ディズニーランド運営のオリエンタルランドが冬のボーナスを7割削減するという報道が出ていました。
果たして、オリエンタルランドの経営は大丈夫なのでしょうか?
決算書を元に、数字を見ていきます。
オリエンタルランド 冬のボーナス7割削減
まずは報道を見てみましょう。
東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを運営するオリエンタルランドは、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化していることから、人件費の大幅な削減を打ち出し、およそ4000人いる正社員と嘱託社員を対象に、ことしの冬のボーナスを7割削減することを決めました。
NHK「オリエンタルランド 冬のボーナス 7割削減 当初計画比 コロナ」より
オリエンタルランドは、新型コロナウイルス感染拡大をうけ、2月末から7月の再開まで、約4ヶ月間の休園をしていました。
上記措置により業績が悪化、コスト削減の一環として正社員4,000人を対象にボーナスの7割を削減するということです。
(2,000人の限定社員に関しても、ボーナス5割を削減するとのこと。あわせて、役員報酬の減額も継続および拡大するとのことです。)
果たして、オリエンタルランドの経営は大丈夫なのでしょうか?
結論から言えば大丈夫です
オリエンタルランドは超がつく優良企業であり、経営そのものは全く問題がありません。
結論、大丈夫です。
数字を見ていきましょう。
まずは2021年3月期第1四半期の決算短信からです。
この通り、前期の5%の売上しか立っていません。
第1四半期は休園影響を全て受けているので当然と言えば当然です。
ただ驚きなのが、経常損失です。
売上がほぼ全てと言って良い数字吹き飛んでいるにも関わらず、152億円の赤字で済んでいます。
驚愕のコストカットです(おそらく、設備の減価償却費と正社員人件費位しか大きくかかっていないものと推測されます)。
この時点で自己資本比率も81.9%と、これもまた超がつく優良な数字です。
これだけでも、融資を容易に引っ張ってこれるというのがわかります。
(実際、銀行借入では無いですが、社債の方式で1,000億円を調達する、というほうどうが先日9月10日に出ていました。)
東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)を運営するオリエンタルランド(OLC)は10日、総額1000億円の社債を発行すると発表した。償還期間が5年、7年、10年の3種類を発行し、調達資金は主にTDSで計画されている大規模開発に充てられる。
時事ドットコム「OLC、社債で1000億円調達 ディズニーシー開発へ」より
むしろガンガン投資するスタンスっぽい
ここでCashを見てみましょう。
下の資料は同じく2021年3月期第1四半期決算短信からで、BS資産の部です。
なんと現預金が830億円、減少しています(2020年6月末残高1,780億円)。
赤字以上の減少幅です。
使途としては、(推定)300億円規模の設備投資、100億円規模の投資その他の資産の支出、約80億円の配当金、営業CF(100億円ほど?)、後はその他諸々といった感じでしょう(超ざっくり)。
既に予定されていたものもあって致し方ない部分もあるのでしょうが、ガンガン投資しています。
この投資スタンスは決算説明資料でも示されており、2021年度の新規エンターテイメントや、トイ・ストーリーのディズニーホテル、ファンタジースプリングスの予定通りの開業を計画しているようです。
単純に静かにしゃがむだけならば手持ちのCashだけでも問題無いですが、現状から既に将来に向けて投資をかけていこう、というのならば懸念がある、と。
で、その懸念を潰すために1,000億円の社債による調達を実行する、という考えのようです。
ディズニーランド、ディズニーシーは、営業時間の短縮や人数制限を掛けており、第2四半期決算についても、第1四半期ほどでは無いにせよ、厳しい数字になると見込まれます。
しかし、盤石ともいうべき財務状況があり、かつ将来の投資を打ちながら、資金の手当ても打てています。
貫禄の対応を数字から感じますね。
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