運動と認知症リスクの関係は比較的よく知られています。
また、「脳トレ」と言われるように、脳機能とゲームの関係も知られるようになってきました。
ここでは、ゲームと認知症リスクの関係について科学的知見を見ていきます。
ゲームは認知症の予防や治療に役立つかもしれない
こちらの研究では、一部のゲームが認知症の予防や治療に役立つ可能性について示しています。
研究では、55歳から77歳の33名の被験者を対象に、ゲームをプレイするグループ、コンピューター機器で楽器を演奏するグループ、対象群を用意し、半年に渡って研究が行われました。
その結果、ゲームをプレイするグループで優位に記憶に関連する脳部位である海馬の灰白質が増加していることが示されました。
(コンピューター機器で楽器を演奏するグループも同様の結果は得られたものの、効果はゲーム程ではないとのことです。)
なお、ゲームのジャンルは何でもよいわけではないようです(これについては、よくわかっていません)。
おそらく、新しい経験であり、その経験の複雑性が高い場合に効果があるのではないかと推測されます。
認知症の早期発見にも有効
予防や治療だけでなく、早期発見にも有効とする研究もあります。
研究は、50歳から75歳の約2万7千人を対象に行われました。
プレイするゲームの内容は、記憶した地図を元に船を操縦し、目的地にたどり着く、というものです。
その結果、ゲームのプレイデータ(スコア)を分析することで認知症(研究ではアルツハイマー型認知症を対象としている)の予兆を発見できる可能性を示唆しています。
認知症の主な症状として記憶力の低下がありますが、この研究は記憶力の低下に限らず、目的地に向かう最短ルートを予測してその通りに行動する能力(ナビゲーション能力)の観点でも、認知症の早期発見に有効な可能性がある、ということです。
純粋に認知機能の改善にも有効
他にも純粋に認知機能の改善にも有効だ、という知見が多くあります。
- ゲームによって依存症になることはほぼない(ついでにゲームによって暴力的になることもない)
- ゲームは認知機能(IQ的なもの)を向上させる
- ゲームはモラルやチームワークなど、社会性を向上させる
上述もしましたが、重要なことは新しい刺激的であり複雑な経験を得ること、と考えられます。
ゲームは非日常的な世界で、新しい複雑なタスクを多くこなす必要があります。
ゲームをプレイする時間が少ない人にとって、それらの経験は非常に刺激的なものになり、脳にポジティブに働く可能性があります。
実際、ボードゲームも脳機能改善に有効だ、とする研究もあります。
いつもと異なる刺激、をポイントに日々の趣味を見直してみるのは良いかもしれません。
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