【今日のフェルミ推定】インフルエンザの予防接種はコスパが良いか?

フェルミ推定・ロジカルシンキング

今回の「今日のフェルミ推定」はインフルエンザの予防接種のコスパ試算です。
個人の視点と、企業の視点(会社で補助すべきか否か?)のそれぞれで考えてみます。
それでは、見ていきましょう。

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(参考)フェルミ推定とは

フェルミ推定をご存じない方は、別で検索いただくか、下記記事も参考にしてみてください。

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インフルエンザの予防接種の状況

参考までですが、インフルエンザの予防接種を受ける人は4割超ほどです。

インフルエンザの予防接種を受けたか受けていないかのアンケート
受けた・受ける予定 42%
受ける予定はない 58%
インフルエンザの予防接種に関するアンケート n=2,000 2019年

予防接種を受けない人は、その理由の3番目(事実上2位タイ)に「費用が高い」「費用が高そう」をあげており、27%ほどです。

インフルエンザの予防接種を受ける予定はない人の、その理由
効果があるとは限らない	36%
かかったことが無い	28%
費用が高い・高そう	27%
面倒	27%
注射が嫌い	16%
時間が無い	15%
副作用が不安	12%
その他	8%
インフルエンザの予防接種に関するアンケート n=2,000 2019年
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お題:インフルエンザの予防接種はコスパが良いか?

あなたは、インフルエンザの予防接種を受けようか否かを迷っている状況です。

今までかかったことがあるない関係なく、とりあえず時間的にも金銭的にも問題が無いとします。

つまり、純粋にインフルエンザの予防接種を受けるためにかかるコストと、万が一かかった時に失う時間との比較で考えてみて下さい。

シンキングタイム

試算

それでは、試算していきます。

感染率の推測と、かかってしまった場合に失う時間の見積もりがポイントでしょう。
感染率はざっくり10%、失う時間は3日×16時間の合計48時間とします。
時間価値は日本人の平均給与から逆算して2,000円を設定します(これは他の推定でも使用している)。

計算式は次の通りになります。

インフルエンザに感染した場合の損失
 = 感染率 × 失う時間 × 時間価値
 = 10% × 48時間(3日×16時間) × 2,000円
 = 9,600円

予防接種にかかる費用は、直接の費用だけが注目されますが、当然、受診にかかる時間についても加算すべきでしょう。
計算式は次の通りになります。

予防接種にかかる費用
 = 直接の費用 + 受診にかかる時間 × 時間価値
 = 4,000円 + 2時間 × 2,000円
 = 8,000円

比較すると、9,600円 > 8,000円なので、インフルエンザにかかってしまった場合の損失の方が大きい、つまり予防接種をした方がよい、と考えられます。
少なくとも損はしなさそうですので、感染して苦しむ際の苦痛損失を考慮すると、むしろ安いと言ってよいのではないでしょうか。

なお、実際の感染率は約9.7%のようです。
これは、厚生労働省の資料を元に、「人口 ÷ 患者数」の計算式で算出しています。
加えて、実際の直接費用は3,631円とのことです。

補足すると、単純に感染率で考えるのではなく、実際には感染率と発症率で考えなければ正確性に欠けます。
感染率に関しては、国立感染症研究所の資料ではざっくり30%ほど、発症率は日本臨床内科医会の資料ではざっくり40%ほどとなっています。
つまり、30%×40%で、上記で言う「感染率」で換算すると約12%となり、少なくともフェルミ推定で考えるベースの数字としては納得感のある数値と言えます。

見方を変えてみる:企業は予防接種の補助をすべきか?

上記の試算は難易度が低かったと思います。
これでは面白くないですね。

見方を変えて、企業の総務・人事の担当者の立場で考えてみましょう。
会社で、予防接種の補助をすべきか否かです。

結論を言うと、予防接種費用の補助はコスパが良いのでやった方が良い、です。

予防接種の効果には「有効率」という考え方があります。
こちらはここで解説すると長くなってしまうので、別で検索ください。
ようは、予防接種をしても、必ずしも効果があるわけではない、ということです。

この有効率の考え方と、上述の感染率、発症率を含めて、従業員数100人の企業でシミュレーションをしてみます。
会社内での接種率ごとに、発症者数が下記の表のように変化していきます。

前提

  • 社員数 100人
  • 有効率 70.0% 諸研究より
  • 感染率 30.0% 国立感染症研究所より
  • 発症率 40.0% 日本臨床内科医会より
会社内での予防接種率ごとの感染者数の変化
接種率が10%から70%に向上すると、感染者が約5人減る

これをベースに費用対効果を算出します。

接種率目標を70%とすると、約5人、発症者を減らせる計算になります。
補助額を3,631円で設定します。
感染した場合、従業員を1週間休ませなければいけないので、5営業日分の労働力ロスです。

会社補助負担額
 = 100人 × 70% × 3,631円
 = 254,170円

労働力ロス額
 = 5.1人 × 8時間 × 5営業日 × 人件費単価2,000円
 = 408,000円

シミュレーションの結果、明らかに会社で予防接種の負担額を補助した方が良い、ということになります。

労働力ロスが発生したとしても、休ませている間は給料が発生しないから、いる人で何とかカバーすれば実額損失は無い、という考えでも良いのですが。
現代の企業経営者に対する目線で考えれば、明らかなブラック思考ですよね。

とりあえず、個人レベルでも、企業レベルでも、インフルエンザの予防接種はコスパが良い、ということでまとめさせていただきます。

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