株式会社良品計画、つまり「無印良品」が日本最大のECサイト「Amazon」での商品販売を開始しました。
5月1日からで、約250商品の取扱いからとのことです。
これまでオウンドメディアにこだわり、D2C戦略をとってきた無印良品が、今後どのようなチャネル戦略をとっていくのでしょうか?
「無印良品」がAmazonに出店
株式会社良品計画、つまり「無印良品」が日本最大のECサイト「Amazon」での商品販売を開始しました。
5月1日からで、約250商品の取扱いからとのことです。
新型コロナウイルスの影響に伴う営業自粛を行っており、その意味で「今できること」への取り組みということでしょう。
良品計画は自社ECサイトを持っていますが、自社単独では限界がある、ということでもあるのでしょう。
興味のある今後の注視ポイントとしては、これまでの良品計画のブランド戦略との整合を、どのように考えていくのか、ですね。
これまでの良品計画の考え方
良品計画の戦略
良品計画はこれまで、オウンドメディアに強い拘りをもっていました。
オウンドメディアベースのオムニチャネルマーケティングにより、ECサイト-アプリ-リアル店舗の導線を強化してきたのです。
つまりD2Cモデルの徹底浸透を行っていたわけです。
なお、上記で使用したよくわからん横文字が一般的になる前からの取り組みであるので、その徹底ぶりと、先見性を感じます。
今現状のウイルス感染拡大の影響が無ければ、ブランディング・流通構築における良いお手本と言えます。
(参考)上記で使用したよくわからん横文字の意味
- オウンドメディア:自前媒体での各種PRメディアのこと。「自社メディア」じゃだめなのかなぁ。
- オムニチャネルマーケティング:直接・関節問わず、またPC、モバイル、オフライン(リアル店舗)とタッチポイントを横断し、複数のチャネルで顧客との接点を持とうとするマーケティング戦略のこと。マルチチャネルとは違うもののようです。
- D2C:メーカー発企画の商品を自前チャネルで直接消費者に販売するモデルのこと。「直接販売」じゃだめなのかなぁ。
Amazonに出店せざるを得ない厳しい状況
それでは、良品計画の業績を見てみると(2020年2月期)、EC売上高は222億円(前期比+11.2%)、EC化率は6.8%(前期比+0.2%)とのこと。
アプリ「MUJI passport」のダウンロード数が伸びている一方、ECの拡大は微妙な印象です。
(アプリダウンロード数は1,676万で前期比+25%)
営業自粛しECサイトへの誘導を、と行きたいところなのでしょうが、上述の通り、自社単独では限界がある、ということでもあるのでしょう。
今後の戦略をどうしていくのか
Amazonではブランディングが難しい
Amazonは9割9分の日本人が知っているであろう、日本最大のECサイトです。
集客力は日本最強で、取扱い商品も日本最大。
一方、玉石混合、値段も安いのから高いのまで、様々に取り揃え、様々なプレイヤーが覇を競い合うプラットフォームです。
(説明するまでもないでしょうが。)
なにを言いたいのか、というと、Amazonではブランディングが難しいのです。
良品計画はブランディングを重視してきた
良品計画は徹底した思想を持っています。
そして、その思想を元にブランディングを行ってきました。
【金井】デザインということで言えば、おそらく世界中を見渡しても、無印良品のように、生活の全領域を1つの思想でデザインしている会社はほかにないのではないかと思っています。
プレジデントオンライン 無印良品がアマゾンをズルいという理由 2019年7月30日
(略)
【ダグ】ストーリーですね。一つ一つの商品にストーリーがある。
【金井】そう。我々は「意味」とか「わけ」とか言ったりしています。無印良品では、これらを最初から最後まで一貫してデザインしている。こんな会社はなかなかないのではないでしょうか。
この思想をベースに醸成されてきたブランドがあるため、一部の顧客に対して強く刺さる商品となっているのです。
以前、ファミリーマートで無印良品ブランドが取り扱われていた時期がありましたが、今では取扱いがありません。
ファミリーマートと良品計画では、資本的なつながりはあっても、ブランドに対する考え方が全く異なります。
最終的には、ファミリーマートの顧客は無印良品を買うことがない、ということで(ファミリーマート側からの申し出で)取扱いが無くなったわけですが、当然の帰結と言えます。
今後、Amazonというプラットフォームで展開していくにあたり、どのようにブランディング戦略を構築していくのか、そしてそこから如何にチャネルを構築していくのか。
ここが最大の注視ポイントです。
Amazon ⇒ 何か ⇒ 自社ECへの導線を作れるか
Amazonへの出店は、おそらく致し方なく、なのでしょう。
その致し方なくのなかで、どうやってAmazonで自社を差別化できるのか?という方向で進むことを意思決定したと考えられます。
Amazonへの出店により、これまで接点が無かった(持てなかった、ではなく無かった)顧客との接点が生まれるでしょう。
その中での購買体験を通じて、ブランディングと、自社への誘導が如何にできるか。
既存ファンの自社ECサイトへの誘導では尻すぼみです。
つまり、Amazon ⇒ 何か ⇒ 自社EC この導線を如何に作るかです。
しかしまあ、変化対応力、決断力の凄い会社ですね。
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