ダイリューション(株式希薄化)のリスクは気にするな

経営企画

ベンチャー企業において資金調達を行っている立場の方で話題にでるのが「ダイリューション」です。
経営のコントロール権にも影響してくるダイリューションは、創業者のプライドの問題などなども絡めて、非常に気にしてしまうテーマとなります。
ここでは、このダイリューションに関して、あえて「気にするな」というスタンスで意見を述べていきます。

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忙しい人向けまとめ

  • ダイリューションは「株式の希薄化」のことで、経営のコントロール権を相対的に減らしてしまう
  • 経営のコントロール権の観点だけでなく、創業者の「自分の会社」というマインドや、プライドの問題が絡む
  • それでもダイリューションは気にしなくてよい
  • 経営のコントロール権は、社長としての成果を示していれば、必然的に得られるから
  • 仮に経営がうまくいかなかった場合でも、優秀な経営者に代わってもらった方が、創業者の財産の観点ではプラス
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ダイリューションとは?

まず、ダイリューションとは?
それは、株式の希薄化のことです。
新株発行増資などによって、株式会社が発行する株式が増加し、1株あたりの株式の権利(価値も)が想定的に小さくなることをいいます。

一般論として「良くない」こととされています。
創業経営者の立場からすると、持株比率が減少すると、会社の所有権、つまり経営のコントロール権(株式の権利)が相対的に減少してしまうからです。
「社長」は、会社の社長が決めるものではなく、「株主総会」の決議によって決定されるもので、創業経営者の持株比率が減少した場合、状況によっては「社長」で居続けられない可能性があるのです。
これは極端な話だとしても、投資家達からの口出しが増えて、自由に経営ができない状況になることは普通にありえます。

そのため、大多数の経営者、特にベンチャー企業の経営者はダイリューションを気にする傾向があります。
(大企業の経営者は、経営の安定性から、銀行からの調達が可能であったり、そもそも調達が不要であったり、とエクイティ(新株の発行)での調達はそもそもとして頭になかったりします。)

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気持ちはわかる

ベンチャー企業の経営者がダイリューションを気にするのは、まあ当然の話で、気持ちは理解できます。

上述の通り、一般論として「良くない」とされていますし、周囲の人たちも「ダイリューションには気をつけろ」とアドバイスをします。
また、自分でビジネスを考え、顧客を獲得してきた立場からすれば「自分の会社」という感覚を捨て去ることは難しいでしょう。

しかし、それではパブリックカンパニーを目指す、つまりIPOを目指すのであれば、いつまでも非公開企業のマインドのままでは良くないのです。
自分が手塩をかけ、涙と汗を流して育てた会社に対して、あくまでも「投資家の中の一人」であるとマインドセットを変えなければいけません。

逆にいうと、IPOを目指さない、投資家からの出資もうけない、プライベートカンパニーのままでいい、というのならば不要な意見なので、読み捨てていただければと思います。

なぜ、ダイリューションのリスクを気にしなくてよいのか?

それでは、なぜダイリューションを気にしなくてよいのでしょうか?

それは、非常にシンプルな話で、経営のコントロール権はあくまでも社長としての成果で得るものだからです。
投資家たちも、別に会社を自分たちのものにしたいとか考えているわけではなく、あくまでも自分たちが投資した案件が成長し、その価値が高くなることを望んでいます。
(それで、株式の売却により利益がでればよい。)
ですので、優秀な創業社長がモチベーションを保って経営を続けてくれるのであれば、ウェルカムなのです。
(持株比率が減ってしまい、経営に対するモチベーションが低下してしまったベンチャー企業の社長を何人か知っていますが、そもそもとして向いていないから、そうそうに誰か優秀な方に代わってもらった方が、良いでしょうね。)

また、仮に経営がうまくいかなかった場合、経営者にとっても自分の財産が目減りしてしまうことを考えると、別の優秀な経営者に代わってもらった方が、財産という観点においてはプラスになるはずです。
実際、創業者はCOOなどにひいて、CEOは別の方にやってもらう、という意思決定を行う創業者の方も存在します。

中には、自分の財産なんか粉みじんも興味がなく、自分のビジネスがただひたすらに大きくなり、社会に対するインパクトを最大化させよう、という経営者も存在します。
海外のIPO事例を見ていると、IPO時点で創業者の持株比率が1%を切る、という状況も見受けられます。

ようは目的意識や、プライドの問題であり、ダイリューションのリスクは経営の本質ではないのですね。

ダイリューションに関しては、会社の経営企画の方など資本政策を実務で考える方や、支援をしてくれるVCの方たちに任せて、経営者自身はあくまでも自分自身が本来志したものに邁進するのが良いのでは、と考える次第です。

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