新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための株主総会運営

株主総会

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会も難しい。
とは言え、延期もできない、継続会もやりたくない。
これから株主総会を控える会社では、このような悩みを持っているのではないでしょうか。
ここでは、感染拡大を防止するための株主総会運営に関して解説していきます。

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招集通知、HPなどで来場を控えるよう呼びかける

まず第一に、シンプルに来場を控えるように呼びかけましょう。

6月株主総会の会社は、まだ招集通知を印刷していないか、まだ印刷途中では無いかと思います。
印刷していないのであれば、招集通知に来場を控える旨を記載しましょう。
既に印刷しているけれども、ペラ1枚、同封が可能ならば、上記旨を記載したペーパーを印刷し、送付するようにしましょう。

加えて、IRのHPや、ニュースリリースなどで、株主に来場を控えることを呼びかけましょう。

会場を設定しつつも、感染拡大防止のため、来場を控えることを呼びかけることは、経産省からも容認されています。
その際には、事前の丁寧な周知が求められていますので、上記の通り対応しましょう。

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会場規模を縮小し、事前登録制や入場制限を設ける

次に、会場の規模を縮小します。

例年と同規模の会場を用意していても、ソーシャルディスタンスを保つための席配置をとると、入場可能人数は半分から3分の1位に減ります。
併せて、空気がこもらないよう、サーキュレーターを設置するなど、換気にも努めるのも3密を無くすことにもつながり有効です。
例年よりも、入場可能人数が減ることを、招集通知やHPで周知しましょう。

その上で、事前登録制や入場制限を設けることも併せて周知します。

このことも、株主の平等性を保つこと、参加機会を不公正に奪わないことを前提に、経産省から容認されています。

なお、ソーシャルディスタンスを保つための会場面積の計算方法は次の記事を参照ください。

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発熱や咳などの症状がある株主の入場を断る

体調がすぐれない株主の方の入場を断ることも対応しましょう。

入り口にサーモグラフィーを設置、また医師も会場に同席いただくように対応します。
(産業医に事前に打診、そうでなければ近隣の医師と契約)

一定以上の熱がある株主の方は、医師の問診を受けるよう誘導します。
(5月6月ですと、外が熱いことも想定されるので、37.5度以上が目安)
その上で、新型コロナウイルスの感染疑いがある場合は、入場を断りましょう。

株主の安全を守るため、これらの措置は可能であり、かつ適正と言えます。
もちろん、このことも事前に招集通知やHPで周知します。

当たり前ですが、消毒液やマスクなどは会場に準備しておきましょう。
スタッフもマスク着用です。
(ごくまれに、スタッフがマスク着用していると、何故か怒り出す方がでてきますが、当然、断固拒否です。)

株主総会の時間を短縮することを明言する

総会の時間も短縮しましょう。

従前、事業報告で30分や1時間といった、丁寧な説明の時間を設ける会社は多かったかと思います。
ただ、事前のIR資料の公表などで対応すれば、一定、これらの説明はカット・短縮できるはずです。

また、事前のコメント受付を行い、それらに対してHP上で回答することを対応していれば、わざわざ当日来場して質問を行おうとする株主も、来場を控える十分な理由になるはずです。

例年に比べて総会時間を短くすることと、資料の共有、コメントの事前受付に対して、招集通知やHPで当然に周知しましょう。

お土産の廃止する

更に念押しでお土産の廃止も断行しましょう。

複雑な気持ちではありますが、お土産が目当てで来場される株主の方は多数存在します。
お土産を廃止するだけで、来場抑制効果を期待できます。

もちろん、クレームなども想定されますが、株主の安全を保つこと、そして本質的な質疑が行われる株主総会を運営するためにも、お土産の廃止は十分に検討に値するはずです。

詳細はこちらの記事を参照ください。

当日、延会を望む動議が出たらどうする?

総会当日、感染拡大防止のために延会の動議がでることも想定されます。
(なぜ会場に来た?という疑問を抱いても、何も解決しません。)

この場合、通常の手続的動議と同様、粛々と否決するのが基本方針となります。

ただ、それですと株主からの反発も当然に受けるでしょう。
ですので、延会を実施しない理由、今回で完結させる旨を丁寧にする必要があります。

理由としては、下記の理由をあげれば十分であると考えられます。

  • 純粋に手続き増、つまりコスト増になり、会社にとっても株主にとっても望ましくない
  • 事前の資料共有、コメントの受付と回答対応を行っており、全ての株主に公正かつ公平にコミュニケーションをとっていること
  • 仮に延会の理由が感染拡大であるならば、いつに延会を実施するのが最適なのか不透明であること

そのために取り組むべきこと

そして、上記のことを行う上で大切なことがあります。
既に記載をしている部分もありますが。

  • 事前のIR資料の充実
  • リアルタイムライブ配信を用意する
  • コメントの事前受付と、質問・コメントに対する回答の公開

いくつかの会社のIR資料(決算説明会資料など)を見ていると、数字だけや図表だけで、そのスライドで何を具体的に言いたいのかが記載されていない場合が多いです。
そのため、当日口頭での補足が必要、という状況が多いかと思います。

ただ、プレゼンテーションの基本は、ワンスライドワンメッセージです。
スライドごとに、明確に「伝えたいこと」を文章で端的に記載しましょう。

仮に株主総会に参加しなかったり、配信動画を視聴しなくても、資料さえ見れば、当日どのような発表があったのかがわかるようにするのです。

技術的にも、コスト的にも、もう難しくない時代ですので、ライブ配信には対応すべきでしょう。
(録画配信でないと、編集できないため、配信したくない、という喋り下手な社長もいらっしゃるでしょうが、そのような方が社長であることは、別の意味で問題です。)

また、現在の日本の株主総会の意義は、良くも悪くも質疑応答にあります。
そのため、事前の質問受付を行い、それに対する回答と併せてHP上で公開すれば、株主総会の意義を概ねデジタル上で実現できます。
(解決できないのは、感情面だけで、これはやっかいなのですが、、、。)

日本の株式会社の多くが、決議をとるまでもなく、その決議の結果が決まっている場合がほとんどです。
これは良い悪いの話ではなく、現実としてそうなっている、という話です。
であるならば、それに対応した株主総会の運営を行うのが、論理的には正しいと言えます。

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