人間関係の心理/バイアス5選

ビジネスと心理学

人間関係は古今東西老若男女問わない共通の悩みです。
良好な人間関係は人の身心、そして人生に大きな影響を与えます。
充足された自尊心や自信、成長、幸福度にもつながりますし、一方でストレスやうつと言ったマイナスにもつながり得ます。
今回は人間関係の心理/バイアスについて5つ程ピックアップします。

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第一印象で相手を評価するけれども、それは正確性に欠ける

まず、よく言われる話なのですが、人は第一印象で相手を評価しがちだ、というものです。

多くの研究が、人間の脳は、見知らぬ誰かをみた時に、無意識にその相手の第一印象を決める働きをすることを示しています。
顔のパーツで相手を信頼できるのか否か判断したり、笑顔を見れば親しみやすさを感じたりするのです。

ここでポイントなのが“無意識に”という点です。

じっくりと人の顔を観察した結果として、このような反応が出るのであれば一定の理解ができるのですが、どうやら人が自覚して“顔”という画像を認識するよりも早い時間で脳がオートメーションに第一印象を決めてしまうことが示唆されています。

そして、ここで決まった第一印象が、実際の性格や人の性質と全く相関しないことも示されています。

「第一印象」で相手を評価しがち、ということはよく知られた知見ですが、それがどれだけ自動的に行われるのか、まではあまり知られていないでしょう。
人の脳は、驚くほど無意識無自覚に、オートメーションに第一印象を決め、場合によっては判断を誤らせることを、人は知る必要があります。

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相手のことをどう感じるかは、自分の感情に左右されるし、それは相手も一緒

第一印象がオートメーションに決まる、という点は上述の通りですが。
その第一印象が自分自身の感情で歪む可能性については、感覚的に知っている人は知っているでしょうし、知らない人は全くに無自覚でしょう。

人の認識は、インプットを与えられたらアウトプットを出す、というような反応ではなく、脳内で情報を組み立てて生成されていくものです。

これが、いかに相手に対する印象に影響するのかというと、相手のことをどう感じるのかは、自分自身の感情に左右されてしまう、という点が指摘できます。

いくつかの研究では、相手の感情に対する認識が、その時に感じていた自分自身の感情(やその感情に対する認識)の影響を受けていることを示しています。

そしてこの話は相手も一緒なのです。

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友達と思った相手は、自分のことを友達と思っていない

次はショッキングな事実です。

ある研究は、友情が相互に両想いである割合は半分以下程度であることを示しました。

約10万人弱を対象にした調査で、相互に相手に対してどのような認識を持っているのかが調べられたのですが、自分自身が相手に対して友情を感じている対象について、相手も同様に自分自身に友情を感じている割合が上述の通りだったのです。

友情とは何なのでしょうね?

(この点について心理学者は補足しており、友情の定義が人によって異なる点がこの結果に影響しているからでは、としています。自分自身の解釈で友人だと思っても、相手の友人の解釈が自分自身のそれとは異なることは容易に想像できます。例:話が盛り上がる相手なのか?それとも、話が盛り上がらなくても退屈しない相手なのか?)

人気がある、と言っても、それが人物に対してなのか、成したことに対してなのかは違う

次は、人からの好意、という多くの人が望むであろうテーマについてです。

大体の人は、人から好かれる、言い換えると人気であることを望むでしょう。
この“人気”ですが、2種類の人気があります。

それは、「人物に対して」なのか「成したことに対して」なのか、というものです。

前者の「人物に対して」は、純粋な性格や行動特性によるものである一方、後者の「成したことに対して」はより俗物的なものです。

この俗物的なものをより具体で述べると、会社の社長で地位がある、であったり、何かしら成功したから金まわりが良い、というようなものです。
何か書籍やYoutubeがヒットし、影響力が大きい、というようなものもそうです。

プラスの影響がある人気は前者の「人物に対して」であり、心身ともに健康的で幸福度も高い傾向があります。
一方、後者の「成したことに対して」の場合、満たされぬ充足感に苦しむことになり、実際にストレスやうつに苦しむ割合が多いことがわかっています。
さらに、その地位から降りた時(例:社長を退任した後の人生)や、お金が無くなった時(例:わかりやすく破産した)、ブームが去った時、これまでちやほやしていた周囲の人物達がすっと離れていくことも指摘できます。

人からの好意については、それがどのような種類によるものなのか、そして自分自身が何を求めるのか。
一考する必要があるでしょう。

思ったほど他人から好かれている

悲しい事実が続いて最後は朗報です。

一般的に人は、自分自身のことを過大評価する生き物です(例:私は平均よりちょっと頭が良い、と大体に人が思っている)。

しかしこれは、人間関係においては適用されない例があります(特に関係性が深くない場合は)。

ある研究では、お互いに初対面の相手について、相手がどのように思っているのか?について調査をしました。
調査は、ペアに簡単な会話をさせた後に、アンケートをとる形式です。
その結果、相手が自分のことをどう評価しているのか?という点数より、相手が実際に評価した点数の方が高い傾向があることが示されたのです。
そして、この傾向は、比較的長期の関係性においても同様に示されました。

つまり人は、人間関係においては、自分自身に対する評価を過小に捉える傾向が存在する可能性があるのです。
(言い換えると、あなたは思っている以上に人から好かれている、ということ。)


人間関係の悩みは人が誕生して以来、ずっと普遍的に持たれているものです。
そして、科学の知見が発達した現在においても、わかっていることはまだ一部です。
それらを踏まえて改めて考えて見ると、言えることが一つだけあります。

あんまし気にすんな。

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