前の衛生対応、つまり無駄に人や物に接触しない、マスク着用、手洗いうがいをしていれば問題なく、外出自粛は過剰対応、という前提に立っている。)
(参考)対数グラフについて
上で掲載したグラフは、対数グラフと呼びます。
対数グラフとは、グラフの軸を実数ベースのスケールではなく対数スケールで表現したグラフのことです。
数字の範囲が非常に広いデータを取り扱えます。
感染症の観点では、次の効果があります。
- 感染症は指数関数的に拡大していくため、実態に即している
- 感染拡大の推移(変化)を直線的な変化で表現できるため、シナリオとしてどのような状況にあるのかがわかりやすい
- 状況が似ている国や異なる国が直感的にわかるので、参考にする国を抽出しやすい
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