大戸屋によるTOB対抗策、空振りか?

経営企画

大戸屋がオイシックスとの業務提携報道が13日(木)に出て、公表が14日(金)にありました。
「ホワイトナイトの登場か!?」と思いましたが、どうやら違うようです。
TOB対抗策、と言うには何ともな内容なのですが、空振りなようです。

いくつかパラパラとツイートをしたので、それをまとめる形で整理します。

あわせて、こちらの記事もご参照ください。

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大戸屋-オイシックスの業務提携報道

2020年13日(木)、各種報道機関より、大戸屋とオイシックスが業務提携をするとの報道が流れました。

内容としてはツイの通りで、3点。

まず、提携内容をざっくり。
大戸屋の商品(監修商品や大戸屋ノウハウによるメニュー)を、オイシックスの通販インフラにより販売していこう、というものです。
具体は不明ですが、弁当や総菜といった「ミールキット」を、サブスクリプション型サービスで展開していくことをイメージしている模様です。

そして、この業務提携は”報道媒体によると”TOBが成立しなかった場合に、行われるという内容になっている模様です。

つまり、「これこれこういう事やるから、わざわざコロワイドの提案を受け入れなくても株価はあがるよー。だから皆さん、コロワイドによるTOB、この話に乗らないでねー。」と言っているわけです。

「ホワイトナイト登場か!?」と思ったが、別に資本が入るような話しぶりでは無いようです。

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TOBの成立ライン

さて、コロワイドによるTOBが成立するラインですが、それは下記ツイの通り、3,081円です。

元の適時開示資料(コロワイド)は、こちらですので、あわせて読んでみて下さい。
重要な所をピックアップすると下記の感じ。
上場廃止する予定は無いよー、7月10から8月25日までの間ね、お値段3,081円よ、1,872,392株届かなかったら不成立だよ、と言っています。

5)上場廃止となる見込み及びその事由
対象者株式は、本日現在、JASDAQに上場しています。本公開買付けは、対象者株式の上場廃止を企図したものではなく、本公開買付け後も引き続き対象者株式の上場を維持する方針であることから、(略)。したがって、本公開買付け成立後も、対象者株式は、引き続きJASDAQにおける上場が維持される予定です

②届出当初の買付け等の期間
2020年7月10日(金曜日)から2020年8月25日(火曜日)まで(30営業日)

(3)買付け等の価格
普通株式1株につき、3,081円

(5)買付予定の株券等の数
買付予定数 2,330,000(株)
買付予定数の下限 1,872,392(株)
買付予定数の上限 2,330,000(株)

では、報道をうけての株価の反応(8月14日午前9時44分株価)です。

この通り、入り口としては伸びているわけですね。

最終的に、大戸屋が正式にリリースする資料をもって、株式市場がどのように評価するか?で今後の流れが変わってきます。

仮に株価が3,081円を超えたのならば、コロワイドにとっては追加のアクションが必要になる可能性が高いです。

これまで、対大戸屋攻勢は非常に大人しいものでした。

これは、コロワイドが積極攻勢をガンガン行っていたら、大戸屋側も対応行うわけですが、この対応にあたるコンサル(アドバイザー)への報酬(アドバイザリー・フィー)が莫大になります。
決して体力的に十分でない大戸屋がコンサル料でより疲弊しては、これから子会社にしようとしているコロワイド的には面白く無いわけです。

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さて、正式なリリース、蓋をあけてみると、、、?

8月14日(金)12時30分、大戸屋より適時開示がありました。

内容としては概ね報道の通りですが、重要な点に触れられていませんでした。

そう、「TOBの不成立を前提にした業務提携」という部分が一切無いのですね。

これを受けてなのかどうかはわからないですが、株価も下がっており、14日は2,850円での着地となりました。

Google検索より、大戸屋ホールディングスの2020年8月14日(金)株価

大戸屋は、これで万策尽きた形でしょうか?
それとも実は、リリースしていない何か事実があるのでしょうか?

このまま行けば、TOBは成立します。

提携内容に対する所感

なお、提携内容、評価はわかれるでしょうが、正直私は微妙感を持っています。

フードビジネスは、本当に参入障壁が低いビジネスです。

やろうとしているお弁当や総菜といったミールキットですが、イメージするまでもなく、世に商品が溢れています。
差別化も本当に難しいです。
大戸屋ブランドで攻めて、どれだけ消費者に受け入れられるのか不明です。
(もちろん、ポジティブ・イメージが強い事は同意。)

さらに、これをサブスクリプション型モデルでやろう、というわけですが、サブスク・ビジネスが割高だ、というのは多くの消費者が実感しつつあります。
大戸屋ブランド、値段も高い、となった場合に、消費者の期待値は当然に高まるわけで、ここを安易に攻めるのはブランド毀損リスクもあるわけです。

さらにもう一つ加えて、新規ビジネスが主力として育つまでの時間軸や確度の問題があります。
大戸屋は現時点で200億円の時価総額があり、売上高も約250億円の規模です。
この規模感にインパクトを与えるだけのビジネスに育つのに、どこまでの時間がかかるのか?そして、それはどの程度の成功確度があるのか?

冷静に考えれば、懸念だらけだ、ということは明確なわけです。
株式市場の反応が、数字(株価)に表れている通りです。


引き続き、状況を見ていきたいと思います。

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