成功者に共通する〇〇〇〇、という話題はビジネスに関心がある人にとって、興味のつきないテーマです。
今回は、投資会社Harrison Metal(ハリソン・メタル)のMichael Dearing(マイケル・ディアリング)氏がまとめた調査を紹介します。
5つの認知の歪み
調査では2,190日、2,481社、4,515人の創業者(と62の投資案件)に対して、ヒアリングを行ったとのこと。
その結果、成功者に共通する思考のパターンとして、5つの認知の歪みがあることがわかったそうです。
認知の歪みとは、思考に影響を与えるフィルターやレンズのようなものであり、現実の解釈や行動の根拠に影響を与えるものです。
その5つの認知の歪みとは次のものです。
- 自分自身に対する例外思考
- 二項対立的思考
- 過剰な一般化
- ブランクキャンパス思考(真っ白なキャンバスのような思考)
- シュンペーター主義(破壊的イノベーションの信奉)
自分自身に対する例外思考
“自分は特別だ”
定義 – 自分は集団のトップにいる、自分の仕事は雪の結晶のように特別なものだ、あるいは「普通」の範囲をはるかに超えた経験をする運命にある、というマクロな感覚。
ベネフィット – レジリエンス(回復力、弾性)、スタミナ、カリスマ性
致命的なリスク – マクロ的な例外性がミクロ的な例外性を意味すると思い込んでしまうこと、もろさ
二項対立的思考
“Xはクソ。Yは天才だ。”
定義 – 人、経験、物事を極端に判断し、両極端の意見を持ち、黒と白を見て、グレーはほとんど見ない。
メリット – 頻繁に優れた成果を上げる
致命的なリスク – 完璧主義
過剰な一般化
“2つの点を見て、正しい線を引く。”
定義 – 限られた観察結果から普遍的な判断を下し、多くの場合、正しいとすること
利点 – 時間の節約
致命的なリスク – 本能に溺れ、データに無頓着になる
ブランクキャンパス思考(真っ白なキャンバスのような思考)
“数字で描くことはアートではない。そして、私はアートを作りたい。”
定義 – 自分の人生を、数字で描くのではなく、真っ白なキャンバスとして捉える。
メリット – 塗り分けの意識がなく、サプライズが生まれる
致命的なリスク – “芸術のための芸術“, 立ち上げの失敗、スケールアップの失敗
シュンペーター主義(破壊的イノベーションの信奉)
“私は創造的破壊機械である”
シュンペーターの資本主義論
・資本主義の重要性(生産性と富の創造という奇跡をもたらす力)
・創造的破壊が資本主義を動かす
・創造的破壊=基礎的変化(クレイ・クリステンセンが言うところの破壊的イノベーション)
「海外、国内を問わず、新しい市場が開拓され、工芸品店や工場からU.S.スチールのような企業へと組織が発展していくのは、経済構造を内側から絶え間なく変革し、古いものを絶え間なく破壊し、新しいものを絶え間なく創造していくという、生物学的な用語を使ってもよいが、産業の突然変異のプロセスを示している。この創造的破壊のプロセスは、資本主義の本質的な事実である。 」
Joseph Schumpeter, Capitalism, Socialism and Democracy (New York: Harper, 1975) [orig. pub. 1942], pp.82-85.
定義 – 創造的破壊は自然なことであり、必要なことであり、自分の天職であると考える。
メリット – 恐れを知らないこと、破壊や痛みへの耐性
致命的なリスク – 冷酷な野心、疎外感
こうして見ると、確かに多くの成功者に共通的に見られる「あるある話」のように感じます。
自然とそのような思考になるであろう内容なので、真似した所でうまくいくものではないでしょうが、一つのスタンスとしては参考になるかもしれません。
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