【今日のフェルミ推定】コーヒー店の事業計画を作ってみよう

フェルミ推定・ロジカルシンキング

脱サラ・独立開業を、一度は夢見た、もしくは目標としている人は多いのではないでしょうか。
ここでは、独立開業で参入しやすい飲食店業態、コーヒー店をサンプルに、事業計画の基礎を作ってみましょう。
コーヒー店を開業したら、どれくらいの売上を見込めるのでしょうか?

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お題:コーヒー店を開業したら、どれくらいの売上が見込めるか?

条件としては、次の通りです。

  • 半住宅街、半ビジネス街のエリア
  • 駅から歩いて3分~5分ほどのまあまあ人通りがある路面店
  • 15坪~25坪程度で、席数も20席未満の小規模な店舗
  • 業態は夕方まではコーヒー店で軽食も提供、夜はバー形式

それでは、考えてみて下さい。

シンキングタイム
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試算:事業計画では条件を細かく設定しないといけない

飲食店の売上高の構成要素

飲食店において売上高の構成要素は何か?
それは次の公式であらわせます。

売上高 = 客数 × 客単価

これをベースに、条件を細かくわけて考えていきます。
具体的には時間帯と、平日・土日祝日の区分、繁閑についてです。

コーヒー店がどのように営業しているかをまずは想像してみてください。

時間帯

まずは時間帯で考えます。

朝の少数ながら朝食需要とテイクアウトのコーヒー。
昼はランチ需要とテイクアウトのコーヒー。
午後はちらほらとスイーツ需要と、仕事スペースを探すビジネスマン利用。
そして夜はバー需要。

それぞれ利用形態に併せて、利用人数や客単価が異なってくるでしょう。

平日・土日祝日の区分

同様に、平日・土日祝日の区分についても考えます。

半ビジネス街というエリアだと、土日祝日の朝と昼は、基本的に客の入りを期待できません。
場合によっては、終日、全く入らない日もあってもおかしくないでしょう。

事業計画を考える上では、これらも見込まなければいけません。

繁閑

繁閑もそうで、飲食店というものは、1年を通して同じような売上高で推移するものではありません。

冬はホットコーヒー、夏はアイスコーヒー需要があるでしょうが、それ以外の月ではあまりコーヒーの販売が伸びない可能性があります。
逆に季節要因を利用するという観点ならば、コーヒーギフトを用意すれば、12月の売上の足しになるかもしれません。

バーも同様で、2月や8月のような時期は基本的に厳しい数字になるはずです。
季節要因で考えるならば、12月はギフト需要同様、バー業態の売上も伸びるでしょう。
カップル向けに雰囲気を整えてあげると効果的でしょうね。

事業計画(売上計画)を考えてみる

これらの要因のパラメータをそれぞれ設定し事業計画(売上計画)を計算すると、例えば次のようになります。

事業計画

上記は、提供する商品の内容や単価設定、立地・客層に応じて大きく変動していきます。

結構複雑に見えるかもしれませんが、ビジネスをやる上では最低限、このレベルでシミュレーションをしなければなりません。
これでも、最初期に検討する、本当に粗々なものです。
変数がいくつかあるので、その条件設定を見誤れば、せっかく意気込んで独立開業したにもかかわらず、失敗で終わりかねません。

より正確に表現するならば、飲食店は3年以内に7割が廃業します。
それくらい厳しい世界なのです。

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業績全体としてはどうなるだろう

今度は、上で作った売上計画を元に損益計算書を簡単にシミュレーションしてみます。
損益計算書とは、事業における通信簿(成績表)みたいなものです。

損益計算書を考えるにあたり、費用の構成要素も考えなければなりません。
飲食店においては、FLR(フード:原価率、レイバー:人件費率、レント:家賃・減価償却費率)という3つの費用が大きな構成要素として存在します。

飲食店における原価率は20%~30%位で、コーヒーの原価率は25%位、フードやお酒も提供するなら平均で30%位になるでしょう。
人件費率と家賃・減価償却費率も20%~30%で設定されるのが一般的です。
(減価償却費とは、内装や機器類の費用を月単位で按分したものです。)
加えて、その他の諸経費として10%程度がかかります。

これらを組み込んで損益計算書を作ってみると、例えば次のようになります。
(借入金は500万円で期限一括の利率2%としました。)

損益計算書
売上高		 18,913,500 
売上原価	30%	 5,674,050 
売上総利益		 13,239,450 
		
人件費	25%	 4,728,375 
地代家賃	15%	 2,837,025 
減価償却費	10%	 1,891,350 
その他諸経費	10%	 1,891,350 
販管費合計		 11,348,100 
営業利益		 1,891,350 
		
支払利息		100,000
経常利益		1,791,350
		
法人税等		537,405
純利益		1,253,945

これを見て、どう感じましたか?

独立開業は覚悟が必要だね

オーナーの取り分

独立開業をするからには、やはり「お金持ちになりたい!」という気持ちが大なり小なりあるのではないでしょうか?

仮にオーナーであるあなたが一人で営業していても得られるお金は、人件費部分の約472万円と純利益の約125万円です。
合計で600万円にも届きません。
営業を少しでも楽しようと、アルバイトを雇えば、オーナーの取り分はもっと減ります。
小さなコーヒー店を1店舗開業するならば、安全性・安定性含め、どこかの会社で正社員として働いていた方が、割が良いかもしれません。
儲けようと思うならば、何店舗かお店を出して、人を使いながら、うまく切り盛りする必要があるでしょう。

実際のお金の動きに関しても注意が必要です。
借入の返済分も含めて考えれば、手元に残る会社としてのお金は1年で100万円~200万円です。
精々が1月分の売上高です。
今現在のコロナの影響を考えてみて下さい。
外出自粛が続いたらどうなるでしょう?
これまで汗水流して、何年もかけて稼いだお金が、たったの数ヶ月で溶けて消えてしまう
のです。

独立開業には、かなりの覚悟が必要

ここまで見て考えれば、独立開業にはかなりの覚悟が無ければやれない、ということがわかるでしょう。
そして、やりたいことが好きでないと続けられない、ということも何となくわかるかと思います。
中途半端な覚悟ならば、絶対にやらない方が良いでしょう。

しかし逆に考えれば、覚悟さえあるならば、うまくやれるとも考えられます。
どういうことか?と言うと、まわりのお店の多くは、何かしらのチェーン店で、そこで働いている人たちは雇われている人たちです。
つまり、ライバルのほとんどは、中途半端な覚悟しか持っていない人たちのはずです(当然、正社員として働いていても、本気で取り組んでいて優秀な人はいますが)。

「そんな人たちに、私が負けるはずがない!」
飲食店は結局のところ、店長の力量で業績が決まりますので、本気で事業に取り組めるのであれば、勝算は十分に見込めるはずです。
(実際、チェーン店で働いていたトップクラスの店長が独立開業して、他のお店を押しのけて大繁盛しているケースは多いですね。)

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