ドラッグストア 販売額統計(2020年4月)

統計・経済

経産省「商業動態統計」にて、2020年4月のドラッグストアの販売額統計が更新されました。
その他業界とは異なり、大きく数字を伸ばしています。
また、地域のインフラとしても機能している面が見えてきました。

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ドラッグストアの販売額概観

2020年4月のドラッグストアの商品販売額は6,161億円と前年同月比+10.4%の着地となりました。

	商品販売額	前年同月比
19_04	557,982	3.5
19_05	570,645	6.0
19_06	575,472	5.6
19_07	587,798	2.0
19_08	588,087	6.4
19_09	636,956	21.8
19_10	541,989	0.2
19_11	546,720	3.4
19_12	619,483	4.4
20_01	568,315	6.3
20_02	606,416	19.1
20_03	609,702	7.6
20_04	616,165	10.4
ドラッグストア販売額全体 経産省「商業動態統計」より

グラフを見るとわかるように2回のスパイクがあります。

2019年9月は、消費税増税前の駆け込み需要による販売の伸びです。
前年同月比L21.8%なので、ものすごい数字ですね。

2回目のスパイクは2020年2月で、前年同月比+19.1%となっています。
この要因を先に書くと(商品別で見た方がわかりやすい)、買占め騒動の影響によるものと推測されます。

なお、店舗数別で見ると、ドラッグストアの店舗数は年々増加を続けていることがわかります。

	店舗数	前年同月比
2017	15,049	5.0
2018	15,660	4.8
2019	16,422	5.0
20_04	16,548	3.8
ドラッグストア店舗数 経産省「商業動態統計」より

販売額が全体として伸びている要因として、店舗数の伸びも指摘できるでしょう。
数字の伸び幅からして、ドラッグストアが地域のインフラとして機能していること、また、まだまだ需要がありそうだということが感じ取れます。

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商品種別の販売状況

商品種別に見ると、明暗が分かれることがわかります。

まずは販売額の推移です。

	調剤医薬品	OTC医薬品	衛生用品,介護,ベビー	健康食品	化粧品・小物	食品	家庭用消耗品,その他
19_04	47	73	35	18	85	159	142
19_05	44	75	35	19	86	163	150
19_06	45	73	34	19	86	165	153
19_07	47	76	35	20	87	167	156
19_08	46	75	35	20	87	170	155
19_09	47	81	38	21	100	173	176
19_10	47	70	33	17	75	162	138
19_11	47	72	35	17	77	158	140
19_12	51	80	41	19	91	175	162
20_01	46	76	48	19	78	159	142
20_02	50	80	53	19	74	173	157
20_03	52	77	42	17	76	186	158
20_04	52	73	42	17	71	200	162
ドラッグストア販売額 商品種別 経産省「商業動態統計」より

食品と家庭用消耗品(トイレタリーやペット用品含む)がドラッグストアの販売額におけるボリュームが大きいことがわかります。
従来、スーパーが流通を担っていた商品なので、この点からも地域のインフラとして機能しているということを支持できます。

食品の伸びは、リモートワーク移行、外出自粛の影響により家庭内消費の増加によるものでしょう。

	調剤医薬品	OTC医薬品	衛生用品,介護,ベビー	健康食品	化粧品・小物	食品	家庭用消耗品,その他
19_04	14.9	0.7	0.1	1.3	0.8	6.2	2.0
19_05	11.2	4.5	2.5	2.8	4.8	7.9	6.1
19_06	10.7	3.1	2.0	2.6	5.0	7.9	5.2
19_07	14.0	1.3	▲ 2.3	▲ 3.7	▲ 1.9	3.2	2.5
19_08	14.2	3.7	3.3	2.4	4.6	7.7	7.1
19_09	18.6	19.8	18.4	17.4	31.4	15.9	26.7
19_10	10.5	▲ 4.7	▲ 3.0	▲ 4.6	▲ 6.3	7.4	▲ 2.7
19_11	11.1	1.6	2.2	▲ 0.4	▲ 0.4	7.3	1.0
19_12	11.3	1.6	5.9	2.0	1.0	7.4	2.7
20_01	11.0	0.8	21.0	7.6	2.0	7.8	4.5
20_03	10.8	▲ 5.3	15.1	▲ 4.3	▲ 10.2	18.2	12.2
20_04	11.0	▲ 0.9	20.4	▲ 4.3	▲ 15.9	26.1	13.7
ドラッグストア販売額前年同月比 商品種別 経産省「商業動態統計」より

前年同月比で見ると、2月のスパイクの要因がわかります(推測がつく)。

衛生用品類(介護用品、ベビー用品)の伸びが顕著で、おそらく買占め騒動の影響によるものと考えられます。
他の商品類も概ね伸びているので、「せっかく来店(もしくは並んだ)したのならば、他のも買っていこう」「他の商品も品薄になってしまうかもしれない」という心理が働き、全体的に数字が伸びた結果になったのでしょう。

(衛生用品類のスパイクは2020年1月だが、衛生用品類はボリュームそのものは小さいです。
買占め騒動による品薄報道が広がり、それを受けて2月に不安に駆られた消費者が殺到し、幅広く様々な商品を購入していったものと考えられます。
また、2月はまだリモートワーク移行の影響も少なく、化粧品類のマイナス幅が小さいこともスパイクを大きくしている要因でしょう。)

面白い、と言っては不謹慎なのですが、かなり社会と人々の動きが反映されたグラフになっています。

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地域別の状況

都道府県別に見てみると次のようになります。

都道府県	前年同月比
島根	29.3
石川	28.7
岡山	26.8
広島	23.7
鳥取	23.3
和歌山	22.7
山口	20.7
山形	20.6
香川	19.9
岐阜	19.4
栃木	18.8
福島	18.1
愛知	17.9
佐賀	17.7
滋賀	16.9
三重	16.0
高知	16.0
秋田	15.9
宮城	15.7
茨城	15.5
富山	15.1
熊本	14.5
大分	14.4
神奈川	14.1
千葉	14.0
長崎	14.0
福井	13.5
青森	13.3
徳島	12.8
愛媛	12.7
長野	12.6
鹿児島	12.2
兵庫	12.0
宮崎	11.8
埼玉	11.7
静岡	11.5
群馬	10.7
岩手	10.5
新潟	9.7
福岡	8.7
奈良	8.0
山梨	6.6
京都	4.6
北海道	3.2
東京	▲ 2.6
沖縄	▲ 5.1
大阪	▲ 12.0
都道府県別ドラッグストア販売額前年比 経産省「商業動態統計」より

大阪や東京は、リモートワーク移行の影響を受けているのか、マイナスの着地になっています。
東京の幅が小さいのは、マスクを探して来店した顧客が、(マスクが買えなかったとしても)他の商品も買っていったからなのでは、と推測されます。

大阪では、目的のものが無いのならば、素直にお店を出るという、地域毎の消費者心理が働いているものと思われます。

沖縄の動きはよくわかりません。
2019年まで、沖縄ではドラッグストアの出店ラッシュが続いていましたから、その反動減でしょうか?
この点は、わかったら追記していきます。


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