6月の株主総会スケジュールが集まりました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響をうけて、6月後半に集中、大変な混雑が懸念されます。
ここでは、リアル株主総会において、ソーシャルディスタンスの考えから、どれだけの広さ(面積)の会場を用意すればよいのかを検討していきます。
ソーシャルディスタンス「2m」の根拠
周知の通り、新型コロナウイルスの感染拡大防止戦略としてソーシャルディスタンス(社会的距離)という考え方がとられています。
つまり、人と人との距離を2m置こう、というものです。
まず、この2mの根拠です。
飛沫感染は2m離れると感染しないとされている。オープンエアでは,2mまで到達する前に,種々の大きさのaerosol(エアロゾル,微小な空気中で浮遊できる粒子)は乾燥する。60~100μmの大きな粒子でさえ,乾燥して飛沫核になり,インフルエンザウイルスを含む多くのウイルスは乾燥して感染性を失う。したがって,コロナウイルスはインフルエンザ同様,エアロゾルが乾燥する距離である2m離れたら感染しないと思われる。しかし,湿気のある密室では空中に浮遊するエアロゾル中のウイルスは乾燥を免れるため,驚くことに,秒単位から1分ではなく,数分から30分程度,感染性を保持する。
緊急寄稿(1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス学的特徴と感染様式の考察(白木公康)
こちらにある通り、エアロゾル、吐く息に含まれるウイルス滴は2mまでに乾燥し、感染力を失うので、2mの距離を置いておけば感染を防げる、ということです。
なお、オープンエア環境では、という限定付きなので、屋内の場合は換気をよくする、湿度を低く保ちエアロゾルが乾燥しやすいようにする、という対応が必要です。
計算の考え方
会場の広さ(面積)を計算する方法として2つの計算が考えられます。
- 円の面積の計算方式
- 等間隔で席を配置していく方式
円の面積の計算方式(最小面積)
円の面積の計算方式では、人と人との距離を2mおく前提から、一人一人が半径1mの円を個人スペースとして確保する考えになります。
イメージとしては下記の図の通りです。
つまり、計算式としては、
必要面積 = 人数×3.14
となります。
ただしこの式で計算できる面積は、ミニマムサイズで詰め込む形になります。
等間隔で席を配置していく方式(適正面積)
等間隔で席を配置していく方式では、下記の図の通り席を配置し、必要面積を計算する考えになります。
計算式としては、出席人数をxとした場合、下記の通りとなります。
必要面積 = 4x + 8√x + 4
この式で計算できる面積でも、結構な必要面積になります。
必要な面積一覧
必要な面積一覧
上述した計算式で出席人数ごとに必要な面積を計算した一覧を示します。
あわせて、一般的な会場の広さも示します。
この通り、ソーシャルディスタンスを保った会場の広さを確保しようとすると、結構な必要面積が必要になります。
まとめ
上述の通りの面積を確保しようとすると、あまり現実的ではない広さの会場を用意する必要が出てきます。
おそらく既に会場の確保は済んでおり、また新たな会場の確保の余裕も無いはずです。
これから6月開催の株主総会について、招集通知の印刷が一斉にはじまると思いますが、会社としての方針を明確に株主に示した方が良いでしょう。
つまり、事前の議決権行使を丁寧にお願いした上で、来場自粛の促しや来場禁止のアナウンスの検討です。
実際の感染リスクとは別に、感染拡大防止策をとらないことや、仮に感染者が出た場合の、レピュテーションリスクを恐れた方が良いです。
(参考)東証の資料
東証の資料では、6月25日(木)と26日(金)で過半数の企業が開催、集中する形になります。
第4週の開催は、2018年は67.4%、2019年は70.0%とのことなので、2020年の82.4%はかなりの集中です。
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