人間関係を長く続けるためには、肯定をするか、否定を避けるか、どちらが重要か?

マネジメント・リーダーシップ

人間関係に悩んでいる人は古今東西、非常に多いでしょう。
むしろ、いないといっても良いでしょう。
人間関係を長く続けるためのアドバイスとして、肯定をする、もしくは否定を避ける、というものがありますが、果たしてどちらが重要なのでしょうか?

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ネガティブな感情は関係を壊す

人間の思考や感情は、「ネガティブハロー効果(もしくは、ネガティブ・バイアス)」という、ポジティブな出来事や感情よりも、ネガティブな出来事や感情に強く引っ張られ、影響をうけます。
もっとストレートに言うならば、思考や感情は容易に歪められます。

(ネガティブハロー効果とネガティブ・バイアスは意味が違うぞ、という意見もあるかもしれませんが、ここでは同じと扱います。)

コミュニケーションの中で、誉め言葉と批判が混じっているとすると(肯定と否定)、人は褒められたことを喜ぶのではなく、批判されたことに対して強く反応してしまいます。

この機構は、人類の生存にとって有利なものでした。

生活と死が隣り合わせの時代。
ネガティブなことに着目しない個体は、その生存が危うかったことは想像に難くありません。

しかし現代社会においては、この機構が逆にマイナスに働いているのでは?と感じます。

人間関係の中の、ちょっとした衝突でもネガティブな感情が人の判断力を奪い、決断を歪めるならば、それは望ましいものではないでしょう。

つまり、人間関係を長く続けるためには、肯定をするか、否定を避けるか、どちらが重要か?という問いに対しての答えは「否定を避ける」ことが重要と言えます。

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ネガティブハロー効果(ネガティブ・バイアス)

しかし、「否定を避ける」だけの人間関係が健全なようには思いません。

この「ネガティブハロー効果(もしくは、ネガティブ・バイアス)」を克服する方法は無いのでしょうか?

「ネガティブハロー効果(もしくは、ネガティブ・バイアス)」とは、上述の話の通りなのですが、「ポジティブな情報よりネガティブな情報に注目し、優先的に信じたり、強く記憶に残したりする傾向のこと」を言います。

例えば、「10%の確率で失敗する」と聞くか、「90%の確率で成功する」と聞くか。
同じことなのに、「10%の確率で失敗する」と聞くと、その事象に対して否定的な態度をとるようになります。

人間関係において考えてみましょう。

何か相手が望ましくない行動をとったとしましょう。
あなたは、どのような態度をとるのが、人間関係を継続するために良いでしょうか?

  • 相手の望ましくない点を丁寧に説明し、妥協点を探る(能動-建設)
  • 相手の望ましくない点を厳しく指摘し、改善を要求する(能動-破壊)
  • 放置し、状況が改善されることを期待する(受動-建設)
  • 何も言わずに、適切な距離をとる(受動-破壊)

相手の望ましくない点を指摘する行為は非常に良い行為に見えますが、一部の研究によると、人間関係を続けるためには破壊的アクションをとらないことの方が重要という意見を示しています。
(下手に相手の良くない点を指摘する位ならば、何も言わずに放置する方が、人間関係を継続する、というためだけならばマシ、ということを示している。)

しかし、この「否定を避ける」というアクションが、本当に人間関係継続において望ましいことと言えるでしょうか?

少なくとも筆者は思いません。

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未来志向の態度を

こちらの記事(部下に対する最適なフィードバックの方法は何か?)でも触れたのですが、上述のとおり、ネガティブなフィードバックは受け入れられづらい、ということがわかっています。

そこで重要な視点が「未来志向」です。

心理学的な研究において、「将来の成功のために、どれだけ新しいアイデアを生み出せるか、というような未来に焦点をあてた会話が起きた場合に、向上心を高める効果が見られた」こと、そして「フィードバックを受け入れる側が、未来志向に対する評価が高い場合においては、フィードバックを受け入れやすくなる傾向がある」ということが示されています。

つまり、「肯定的なフィードバックを混ぜて、否定的なフィードバックにより受けるダメージを緩和する」というような方法や、「具体例を示して、改善のための有益な情報を提供する。」というような方法ではなく、あくまでも未来志向の視点を持つ必要があるのです。

これはシンプルに人間関係においても使える視点なはずです。

お互いの関係向上のため、「未来に向けて物事を改善する」「何を期待しているのかの理想を明示する」「次に何をすべきか?について議論をする」
こういった態度が、より良い人間関係構築にプラスに働くはずです。

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