明らかに間違った認識を持っている人に対して、反論をし、認識を正してもらいたい、と思う人は多いでしょう。
同時に、反論は逆効果だ、という認識も誤りだ、という認識を当たり前に持っている人も多いでしょう。
今回は、この認識の正しさについて科学的な観点を紹介します。
アイデンティティと感情
多くの人が、明らかに間違った認識を持っている人に対して、「反論」をすることが逆効果であることを経験的に知っています。
「反論」をされると感情的に反発し、態度を改めるどころか逆に意固地になり、元々もっていた誤った認識が強化されます。
こちらの論文では、このことが研究レベルで提示されています。
実験では120名の学生に対して、食生活に関するアンケートに回答してもらいました。
アンケートの回答後、遺伝子組み換え食品に関するテキストや、元々持っていた認識に対しての反論分を読むよう、無作為にグループ分けがなされました。
それらのテキストを読んだ後に、被験者は、自分自身の感情を自己申告すると共に、テーマに関する知識や態度について測定がされました。
この結果、元々持っていた認識とテキストの内容が作用、ないしは反作用を示し、自己認識に対して反論テキストを読んだ際にネガティブな感情を示していることがわかりました。
(混乱、不安、フラストレーション。)
さらに、この否定的な感情は、その後のテスト結果に対しても、意固地にマイナスな影響を与えることが示されました。
つまり、多くの人が経験的に知ってい事実、人は反論されると感情的に反発し、却って意固地になってしまう、ということが実験的に証明されたのです。
現実のビジネスではどうするべきか?
それでは、現実のビジネスの場面で、このような明らかに間違った認識を持っている人に、その認識を正してもらいたい場合、どのように接するのが正しいでしょうか?
(プライベートの場面では、そのような人とは素直に距離を置き、付き合わないのが最も吉と思われます。)
こちらの研究で示されているのは、①価値観の共有による信頼感の醸成、②感情的な障害の除去、③本来目指すべき目標と現状の乖離についての“気づき”の促し(積極的ではない促し)、が必要としています。
ようは、寄り添う形で肯定的な補助をしていきましょう、ということです。
多くのビジネスの場面で、意固地に反発をしてしまっている人は珍しくないでしょう。
そのような場合、適切に寄り添うことが正しい、ということがわかりました。
このことは優秀なビジネスパーソンは経験的にしっていることであり、また、そのビジネス経験の中で取り組んできたことでしょう。
その意味で、それらの取り組みは正しい、ということがわかりました。
別の観点で言うと、「そこまでする価値があるのか?」と言う問いかけの重要性が増しているように感じます。
相手の感情に寄り添い、肯定的にコミュニケーションをとっていく。
一見、大人な態度のように見えますが、オムツをはかしてあげないといけないような相手と、果たしてどこまで本気で付き合っていくべきでしょうか?
転職なり、なんなり。
戦うべき戦場を変えた方が良いようにも思います。
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