世の中には驚くような嫌な性格をしている権力者(組織において出世している人)がいます。
そのような方が目立つが故に。優しいと出世できない、嫌なやつほど出世しやすい、というようにも感じてしまいます。
実際の所、出世に必要な性格はどのようなものなのでしょうか?
嫌なやつが出世しやすい、ということはなさそう
けんか腰で冷たく、利己的な行動をとる傾向がある人。
“嫌なやつ”をカリフォルニア大学の研究者は定義づけをし、出世との関連性について調査を行いました。
“嫌なやつ”が出世すると、組織にとって多くのマイナスの影響を与えることは想像に難くありません。
そして現実に、世の中には驚くような嫌なやつが出世をし、権力を握っています。
果たして嫌な性格と出世には関連性があるのでしょうか?
結論から言うと、嫌な性格が出世にプラスの影響を与えることはありません。
研究では、数百名の大学生・MBA生を対象に行われました。
学生たちはまず、ビッグファイブと呼ばれる性格診断テストを受けました。
そして約14年後に、彼らのキャリアを追跡し、どれだけの権力を得たのか(出世を果たしたのか)を調査しました。
その結果、嫌な性格が出世にプラスの影響もマイナスの影響も与えない、ニュートラルだということが示されました。
この結果は、性別や民族、組織文化などの様々な変数を考慮しても同様でした。
転職回数や勤続年数、組織の規模なども関係がありませんでした。
(“優しい性格”でも同様のようです。)
研究者達は別の調査も併せて行っており、権力を獲得する(出世をする)ための行動と正確との関連性について、調べました。
その行動は次の4つです。
- 「支配的行動」(恐怖や脅迫を用いる)
- 「政治的行動」(影響力のある人と同盟を結ぶ)
- 「共同体的行動」(人を助ける)
- 「有能な行動」(仕事が得意なこと)
その結果、“嫌なやつ”は「支配的行動」と取る一方、「共同体的行動」についてはあまり取らない傾向があることがわかりました。
つまり、「支配的行動」による出世のプラス影響を獲得する一方、協調行動を取らないことによるマイナス影響も同時に抱え、相殺されてしまうのではないか、ということです。
(なお、この結果は一見喜ばしい様に見えますが悲報でもあります。何故ならば、優しい性格であろうと嫌な性格であろうと、同様に出世する、ということでもあるからです。「組織は、気が合う人と同じ割合で、気の合わない人を出世させる。」「嫌なやつも、いいやつと同じくらいの割合でトップに立つ。」)
それでは出世に有利な性格は?
それでは、出世に有利な性格は何なのでしょうか?
調査では、たった一つ、「外向性」のみが出世と明確に関連していたことを示しています。
もう一度、出世のために必要な4つの行動を見てみましょう。
- 「支配的行動」(恐怖や脅迫を用いる)
- 「政治的行動」(影響力のある人と同盟を結ぶ)
- 「共同体的行動」(人を助ける)
- 「有能な行動」(仕事が得意なこと)
いずれも「外向性」が大きく影響しそうな内容であり、この結果は非常に納得感があります。
(有能な行動は、内向的なものも多分に含むであろうことは含みおきたい。)
(外向性を身につけろ、と言って身につくような簡単な話ではないでしょうが)もし、権力を握ることを志向するならば、上記4つの行動と外向性について意識して仕事に取り組むのが良いと言えるでしょう。
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