ハイブリッド参加型バーチャル株主総会の開催事例

株主総会

バーチャル株主総会の開催にあたっては、バーチャルオンリー株主総会は会社法的に開催ができず、ハイブリッド型の開催のみが選択肢となります。
ハイブリッド型には、会社法上の出席とならない参加型と、会社法上の出席となる出席型があります。
ここでは、ハイブリッド参加型バーチャル株主総会の開催に関して、株主への案内の方法など、事例を見ていきます。

バーチャル株主総会についての全体像はこちらの記事を、

バーチャルオンリー株主総会の開催がなぜできないのか?はこちらの記事をご参照ください。

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㈱ブイキューブの事例

参加型のハイブリッド型バーチャル株主総会を開催した代表企業例は、WEB会議システムの㈱ブイキューブです。
㈱ブイキューブは、12月決算で、2020年3月25日(水)に定時株主総会が開催されました。
当日は、リアル株主総会に約10名、バーチャル参加が約100名という状況になったとのことです。

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招集通知上の案内

㈱ブイキューブは2015年より、ライブ配信を行っており、招集通知上で下記のように案内を出していました。

【お願い】
当日ご出席の際は、お手数ながら同封の議決権行使書用紙を会場受付にご提出ください。 当日の模様を、当社の「V-CUBE セミナー」でライブ配信いたします。詳しくは次ページをご参照ください。

【お知らせ】
(略)
(3) 今般の新型コロナウイルスの流行に伴い、当日は、当社役職員及び係員に対し、マスクの着用その他感染拡大予防のための措置を講じる場合がございます。予めご了承のほどお願い申し上げます。

第20期定時株主総会 ライブ配信のご案内

第20期定時株主総会の模様を、当社の「V-CUBE セミナー」でライブ配信いたします。詳細につきましては、当社ウェブサイトIR情報ページをご覧ください。
https://ir.vcube.com/jp/

【ご注意事項】
・会場後方からの撮影とし、可能な範囲において、ご出席株主様の容姿が撮影されないように配慮いたしますが、会場都合等により撮影されてしまう場合がございます。ご出席いただける場合はあらかじめご了承をお願い申しあげます。
・ご使用の機器やネットワーク環境によってはご視聴いただけない場合がございます。 「V-CUBE セミナー」の推奨動作環境ページのご確認をお願い申しあげます。
https://jp.vcube.com/support/requirements/req_seminar.html
・オンデマンド配信では、ご出席株主様の肖像権・プライバシー等に配慮し、ご質問部分は割愛させていただきます。あらかじめご了承をお願い申しあげます。
・当社ウェブサイトやライブ配信、オンデマンド配信をご視聴いただくための通信料につきましては、株主様にてご負担くださいますようお願い申しあげます。
・万一、何らかの事情により配信を行わない場合は、当社ウェブサイトIR情報ページ(https://ir.vcube.com/jp/)にてお知らせいたします。

「㈱ブイキューブ 第20期定時株主総会招集ご通知」より

この招集通知の通り、下記の点に関して端的かつ丁寧に案内が発信されていました。

  • ライブ配信を行う旨
  • 感染拡大の防止措置についての発信
  • 肖像権・プライバシー等に対する配慮と確認
  • 視聴環境に関する案内
  • 視聴にかかる費用負担に関する注意喚起
  • 情報の発信場所

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会を開催する上では、円滑に開催するための環境整備、株主のインターネット活用、肖像権等への配慮、が留意事項となりますので、これらに配慮した形になります。

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(重要)追加の情報発信

さらに、招集通知とは別にバーチャル株主総会実施に関する案内を出しています。

案内の通り、時代の要請にあわせて試験的導入という位置づけにしています。

ハイブリッド型バーチャル株主総会の実現のためのインフラ提供を目指し、
(中略)
実現に向けた新機能の試験運用を実施することといたしましたので、お知らせいたします。

「㈱ブイキューブ 第20期定時株主総会におけるハイブリッド型バーチャル株主総会の実現に向けた新機能の試験的導入に関するお知らせ」より

この案内の中では、下記のメッセージを発信しています。
質問に関しては、株主の権利である「質問」ではなく、「コメント」という扱いを明確にしています。

  • ライブ配信で株主総会を視聴できる
  • 会社法上の出席とはならない旨の案内
  • 併せて事前に議決権を行使するよう促し
  • チャット機能で「コメント」ができる
  • 「コメント」に対する回答の方針の明確化

会社法上の取扱いに関する注意喚起

会社法上の取扱いに関しては
「本試験運用を通じ本総会に参加いただく株主の皆様は、会社法上、本総会にご出席いただいた株主様(以下「ご出席株主様」といいます。)として扱われるわけではありません。」
と、会社法上出席とならないことを明言しています。

議決権の行使に関する注意喚起

そのため、議決権に関して
「『第20期定時株主総会招集ご通知』に記載の方法(事前の議決権行使書面又はインターネット投票による投票)により、必ず事前に議決権を行使いただきますようお願い申し上げます。」
という形で、事前の行使を行うように促しています。

「コメント」の取扱いに関する案内

「コメント」に対しては
「議長その他の当社役員に対し、ご質問(ご出席株主様による質問権の行使としてのご質問と区別して、以下「コメント」といいます。)をいただくことができます。」
とした上で、
「当社の判断において実務上可能な限りのご回答は申し上げる予定であるものの、当社にはご回答を申し上げる会社法上の義務はないものと整理されます。」
とし、義務は無いものの、現実的な範囲内で回答するという会社の方針を明確化しています。

これらの追加の情報発信は、株主に対する丁寧な情報発信と言えますし、また何か問題が起きた際のリスクヘッジともなりますので、ハイブリッド参加型バーチャル株主総会を実施する上での参考となるでしょう。

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会に対する所感

ハイブリッド参加型バーチャル株主総会は、ライブ配信とコメントを受け付ける機能さえ充足されているのならば、会社法上、障害がなく開催できるバーチャル株主総会の形式です。

現実の株主総会では、事実上、決議の結果が決まっており、直接経営者たちの声を聞ける、会社-株主間でコミュニケーションをとれる場となっているのが実態です。

となれば、無理に会社法上のリスクをおかしてまで出席型の形式をとる必要性が低いので、参加型はバーチャル株主総会を開催する上での、ローコストかつローリスクの現実的な選択肢と言えるでしょう。

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