ビジネスにおいて「本質は何か?」「本質を見抜くように」的なことを言われる、言うシーンがあります。
ただ、この本質。
内容自体はシンプルなのですが、意外に難しい考え方で、実用的か?というとそうでもありません。
ここでは、この本質とは何か?について、少しでも実用的になるよう、簡単に解釈してみました。
本質とやらを簡単に解釈してみる
本質、という意味をネットや辞書等で検索してみると、色々な意味合いが出てきてカオスなのですが、とりあえず大枠では次のように書かれています。
ある物事における重要な事
つまり、それの本質は何か?的な問いがあった場合、これは「重要なポイントは何かな?」という意味というわけですね。
ビジネスシーン的な使われ方としては、とりあえず納得できるかと思います。
じゃあ、これで「本質を見抜くように」なんて、いきなり言われてできるようになりますか?
こちらの記事でも、ふわっと書きはしたのですが、それが重要な事なのか否かという思考方法って、結構、判断が難しく、実用的でありません。
そこで、少しでも簡単に本質論を利用できるような解釈にトライしてみました。
目の前にある事において、自分にとって最大のメリットを取れる手段
これでも、やっぱり小難しいので、解説していきます。
まず「目の前」とした理由
例えば、「人生の本質は何か?」という問いがあったとします。
これに返せるのが、「幸せになる事」という回答で、そして内容的には、まあまあ納得の行くものだと思います。
では、この「人生の本質 ⇒ 幸せになる事」という答えが出たとして、今目の前の生活で、自分自身がやるべき事が何か、示されたりするでしょうか?
そんなわけないですよね。
具体の行動に落とし込めなければ、どれだけ高尚な思考をしたとしても意味が無いです。
それよりかは、比較的短期の事象において考えた方が、実用性は高いのではないか?と考えています。
実用レベルになるまで、即物的に、短期的に考える方が良いでしょう。
自分の葬儀で、どのようにおくられたいか?
数年後にどうなっていたいか?
という本質的問いを定期的に考えるのは良い事だと思います。
ただ、この種の問いは、どちらかと言うと価値観軸の明確化の話であって、本質論としての思考か?というと違うような気がしますし、日常のものすごいスピードで時間が流れていく中でやるものでは無いと考えます。
頭でっかちも程ほどに、という事ですね。
次に「自分にとって最大のメリット」部分
2つのたとえ話で考えていきます。
ドリルと穴の話
マーケティングの小噺としては、ドリルと穴の話が有名ですね。
ここでも改めて考えてみましょう。
あなたは工具店の店員で、たまたま店頭にドリルの在庫が無い状態で、お客様が「ドリルが欲しい」と言ってきました。
このお客様の本質的な要望としては「物を置く棚を取り付けるための穴をあけたい」だとします。
これに対する対応は、ざっくり次の3つ考えられます。
- 無いと言ってお引き取り願う
- 近隣店を探して紹介する
- 代替手段を提案する(強力な接着剤をセールスする、訪問して取り付ける等)
ビジネス的に意識が高い方ならば、3)代替手段を提案する、が最も良いと考えるでしょう。
これには私も異論が無いのですが、もう少し考えてみて下さい。
仮にあなたが、面倒な事をしたくない、仕事は生活費を稼ぐだけの手段、という価値観でしたら、おそらく最適は1)無いと言ってお引き取り願う、でしょう。
これは別に良し悪しの話では無くて、あくまでも価値観軸の話です。
無いです、と言ってお客様が来てくれない方が、(長期的に働く場が無くなりそうな気はするのですが)楽して給料を貰えて良いはずです。
もう一つ別のペルソナを考えてみましょう。
例えば、企業は社会貢献のためにあり、利益が出ているのならば少しでも世の中に還元すべきだ、と考えていたとしましょう。
この貢献精神が高い価値感なら、2)近隣店を探して紹介する、の選択肢は、働いている本人にとって満足度が高いはずです。
店の利益にはつながりませんが、働いている本人にとっては気にもなりません。
(顧客がロイヤルカスタマーになって、再来店した的な美談も多々ありますが、そうそううまい話が転がりこんでくるとは限りません。)
このようにビジネスにおける利益という価値軸において物事を考えると、3)代替手段を提案する、が最適解となるのが一般的ですが、価値軸を変えると判断結果がこうも変わるのです。
このように考えれば、本質論は実用性が増すはずです。
シンプルに「自分にとってのメリット」を考えれば良いからです。
なお、あなたが経営者や上司である場合、従業員にいくら「本質で考えろ」と叱咤しても意味が無いことがわかるかと思います。
上記の話は、意識・無意識はともかく、人が自然にとっている思考のはずだからです。
見方が変わると、本質論で考えたアウトプットが変わるから、無理に「会社の利益」的な方向に誘導しようとしても、思考が停止してしまうはずです。
店の業績の分ボーナスが出る、という制度を入れような、マネジメントの仕方から考えた方が良いでしょう。
そもそも、その「本質」とやらは、コントロール可能なのか?
もう一つ指摘しなければいけない点があります。
売れない営業がいたとします。
上司は、次のように問いかけます。
どうして、売れないんだろうな?その本質的な問題は何だ?
さあ、困りました。
確かに、営業の方のケイパビリティ的な物、純粋なセールスの力が劣っているからからかもしれません。
しかし、他の問題の可能性があります。
- そもそもとして商品がイケていない
- 上司が設定した目標が高すぎたり、上司の方針がイケていない
- 会社の評判が悪く、風評的に顧客が離れている
これらは可能性として考えられることの、ほんの一部分を仮に出しただけですが、実際、このような状況にあることは珍しくないのでは?
1)の場合は商品デザインから入り込む、2)の場合は上司と徹底的に話し合う、3)の場合も商品の良い点をしっかり顧客に説明する、等々のやり方は当然にあるでしょう。
ただ、マイナスの状態から戦っている事には変わりなく、またそのマイナスポイントが自分自身の責によらない、コントロール不能な領域だ、という点は間違いなく指摘できます。
ようは、本質論の話をしたとして、出てきた本質とやら、それは解決可能なものなのか?という問題が出てくるのです。
そのため、上記のシチュエーションの場合、「できる限りの努力はしつつ、タイミングを計って転職。」がその営業の方にとっての、本質的な選択と言えるでしょう。
本質話が実用性に欠ける点は、上記の通り、コントロール不能な要素が出てきてしまうから、なのですね。
つまり、本質的思考を簡単に実用性高く利用しようと思うならば、「自分にとって最大のメリット」で考える方が簡単なのです。
最後に
これまで書いてきた内容は、自分勝手な内容に聞こえてくるかもしれません。
断っておくと、今回のテーマは「本質論を実用性高く簡単に使う」です。
仕事のレベルがあがって、視座が高まり、視野が広がると今回のこの解釈でも、公の利益につながるアクションをとれるはずです。
目の前にある事において、自分にとって最大のメリットを取れる手段
世の中の成功事例や各種HowToは、言うは易しな話ばっかりです。
少しでも、実用性を高くできるよう、簡単に、そして俗っぽく解釈するのはおすすめだったりします。
参考にして見て下さい。
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