電子署名管理規程(印章管理規程)テンプレート

人事・総務

クラウド型の電子契約を導入する上での代理権限の証明(無権代理のけん制)について、別記事で解説をしていますが、あわせて印章管理規程の電子版を制定しておくと実務上の利便があります。
今回は電子署名管理規程のテンプレートを提示します。

クラウド型の電子契約を導入する上での代理権限の証明(無権代理のけん制)の記事はこちら↓です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

クラウド型の電子契約導入において規程を制定するメリット

基本的には上記「クラウド型電子契約における代理権限者の証明実務(テンプレート有り)」にて記載した実務フローで対応すれば良いのですが、契約の相手先様によっては、代理権限者の証明について更なる資料提供を求めてくる場合があります。

電子署名管理規程は、その際の提供用資料として使う事が可能です。

決裁権限規程等で代替する事も可能なのですが、不要な自社情報を開示する事になります。
証明書を別に作成する方法もありますが、煩雑です。

そこで、外部に提出する前提の規程を予め制定してしまおう、という発想です。

また、電子署名に関連する規程を、通常の印章管理規程とは別にルール制定し明確に運用していれば、内部統制上のリスク低減にもつながります(IPO進行中の企業にとっては重要ですね)。

というわけで、早速テンプレートを提示します。
(会社の実情にあわせてカスタマイズする事は必須です。当然ですが。)

スポンサーリンク

電子署名管理規程テンプレート

電子署名管理規程

第1章 総則

(目的)第1条
本規程は、電子文書に対する電子署名及び電磁的処理(当社において発行または受理する電子文書に付与する、電子的な徴証であり、紙文書における印章やサイン(署名)に相当する役割を果たすものであって、直接的または間接的に当社の権利義務を発生させる証とするものまたは手段。以下、あわせて「電子署名」という。)について、第2章に定める電子署名の制定、改廃、署名及び管理に関する事項を定める。

(定義)第2条
1.本規程において「署名」とは、電子署名を行なう行為を意味する
2.本規程において「電子証明書」とは、行政手続きをオンライン申請時等、申請人の本人確認等をオンラインで行なうために、用いられる証明書を意味する。
3.本規程において「管理責任者」とは、本規程すべての責任を負う者とする。
4.本規程において「電子署名権限者」とは、電子署名に署名できる権限者とする。
5.本規程において「所管担当者」とは、署名以外の行為である、電子署名の制定、改廃、管理等の手続きを行う者とする。

(管理責任者)第3条
管理責任者は、総務部門管掌取締役とする。

第2章 電子署名の署名、制定、改廃、管理

(原則)第4条
当社に対外的な権利義務を発生させる電子文書には、原則としてこの規程に定める電子署名を使用する。

(署名)第5条
電子署名で署名する電子署名権限者は、代表取締役とする。ただし、電子署名権限者の代わりに署名を行なう権限の承認を受けた者(ただし、総務部門の社員に限る)は、代理権限者として電子署名権限者の代理で署名することができる。
2.第三者より、代理権限者であることを証明することを求められた際は、本規程及び電子署名権限者一覧表(前条第1項但書に基づき電子署名権限の承認を受けたものを一覧にまとめたものをいう)を提示することで証明する。

(制定、改廃の決定)第6条
電子署名の制定及び改廃については、電子署名権限者、所管担当者等が起案し、管理責任者が決定する。

(制定・改廃の手続)第7条
1.当該電子署名の制定・改廃の手続に関する事項は、管理責任者の承認を受けた所管担当者が行なう。
2.1項において承認を受けた場合、所管担当者が一定の期間内に電子署名の制定・改廃の手続を行なうこととする。

(管理責任)第8条
1.管理責任者は、この規程に関する全ての管理責任を負う。
2.人事異動等により管理責任者が交代する場合、前任者と後任者は、電子署名に関する業務の引継を正確に行う。

(保管)第9条
電子署名を施した電子文書の保管及び管理は、管理責任者が行なう。やむを得ない事情により代行者を定める場合は、管理責任者の事前承認事項とする。

(電子署名に関連する事故)第10条
電子署名に関連する事故が発生した場合、管理責任者は自らの責任の元、適切に対処をする。

第3章 電子署名申請

(署名申請)第11条
電子署名を求める者は、稟議規程に従って申請を行い、承認後に署名が可能となる。

(署名申請書の保存)第12条
電子署名の署名請求に使用した署名申請書の保存については、電子署名に使用したシステム内、もしくは所定の電磁方式保存形式で保存できる方法によって保存する。

第4章 電子証明書の制定、発行、管理

(電子証明書の制定)第13条
当該電子証明書の制定は、電子署名権限者、所管担当者が起案し、該当する稟議規程に従って承認を受けなければならない。

(電子証明書の発行)第14条
当該電子証明書の発行は第13条で承認後、一定期間以内に所管担当者もしくは管理責任者が管轄の官公庁で発行の手続きを行なう。

(電子証明書の管理)第15条
当該電子証明書の管理は、所管担当者が行なう。管理の責任は管理責任者が負う。

第5章 その他

(改廃)第16条
この規程は、取締役会の決議により、改廃する。

附 則

この規程は、202×年××月××日から施行する。

スポンサーリンク

運用のポイント

提出用データの作成

まず、この規程をPDF化(原本証明の押印済みのものをスキャン)したものを予め用意しておくのが良いです。

(参考)原本証明の付し方
下記の文言を印字ないしは記入後、会社認印でよいので押印すればOKです。
後は、製本したものを保管しつつ、スキャンをしPDF化しておきましょう。

この電子署名管理規程の写しは、原本と相違ないことを証明します。
202×年××月××日
住所〇〇県〇〇市〇〇町〇町〇番〇
株式会社〇〇〇〇
代表取締役〇〇〇〇 印

加えて、誰が現時点での代理権限者なのかについて、名刺のスキャンデータ(画像データ)を付した一覧表を作成しておきます。

仮に、契約の相手先から証明を求められた際には、この規程PDFと代理権限者一覧を先方に提出すれば大体はOKです(これで納得しない企業はほとんど無い)。

規程制定上のポイント

なお、規程を作成する上でのポイントですが「守れないルールは制定しない」点にあります。
形だけのルールを策定し、それを守れなかった場合は内部統制上のエラーになります。
ですので、なるべく緩めに策定し、運用の中で少しずつブラッシュアップをしていくのが良いです。

まぁ、これは本規程に関わらずの話なんですけれどね。


新型コロナウイルスの感染拡大後、クラウド型の電子契約サービスが一気に普及してきましたが、その前提での内部統制やIPO審査の事例は少ないのが実際です。

本記事を参考に内部統制上のリスク低減につなげていただければと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました