空間除菌的なアレを身に着ける方や、オフィスに設置してある会社をちらほら見かけます。
ここ最近は特に多いですね。
しかし、この空間除菌的なアレは効果があるのでしょうか?
結論は「効果はない」なのですが、それを科学的な知識ではなく、ロジカルシンキングベースで考えていきます。
繰り返し書きますが、科学的知識は日常生活の中で入手できる範囲内のもので、論理的に整理できるものです。
効果があるという前提で考えた場合と、効果がないという前提で考えた場合で見ていきます。
まず、効果がある前提で考えてみます。
空間除菌的なアレは効果があると考えた場合
空間除菌的なアレは、ようは、あの首から下げているネームプレート状のものや、机においたボトルから消毒成分が出ている、というものです。
一般的に使用されており、しかも首から下げるような人体に極めて近い場所での使用です。
つまり、その殺菌成分は、人体には悪影響を与えないけれども、空気中の細菌やウイルスは消毒できる程度に強力であると考えられます。
人体には悪影響を与えず、消毒効果だけがあるものがあったとして、まああるかもしれないとは思えます。
つまり、空間除菌的なアレから消毒成分が出て、空気中の細菌やウイルスを消毒していく、という流れで、論理構造的には、効果があると考えてもおかしくはありません。
それでは次に、効果が無い前提で考えてみましょう。
空間除菌的なアレが効果がないと考えた場合
感染症というものは、どのように広がっていくでしょうか?
新聞やニュース等で報道されている通り、インフルエンザやコロナをはじめ、風邪に関連するウイルス感染の多くが飛沫感染という形で広がっていくことは一般的に知られています。
言いたいことは、空間除菌的なアレは、咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)に対して、即時に消毒効果があるのか?という視点です。
ドアノブや電車の取って、身近な手で直接触るありとあらゆるもの。
そういったものに対しても、空間除菌的なアレから出る消毒成分は効果を発揮するのでしょうか?
空間除菌的なアレから蒸発した消毒成分が、しぶき(飛沫)という液体物に対して効果があるとは、ちょっと考えれば無いと推測ができるはずです。
繰り返し書きますが、空気中の細菌やウイルスに対して効果があったとしても、液体内に存在する細菌やウイルスに対して、効果を発揮できるほどのものなのか?と考えれば、疑問が出てくるはずなのです。
確かなことが言えなかったとしても、そして個別の科学的知識に乏しかったとしても、日常的に入手できる情報だけでもって、論理的に考えて、その効果に対して「疑わしい」と考えられるはずです。
これが科学的思考の基礎です。
ロジカルに整理
論理構造での整理
もう少し、論理構造で整理してみます。
効果があると考えた場合
空間除菌製品からは消毒成分がでている
⇒ 消毒成分は人体には悪影響を与えず、殺菌やウイルスにだけ消毒効果を発揮する
⇒ 故に、空間除菌製品は有効である
効果がないと考えた場合
空間除菌製品ではしぶき(飛沫)に対して有効でない
⇒ ウイルス感染の多くがしぶき(飛沫)である
⇒ 故に、空間除菌製品は有効でない
検証フェーズ
ここまで来れば、論理構造で整理した仮説に対して、Googleで個別に検索すれば良い段階に入ります。
思考の正しさを検証するのです。
- 空間除菌における消毒成分は何なのか?
- その消毒成分はどれくらい強力なのか?
- 消毒成分は人体に悪影響が無いのか?
- しぶき(飛沫)に対する消毒効果はあるのか?
それでは、上記2つの論理構造に対して出てくる疑問に関して、実際に見てみましょう。
実際に調べてみると
ここでは別に空間除菌的なアレの確からしさを検証したいわけではなく、あくまでもロジカルシンキングで考えた時に、どう整理できるか?を示したいだけなので、細かい部分ははしょります。
調べてみると答えは簡単です。
消毒成分は「次亜塩素酸」、漂白とかで使う塩素ですね。
多くの人にとってなじみの物です。
確かに消毒効果があり、高濃度の塩素は室内のカビなどを撲滅させたりすることができるなど、強力なものもあります。
浴槽の掃除で使って、気分が悪くなった経験がある方もいるでしょう。
そう、人体に悪影響が出ます。
つまり、確かに消毒効果はあるが、人体にも悪影響をあたえる、人体に悪影響をあたえないレベルの濃度だと消毒効果が小さい、ということがすぐにわかります。
加えて、しぶき(飛沫)に関しても同様で、効果が明らかにない、ということがすぐに調べてわかるはずです。
最後に
検証、というと小難しく感じます。
実際、慣れていないとロジカルに物事を考えるのは、まあまあ大変でしょう。
考えられたとして、論理構造で整理し、示すことができるようにするのも同様に大変です。
しかし、ロジカルシンキングの効用として、自分自身の知識が及ばない領域でも、疑問を整理し、検証するだけのベースを構築できる点を指摘できます。
会社として、空間除菌的なアレを購入している所もあるかと思いますが、ロジカルに考えられれば、科学的な知識が無かったとしても、効果が無いと推測ができ、無駄な経費を使わずに済んだはずです。
人間が知れることには限りがあるので、何も別に空間除菌的なアレに対する知識が無いといけない、とは言っていません。
大事なのは、ある商品やサービスがうたっている、その効果に対する論理構造が納得の行くものなのか、検証できるものなのか、を考えることです。
ロジカルシンキングは身を守るのです。
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