運動と認知症リスクの関係は比較的よく知られています。
一方で、騒音と認知症リスクの関係は、あまり知られていないのではないでしょうか。
ここでは、騒音と認知症リスクの関係について科学的知見を見ていきます。
慢性的に騒音にさらされると認知症リスクが高まる
こちらの研究では、交通騒音と認知症の関係について、大規模な調査が行われました。
研究では、60歳以上の被験者約938,994人を対象に行われ、幹線道路や鉄道等の交通騒音にさらされやすいエリアか、そうでないエリアか、という形で居住環境を観点に分析が行われました。
その結果、慢性的に騒音にさらされやすいエリアに住んでいる人は、そうでない人に比べて認知症になるリスクが高い傾向があることが示されました。
数値できには、騒音環境が40db未満の人と比較し、50dbの人は認知症リスク(アルツハイマー型認知症)にかかるリスクが約24%、55dbの人は約27%高いことがわかりました。
(騒音レベルとしては、40dbは閑静な住宅地や小鳥の鳴き声レベルであり、50dbは家庭用のクーラーの室外機、静かな書店や事務所、55dbは役所の窓口が目安です。)
研究者達は、この研究を通じて、公衆衛生的に認定されている認知症の内、10%超が交通騒音起因であると推定しており、その影響の大きさについて主張しています。
日常生活の騒音は睡眠不足にも影響しますし、その他の疾患、例えば神経症の発症リスクが高まることも知られており、人々が意識・認識している以上に騒音のネガティブな影響は甚大である可能性があります。
一方で適度な騒音は生産性をあげるという話も
一方で、適度な騒音、例えばホワイトノイズは(限定的ではあるが)生産性をあげる、という知見もあります。
(もちろん、長時間はよくない。)
また、日常生活の中で、常に騒音を回避することは不可能です。
仕事もそうですし、音に関しても、オン・オフをつけて、耳を休ませる時間を設けるのが良いのでしょう。
こちらで紹介されている研究では、静かな時間を2時間程とると脳が成長しやすくなる、としています。
昔からある耳栓や、近年、商品数が増えているノイズキャンセリング型のヘッドホン・イヤホンは、本テーマにおいても意義があるかもしれません。
科学的には不明な点が多いのは確かですが、耳栓・ノイズキャンセリング製品等を活用し、意図的に静寂な時間の確保に努めることはプラスである可能性が高いです。
少なくとも、生産性向上の観点でプラスであり、損はしないでしょう。
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