株主総会議事がスムーズに進行できれば良いのですが、業績や社会状況に応じて必ずしもスムーズに終わらないこともあります。
株主総会議事進行のシナリオは多くありますが、動議や不規則発言が発生した場合のイレギュラー対応について、シナリオを示します。
当たり前ですが、会社側は適法に、公正に、公平に議事進行を行っていることが前提です。
株主総会の議事進行シナリオ(一括上程方式)については、こちらの記事も参照ください。
今の株主総会は、8割強が一括上程方式で進行されています。
基本方針
まず基本方針として、何かしらの対応を要する時はすべて事務局に確認することに注意しましょう。
弁護士の同席をいただいている場合が多いかと思いますが、手続きに瑕疵が無いよう、進行しなければなりません。
また、動議か意見かが不明な場合も多いのが実際です。
そのため、基本的には、なるべく意見とするように誘導することを方針としましょう。
動議か意見か不明な発言の場合①(なるべく意見とするように誘導)
議長「ただいまのご発言は、ご意見ということでよろしいでしょうか?」
動議か意見か不明な発言の場合②(動議の趣旨である可能性が高い場合)
議長「ただいまのご発言は、ご意見でしょうか、それとも動議としてご提出でしょうか。」
質疑中に動議が提出された場合
議長「ただいま、株主様より、・・・という議案修正の動議が提出されました。つきましては、後ほど、原案の採決の際におはかりさせていただきます。」
修正動議が提出された場合には修正動議が提出された場合のシナリオへ
修正動議が提出された場合のシナリオ:会社原案を先にはかる
第〇号議案採決(修正動議あり)
議長「それでは「第〇号議案 〇〇〇〇〇の件」を採決します。先ほど、・・・するように議案修正の動議が提出されております。議長といたしましては、「第〇号議案 〇〇〇〇〇の件」について、原案である会社提案から先におはかりいたしたいと存じますが、この方法につき、ご賛成の株主さまは拍手をお願いします。」
株主様(拍手)
議長「ありがとうございます。」
(役員着席のままでお辞儀)
議長「過半数のご賛成を頂きましたので、原案から先におはかりいたします。それでは原案につきまして、ご賛成の株主様は、拍手をお願いします。」
株主様(拍手)
議長「ありがとうございます。」
(役員着席のままでお辞儀)
議長「事前に提出いただいております議決権行使書を含め、過半数の賛成により、本案は原案どおり承認可決されました。従いまして、先ほどの修正提案は否決されたものと取扱わせていただきます。」
手続的動議への対応シナリオ:粛々と進行する
株主様「株主番号○○番の○○です。ただ今までの議長の議事運営は、公平さを欠いているので、議長不信任の動議を提出します。」
議長「ただ今、株主様より議長不信任動議が提出されました。私は、定款の定めにより議長を務め、その責を全うすべく公正に議事を運営しており、ご指摘のようなことは無いものと考えており、このまま議長をつとめさせていただきたいと考えております。
私がこのまま議長をつとめることにご賛成の株主様は、拍手をお願いいたします。」
株主様(拍手)
議長「ありがとうございます。」
(役員着席のままでお辞儀)
議長「過半数のご賛成を頂きましたので、議長不信任の動議は否決されたものと認め、私がこのまま議長をつとめさせていただきます。」
株主様(拍手)
不規則発言への対応シナリオ:指示をし従わなければ退場いただく
質問時間以外の発言の場合
議長「議事進行の妨げとなりますので、ご発言はお控えいただきますようお願いします。」
(上記の説明をしても静かにならない場合)
議長「○○色の服を着ている男性(女性)の株主様。会の進行の妨げになりますのでご静粛に願います。ご静粛にしていただけない場合はご退場いただくこともございますのでご了承ください。」
(上記の説明をしても静かにならない場合、議長指示に従わないときが発生してから退場手順までの対応に移行)
議長「失礼いたしました。それでは議事を進めさせていただきます。」
株主様に大きな声で騒いでいる方がいる場合の対応
議長「大変恐縮ではございますが、こちらで指名させていただいた方以外のご発言はお控えいただけますでしょうか」
(上記の説明をしても静かにならない場合)
議長「○○色の服を着ている男性(女性)の株主様。会の進行の妨げになりますのでご静粛に願います。ご静粛にしていただけない場合はご退場いただくこともございますのでご了承ください。」
(上記の説明をしても静かにならない場合、議長指示に従わないときが発生してから退場手順までの対応に移行)
議長「失礼いたしました。それでは議事を進めさせていただきます。」
議長指示に従わない状況が発生してから退場手順までの対応
議長の対応フロー
下記行間は、該当株主が議長の指示に従わず、不規則発言を継続した場合を想定しています。
議長「議長の指示に従ってください。」
議長「ご静粛にお願いします。」
議長「議長の指示に従わないときは、退場願う場合もあります。」
議長「再三警告しましたが、これ以上指示に従わない場合は退場していただきます。」
(議長一度事務局の席に相談に行く)
議長「前から○列目の、○色のシャツの方、さきほどご注意させていただきましたとおり、会の進行の妨げになりますのでご退場いただきます。」(周囲にわかるように、特定する)
議長「会場係は○色のシャツの方を会場の外へ案内してください。」
議長が退場指示を出した場合の事務局の対応フロー
議長から、株主のご案内の指示が出たら、下記の手順で退場していただきます。
- 事務局から会場警備担当者に退場決定の連絡を行なう
- 会場警備担当者から警備員に依頼を出し株主様を会場出口へ誘導(弁護士や法務担当などへ連絡)
- 会場警備担当者と警備員は該当株主様にお帰りいただく
- (警察を呼んでいる場合は)弁護士や法務担当は同時に会場内に着席をしている警察へも会場出口に移動していただく
- 対応困難になった場合は警察へ対応を依頼する(弁護士や法務担当判断)
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