遺伝子検査によるダイエット方法の判別に科学的合理性はあるのか?

経営企画

ダイエットは比較的多くの方の関心を集めるテーマです。
そのような中、近年、遺伝子検査による適切なダイエット方法の判別について診断するサービスが登場しています。
果たして、遺伝子検査によるダイエット方法の判別には、科学的合理性はあるのでしょうか?
科学とビジネス・エシックスに絡む話で、企業はこの種のビジネスに手を出す際には、よく考慮した方が良いでしょう。

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どのような研究を行ったのか?

この話については、スタンフォード大学にて行われたある研究の存在を取り上げると良いでしょう。

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次のような研究が行われました。

  • 肥満度28~40の18~50歳の糖尿病を持たない成人609名が参加
  • 試験の登録期間は2013年1月29日から2015年4月14日までで、最終フォローアップの日は2016年5月16日
  • 参加者は、12カ月間のHLFダイエットまたはHLCダイエットに無作為に割り付けられた
  • 3つの一塩基多型マルチローカス遺伝子型の反応性パターンまたはインスリン分泌(INS-30;グルコースチャレンジ後30分後のインスリンの血中濃度)が体重減少と関連するかどうかも検証した
  • 担当者は、HLF(n = 305)およびHLC(n = 304)の参加者に対して、12カ月間にわたって22回の食事療法に特化した小グループセッションで行動修正介入を実施した

ようは、遺伝子とダイエット方法の関連性について調べた研究です。

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DNA(遺伝子)とダイエット法の間に関連性は無かった

論文は、端的に次のように指摘しています。

「この12ヵ月間の減量ダイエット試験では、遺伝子型パターンもベースラインのインスリン分泌も、減量に対する食事の効果とは関連しなかった。」

つまり、DNA(遺伝子)とダイエット方法の間に関連性は無かった、ということですね。

ついでにダイエット方法と体重の増減自体にも関連性は無かった

さらに、そもそもとして、健康的な低脂肪食と健康的な低炭水化物食との間で体重変化に有意な差は無かったことも示されています。

結果サマリー

無作為に割り付けられた609名(平均年齢40[SD、7]歳、女性57%、平均肥満度33[SD、3]、低脂肪遺伝子型244[40%]、低炭水化物遺伝子型180[30%]、ベースラインINS-30の平均値93μIU/mL)のうち、481名(79%)が試験を完了した。
HLF食とHLC食では、12カ月間の平均的な多量栄養素の分布は、炭水化物が48%対30%、脂肪が29%対45%、タンパク質が21%対23%であった。
12ヵ月後の体重変化は、HLFダイエットでは-5.3kg、HLCダイエットでは-6.0kgであった(グループ間の平均差、0.7kg[95%CI、-0.2〜1.6kg])。
12ヵ月間の体重減少には,食事と遺伝子型パターンの相互作用(P = 0.20)および食事とインスリン分泌(INS-30)の相互作用(P = 0.47)は有意に認められなかった。
18件の有害事象または重篤な有害事象が発生したが、これらは2つの食事群で均等に発生した。


この結果を正と捉えると、近年、ちらほら見かける遺伝子検査-ダイエット法判別サービスには科学的合理性が無い、ということがわかります。
(もちろん、科学的研究は日々アップデートされていくので、実は効果があった、というひっくり返った結果が出る可能性もゼロではありません。)

企業は、この種の科学的に微妙な代物について、ビジネス商材として取り扱うことのリスクについて考慮した方が良いのではないでしょうか?
一定以上の科学リテラシーがある人にとってみて、そのような企業に対して、どのような目を向けるのか、想像に難くないはずです。

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