【朗報】クラウドサインが登記対応!議事録・契約書の電子化が大きく前進

人事・総務

弁護士ドットコム社「クラウドサイン」が商業登記に対応、という報が出ていました。
慎重に検討と協議を重ねた結果、取締役会議事録、株主総会議事録、その他契約書等添付書類といった、商業登記に必要な書類の電子化が大きく前進するという結論に至りました。
今回は、上記件を解説していきます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

クラウドサインが商業登記に対応

リンク先にて、「法務省が商業登記に利用可能な電子署名サービスにクラウドサインを指定」と題して、弁護士ドットコム社が提供する「クラウドサイン」が商業登記に対応する旨の報が出ていました。

本件について、司法書士の先生、弁護士ドットコム社と協議を重ねた結果、「クラウドサイン」にて、登記に必要な様々な書類を電子化することができる、という結論に至りました。
必要な書類とは、取締役会議事録、株主総会議事録、その他契約書等添付書類を指しています。
(クラウドサインを指定しているのは当方が利用しているからで、GMOアグリーも可とのことです。)

そして朗報なのが、エクイティによる資金調達時に必要な株式総引受契約といった、登場人物が多すぎる書類についても対応が可能、という点です。
一度経験したことがある人はわかるのですが、スーパーウルトラミラクルハッピーですよ、これは。


なお、社内保管用の取締役会議事録などについては、元々クラウドサイン対応で問題ありませんでした。
この点(社内保管用)については、下記記事を参照ください。

スポンサーリンク

要対応事項1点

それでは何か対応しなければいけない重要なことがあるか?というと1点だけあります。

それは、「法人実印」に代わる「電子証明書」の取得です。

逆に言うと、これだけです。

電子証明書取得については、法務省HPをご参照ください。
リンク先が直接、電子証明書取得に関するページになります。

スポンサーリンク

具体的なフロー

具体的にフローを説明していきます。
登記実務を自分たちでやっている会社は(おそらく)ほとんど存在しないと思われるので、司法書士の先生に依頼する前提です。

登記に必要な書類PDFを用意する

クラウドサインにて、各登場人物(役員や株主など)が署名対応をする

クラウドサインから電子署名が付されたPDFを出力

法務省指定の「申請用総合ソフト」にて、「法人実印」に代わる「電子証明書」による電子署名を付す

司法書士の先生にデータを提出し、司法書士の先生からオンライン登記を行う

以上です。

びっくりするぐらい簡単です。

為念、書きますが、個別に電子証明書を取得しなければいけないのは「法人実印」に代わる「電子証明書」だけです。
各取締役、監査役、各株主が個別に電子証明書を取得する必要はありません。

法務省指定の「申請用総合ソフト」について

この点は、元の弁護士ドットコム社記事で十分な解説がなされています。

(2)法務省指定の申請用総合ソフトを使用すること

(1)の 商業登記署名の付与を行う際は、法務省が指定する「申請用総合ソフト」(無料)を利用して行なっていただくよう、お願いします。
(略)
Adobe Acrobat有償版と法務省が提供する「PDF署名プラグイン」を使用して電子署名を行う手法もあるのですが(クラウドサインでは検証済み)、この方法ですと登記所による電子ファイルの検証がスムーズに行えないため、とのことです。

サインのリ・デザイン「法務省が商業登記に利用可能な電子署名サービスにクラウドサインを指定」

「申請用総合ソフト」は、リンク先よりダウンロードが可能です

手順書も用意されているので、簡単に対応ができそうです。

注意事項

ここからは注意事項です。
残念事案になりかねないので、よくご確認ください。

代表取締役の変更事案について

これは元記事にも記載がある点です。

代表取締役の就任承諾書や改選などの一部の事象が発生した場合は、
「代表者個人の実印」もしくは「代表者個人が取得した個人の電子証明書による電子署名」が必要
です。

ここで、代表者個人が電子証明書を取得していなかった場合、一律紙の書類での登記対応になります。
紙と電子署名書類の混在ができないからです。

あまりある事象では無いので気にしなくても良いとは思いますが、当該事象が発生する場合は事前に対象の代表取締役候補者の方に電子証明書を取得していただくよう、手配をしておきましょう。

その他、会社の状況に応じて、代表者個人の実印や電子証明書が必要になる場合があるので、司法書士の先生に照会をとっておくと良いでしょう。

一部の登場人物がクラウドサイン対応が不可となった場合

これは結構、笑えないかもしれません。

結論、登場人物がの内、一部(一人)でもクラウドサインサイン対応が不可となった場合、一律紙での申請になります。

ベンチャー企業ですと、VCや投資元事業会社から役員を受け入れている場合があるかと思います。
この場合に、当該VCや投資元事業会社内の規程・ルールにより、クラウドサイン対応が不可となってしまう可能性が存在します。

株式総引受契約なども同様です。
銀行系VCですと、クラウドサイン対応が不可の所が多いので、ある意味、一番省略したいポイントで使えない、ということが想定されます。

この点は、時代がもっと進み、各社が対応を行うことを期待する以外にありません。
そのためにも、世の中全体で要望(プレッシャー)をあげていくことが良いでしょう。

移転等の事象により管轄の登記所(出張所含めて)が変更になった場合

もう一つ、気持ちめんどくさいポイントです。

結論、移転等の記載事項の変更が生じた場合です。

この場合、「法人実印」に代わる「電子証明書」の再取得が必要です。

東京内の移転でも、管轄する登記所(出張所含めて)が変更になった場合、改めて電子証明書を再取得する必要があります。

急成長企業では、会社移転は当たり前だったりするので、きちんと認識しておいた方が良いです。

なお、電子証明書の発行手数料に関しては、節約のテクニックがありますので、併せて認識しておくと良いかもしれません。

クラウドサインの署名回覧について

これは実務進行上のポイントなのですが、クラウドサインは仕様上、登場人物全員が一斉に署名対応をすることができません。

一人一人、順番ずつ署名対応をする形になります。
そのため、一人でも対応が遅い方が出てくると、署名対応全てが停滞することになります。

期日が差し迫っている書類の場合は、回覧の順番や事前の調整・念押し等が必要になってくると思われますので、留意ください。

この点は、弁護士ドットコム社にも改善要望を出しておきましたので、期待して待ちましょう。
皆さまにおかれましても、弁護士ドットコム社に要望をあげるとアップデートが早くなるかもしれません。

定款の記載が電子署名に対応しているか?

定款の記載内容が電子署名に対応しているか?の確認も必要です。

下記の取締役会議事録に関する定めの事例の通り、定款で定められているのならば問題はありません。
しかし、対応しておらず、その上で電子化対応を視野に入れているのならば、どこかの総会のタイミングで定款変更をかけておいた方が良いです。

パターンAが電子署名に対応していない記載例、
パターンBが電子署名に対応している記載例です。

A:取締役会における議事の経過の要領及びその結果並びにその他法令に定める事項は、議事録に記載または記録し、出席した取締役及び監査役がこれに記名押印する。

B:取締役会における議事の経過の要領及びその結果並びにその他法令に定める事項は、議事録に記載または記録し、出席した取締役及び監査役がこれに記名押印または電子署名する。


弁護士ドットコム社より、クラウドサイン電子署名の使い方ポイントに関する記事もでておりますので、あわせてご確認ください。

以上、商業登記書類の電子化対応について解説していきました。

この種の実務は難解で、法務局担当者によっても微妙に対応が異なる場合もあります。
ここが違うよ!とかございましたら、ご指摘いただければ幸いです。

以前、下記記事などで電子化対応について残念結論を考察・解説をしてまいりましたが、本当に変化のスピードがはやい世の中です。
良い事ですね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました