社外取締役の任期を短縮したい場合の実務的手順

取締役会

ベンチャー企業も大きくなってくると、社外取締役を選任するようなステージがいつかは訪れます。
その際、候補者の方が適切に役目を果たしてくれるのか不安に思うのは社長ならば当然でしょう。
ここでは、社外取締役の任期を、社内取締役より短く設定し、適切な方なのか否かについてリスクを下げる方法について解説していきます。

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大枠の流れ

① 定款を変更する

② 株主総会招集通知上で、社外取締役候補者の任期を明記する

③ 株主総会議事録上、選任された社外取締役の任期を明記し、登記する

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定款変更内容

まずは定款の変更です。

取締役の任期に関して、会社法上では、「(取締役の任期)第三百三十二条 取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない。」と記載があります。

つまり下記の通り定款を変更すれば、社外取締役の任期を柔軟に変更できることが可能になります。

定款変更後の実務としては、株主総会にて、普通決議での任期付き選任を行う形になります。

(取締役の任期)
第〇〇条
取締役の任期は選任後2年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会の終結時までとする。ただし、株主総会の決議によって社外取締役の任期は短縮することができる。

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招集通知の記載例

それでは、招集通知の記載に関して、具体的に示していきます。
定款変更が既にされているという前提のもの(通常の記載例)と、定款変更と同時に選任を行う場合でわけます。

通常の記載例

第〇号議案 取締役〇名選任並びに社外取締役の任期決定の件

企業の活性化及び一層の業績向上を期すため、社外取締役〇名の選任をお願いするものであります。

なお、社外取締役の任期を1年として上程するものであります。

取締役候補者は次のとおりであります。

定款の変更と同時に行う場合の記載例

第〇号議案 取締役〇名選任並びに社外取締役の任期決定の件

企業の活性化及び一層の業績向上を期すため、社外取締役〇名の選任をお願いするものであります。

なお、第□号議案が承認可決され社外取締役の任期が株主総会の決議によることとなることを条件として、社外取締役の任期を1年として上程するものであります。

取締役候補者は次のとおりであります。

株主総会議事録の記載例

株主総会後は議事録の作成です。
任期については、認識相違を生みやすいので、少々くどいくらいに確認をする方が良いでしょう。

こちらも、選任のみの場合と、定款変更と同時に行う場合で記載例を示します。
定款変更と同時に行う場合では、1文を追加すれば問題はありません。

なお、新任の取締役については、実印と印鑑証明書が必要になりますので、事前に取得依頼を出しておきましょう。
現実的に大きな問題は考えづらいですが、期限内の登記対応ができない原因の1つに、必うような書類が揃わない、というのはあるある話ですので。

通常の記載例

第〇号議案 取締役〇名選任並びに社外取締役の任期決定の件

議長は、企業の活性化及び一層の業績向上を期すため、下記取締役〇名を社外取締役として選任の必要がある旨を述べた。社外取締役の任期は、選任後1年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会終結時までとしたい旨を述べた。その賛否を諮ったところ、満場一致をもってこれに賛成した。

よって、議長は次の通り選任することに可決された旨を宣した。

取締役 〇〇○○(新任)

※ 取締役 〇〇〇〇については、▲月◇日に承諾予定である旨が説明されると共に、社外取締役としての選任であることが確認され、その任期は1年となる旨が確認された。

定款変更と同時に行う場合の記載例

社外取締役の任期は、前号議案での定款変更を受け、選任後選任後1年以内に終了する最終の事業年度に関する定時株主総会終結時までとしたい旨を述べた。

以上です。

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