前回に引き続き、飲食店系で事業計画を考えてみます。
今回は居酒屋の事業計画です。
こちらも脱サラ・独立開業の定番ですね。
なお、前回のコーヒー店はこちらになります。
お題:居酒屋の事業計画を作ってみよう
条件としては、次の通りです。
- 池袋、新宿、渋谷のような週末も人が来るビジネスエリア
- 駅からは10分以上離れた場所
- 60席くらいの中規模店舗
- 古いビルの地下店舗、もしくは2階以上の空中店舗
- 営業は夜のみ
それでは、考えてみて下さい。
試算:週末と繁閑が重要
飲食店の売上高の構成要素
コーヒー店でも示した通り、飲食店における売上高の構成要素は次の通りです。
売上赤 = 客数 × 客単価
まずは、これが基本になります。
週末
次に考えるのが週末です。
週末とは、金曜日と土曜日、加えて祝休日が続く場合の休日中日も該当します。
こういった日は、他の日に比べて多くのお客様が来店する傾向があります。
そのため、シミュレーション上は週末日数をカウントし、別に計算する必要があります。
繁閑
更に考えるのが繁閑です。
飲食店の売上は年を通して一定ではなく、波があります。
12月は忘年会、3・4月は歓送迎会で盛り上がるのはイメージがつきやすいでしょう。
逆に2月や6月など、ほとんど客の入りが無いのも、何となくは伝わるかと思います。
こういった、繁閑を月単位で考えていく必要があります。
事業計画を考えてみる
上記をもとに作成した年間の事業計画は、例えば次のようになります。
これは当然、一つのシミュレーションなので、提供する商品の内容や単価設定、立地・客層に応じて大きく変動していきます。
結構、ボリューミーな印象を受けるかもしれません。
図もちっちゃいですね。
しかし、これでも事業計画策定上のミニマムな粗々なものです。
全体を通して見えること
一番右端の数字を見て下さい。
3.4%とあります。
これは年間の営業利益率です。
飲食店の営業利益率は、大体1桁%台半ば前後なので、どこの飲食店もおおむねこんな感じでしょう。
まあまあ普通の飲食店ですね。
ようは、非常に厳しい、ということです。
仮に、うまく営業していても、何かの外部要因によってお客様が前年より数%減ってしまったらどうなるでしょうか?
他にも、食品原価があがったり、お客様が暴れて店舗備品が壊れた修繕費用がかかったり(当該、客は逃げるなり、弁償しなかったり、訴訟するにも手間とお金がかかるし。)、そんなマイナス要因が一発、二発来たら、あっという間に赤字です。
次の図を見て下さい。
これは居酒屋業界の5F(ファイブ・フォース)分析です。
なんで、このような業界なのかというと、上記の図の通り、居酒屋は参入障壁が低く、また業界内競争・業界外競争も激しく、加えて全体として交渉力が低い、という点が指摘できるからです。
飲食店は居酒屋に限らず、3年で7割、10年で9割が廃業します。
飲食店の世界でうまくやっていきたいのであれば、うまくいかない前提で、入り口から精緻にシミュレーションし、マーケティングも顧客調査から確実に行い、加えて流行の変化なども敏感にとらえて即座に対応する、ということが必要です。
カンマ何%の積み上げにより、ようやく利益が出る世界。
それが飲食業界です。
私は、数ある業界の中で、飲食店がもっとも難易度が高いと考えています。
だからこそ面白いと思うし、好きなんですけれどね。
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