キャリアの掛け算の正しい考え方(100万人に1人の人材になるために)

人事・総務

リクルート・フェローの藤原和博氏が提唱しているキャリアの掛け算は、キンコン西野氏も広く紹介したこともあり、非常に有名になりました。
しかし、微妙に意味を履き違えて受け取っている方も多いようにも感じます。
ここでは、キャリアの掛け算の正しい考え方について、解説していきます。

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キャリアの掛け算とは

キャリアの掛け算については、こちらの記事を見てみて下さい。

簡単に書くと、
単一のキャリアで100万人に1人の人材になるのは困難です。
しかし、100人に1人の人材ならば正しい努力をすれば達成確度は高いというのは納得できる話でしょう。
この100人に1人のキャリアを3つ積めば、100×100×100で、100万人に1人の人材になれる、という考え方です。

図だけ拝借します。
考え方として、非常に参考になるので、大元の記事も是非読んでみて下さい。

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かけ離れすぎたキャリアはただの器用貧乏に

では、どのような点で微妙に意味を履き違えている方が出てくるのでしょうか。

まず、100万人に1人といわずとも、100人に1人以上の1,000人の1人の人材ならば十分なその道のスペシャリストなので、非常に高い価値を持っています。
人材市場で見て引く手あまたでしょう(もちろん分野にもよるでしょうが)。

つまり、変に掛け算するよりも、1つのキャリアを極めるという道も考え方としては決して間違っていないのです。

もう一つ、この3つのキャリアですが、あまりかけ離れすぎたキャリアになると微妙です。

例えば、営業からスタートした人が、次に経理をやって、3つ目にデザイン(例えばクリエイティブ部署の管理職とか)をやったとしましょう。
 
キャリア間のつながりが細く、掛け算という観点で見ると、とてもじゃないですが、価値の高い人材になれるイメージが掴めません。

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キャリアのシナジーを考える

それでは、キャリアの掛け算を有効に正しく活用するには、という本題です。
これはシンプルにキャリア間のつながり、シナジーを考える必要があります。

具体例を3つ程、示します。

管理系全般をカバーする人材に

経理スタートの人が管理系全般をカバーする人材を目指す場合のキャリアルートです。

  1. 経理
  2. 経営企画(財務、開示、IR、ガバナンスetc…)
  3. コーポレート部門全般(人事、総務、法務etc…)

入り口は経理からです。
経理は会社の決算をまとめる仕事であり、業務の必要性から会社の実情に詳しくなります。
そのため、経営企画領域へのステップは比較的近い距離にあります。

財務、開示、IRや取締役会や稟議フローの適正運営などは、キャリアチェンジ後もスムーズに業務を開始できるはずです。
また、この領域の仕事をしていると、法律面をはじめ、会社の様々な管理領域に接触する機会が増えます。

3つ目の軸として、人事、総務、法務といった方向性でキャリアを構築すると、管理系全般をカバーする人材になります。
ポジションとしては、管理部門の部長や、それまでに出してきた成果によっては役員に就く方も出てくるでしょう。
ベンチャー企業に転職してCFOを志向することも考えられます。

ザ・モデル型セールスのスペシャリストに

営業からスタートし、ザ・モデル型セールスのスペシャリストを目指す場合のキャリアルートです。

  1. 営業(例えばフィールドセールス)
  2. インサイドセールスやリードジェネレーション領域
  3. マーケティングやカスタマーサクセス領域

入り口は、よくあるフィールドセールス(外回り営業)としましょう。
ここで業界のことや顧客のこと、そして自社商品の強み弱み等々を理解していきます。

ここからのスイッチとして、インサイドセールスに行くか、カスタマーサクセスに行くか、どちらでも可能性はあり得ます。
仮にインサイドセールスの方向に進んだとして、これまで培ってきた知識やノウハウが結構そのまま流用できます。
優秀な方ならば、受注率に繋げるためにリードソースの質を高める活動に入っていくはずです。
つまり、リードジェネレーションにまで手を広げる形です。

3つ目のキャリアとしては、もっと広くマーケティング領域に活動の軸を移す手もありますし、改めてカスタマーサクセスで顧客との関係性を深堀していく方向に進むこともできます。

ポジションとしては、セールス部門の部長や、場合によってはCOOとして役員についている状況も考えられます。
セールスフォースのようなシステムに熟達しているのであるならば、ザ・モデル型セールスのコンサルとして独立して活動することもできるでしょう。

管理系業務改善のプロフェッショナルに

3つ目の事例が、システムエンジニアからスタートし、業務改善のプロフェッショナルのルートを歩む例です。

  1. システムエンジニア
  2. 経理
  3. 業務改善コンサル

入り口はシステムエンジニアです。
ガチガチにコードを書く、というよりかは仕様をまとめたり、外注先(業務委託含む)との橋渡し的なポジションです(大企業でよくあるシステム部門のイメージ)。

ここで意外思うかもしれませんが、2つ目のキャリアとして経理の道が挙げられまっす。
というのも、経理の仕訳データは完全なデータベースになっているのと、会計システムはマスタ管理が重要でありシステム部門が行う業務と親和性が高いのです。
ですので、管理系からシステム系へのコンバートは簡単では無いのですが、システム系から経理系へのコンバートは比較的ハードルが低いと私は考えています。

そして、経理の業務は単純に仕訳を切ったり決算を締めたり、というようなことばかりでなく、全社的な業務改善にも手を広げていく形になります。
経理の業務は、全社から資料をかき集める必要があるからです。

つまり、SE×経理でキャリアを成功させると、必然的に管理系全般の業務効率化の能力があがっていくのです。
(効率化のためにシステム導入したり、業務フローを整理するなど。)

ハイレイヤーのポジションは難しいかもしれませんが、独立したり、どこかコンサルに転職して活動していく道が考えられます。

まとめ

以上3つ事例で、キャリアの掛け算の考え方を見ていきました。

いずれも1つ目から2つ目は距離の近い、親和性の高いステップです。
(意外なものも含まれているかもしれませんが。)
まずここで、シナジーがわかりやすい、距離の近いキャリアで構成するのが良いでしょう。

そして、3つ目は大元の考え方にも解説があるように、少し遠くにジャンプするのが良いです。
(三角形の面積が大きくなるため。)

1つ目2つ目の100×100で、結構なレイヤーの人材になっているはずですし、知識・経験とも十分なので、多少のチャレンジでも成功確率は高いはずです。
シナジーを生ませるコツもわかってきているはずです。


なお、これらの考えは個人のキャリアの話だけではありません。
社内での人材教育や人事異動についても応用ができます。

古典的な大企業ですと、関連性の薄い部署をローテーションさせたりしちゃいますが、これは個人のキャリアにとっても、従業員の専門性強化の阻害という観点でも、あまりイケていません。

人事異動は、規模に関わらず一定発生しがちですが、上述のキャリアの掛け算の観点で考えると、労使双方にとってプラスになるキャリア施策が構築できるはずです。

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