仕事が忙しくてストレス過多だと性格が悪くなる

マネジメント・リーダーシップ

三つ子の魂百まで、と言われるように人の性格は一般的には変わらないと言われていますが、それは誤解です。
例えば、仕事が忙しくてストレス過多の状況が続くと、神経症傾向が増加し、外向性と誠実性が減少することがわかっています。
有体に言えば、性格が悪くなるのです。

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仕事が忙しくてストレス過多な状況が続くと性格が悪くなる

次に紹介する論文では、仕事の状況と性格の変化について記されています。

ScienceDirect

研究では、オーストラリアの1,814人の家計・所得・労働動態調査を元に、仕事上の忙しさやストレス、ジョブコントロールの状況が性格がどのように変化していくのか?のモデルが探られました。
性格はビッグ5性格診断により測定されました。

その結果、まず第一に、仕事の忙しさとジョブコントロールが、仕事のストレスに正または負の影響を与えることがわかりました。
また、仕事の忙しさはストレスを増大させること、そして長期的には神経症傾向の増加と外向性と誠実性(良心)の減少を誘発することがわかりました。

一方、ジョブコントロールの増加は、協調性、誠実性(良心)、寛容さを増加させること、そして神経症傾向や外向性には影響しないことがわかりました。

つまり、三つ子の魂百まで、という言葉は誤りであり、職場の環境により人の性格は容易に変わり得る、ということです。

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忙しさは成功に必要な性格である「外向性」に悪影響を与える

上述の研究は個人や組織の成功に関係している可能性があります。

例えば、次の記事では、出世にプラスの影響がある性格として「外向性」が唯一のものであること、そして、内向的な性格の人が無理に外向的に振舞うとネガティブな感情を抱き、疲労しやすいこと、を解説しています。

仕事が忙しくてストレス過多な状況が続くと外向性を減少させてしまう、ということは成功のために忙しく動いていると、成功につながる性格要素に影響を与える、というパラドックスがうまれる可能性があるのです。

また、誠実性の減少は成功に必要な性格の一要素であり、それが失われることにより悪影響が出るものです。

怒りっぽくなると過去の失敗から物事を学ばなくなる傾向についても知られており、反省し成長するためのアクションが減少してしまう可能性も考えられます。

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ジョブコントロールが低い組織は成功に必要な要素に悪影響を与える

組織の成功についてはどうでしょう。

こちらの記事では、組織の成功のためにはチームの平均的な社会的感受性が高いこと、チームとして感情知能(EQ)が高いこと、が重要であることを解説しています。

忙しさは外向性や誠実性を減少させるため、チームとしての社会的感受性や感情知能に悪影響を与えることが一定推測できます。

また、ジョブコントロールも低いのならば、協調性、誠実性、寛容さ、という性格の増加が妨げられるため、同様にチームとしての社会的感受性や感情知能に悪影響を与えることが一定推測できます。


これらのことは組織設計を考える上で、非常に重要なことであると推測されます。

現代人が忙しくてストレス過多なのは、一定程度仕方がないにしても、組織設計・文化形成における努力と工夫で緩和することが必要でしょう。
成功のために忙しくなる結果として、成功に必要な性格要素が失われるリスクがあるのですから。

最低限、ジョブコントロールを従業員に渡すよう努めることには取り組んだ方が良いでしょう。

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