新型コロナウイルス影響による経済統計・景気動向について、2020年5月~7月までの状況をアップデートしました。
消費支出の回復が傾向として見られ始めていますが、旅行業など、いまだ回復しない産業があります。
雇用環境も悪化が見られ、“まだ”倒産数の大幅な増加にはつながってはいないものの、今後が懸念されます。
前回分はこちらになります。
景気動向指数は甚大な悪化が見られる
前回では、まだ景気動向指数、各種産業活動指数に大きな影響は出ていませんでしたが、6月までの指標では次の図の通り、甚大な悪化が見られます。
2015年=100で、先行指標は78.4、一致指標は73.4とここ5年間で見た事のない数字が出ています。
第3次産業活動指数(総合)は87.9、鉱工業指数(生産)は80.8、稼働率指数(製造工業)は70.6です。
旅行業を除き消費支出は回復に向かっている
消費統計は、次の通り、2020年6月で大きく回復に向かっています。
ただし、旅行業を除き、です。
小売販売額は▲1.2%と劇的に回復しており、これは給付金特需の影響も大きいでしょう。
百貨店売上高も▲19.1%までは回復してきました。
ただし、今後も継続して厳しい事業環境が続くことは容易に想像ができます。
百貨店に関しては、別に経済統計をまとめてみようと思います。
旅行取扱高が壊滅的で、2020年5月時点で▲97.6%となっています。
致し方無いことではありますが、産業として危機的状況にあると言えるでしょう。
この点に関しては、下記記事(外部ブログ)も参考にしてみると良いかもしれません。
トータルとして、消費支出は▲16.2%までは回復してきている状況です。
新車販売台数も回復を見せ始めており、昨年対比▲13.7%にまではきました。
数字の通り、傾向として回復してきた、というだけで厳しい状況にあることは間違いがありません。
各自動車メーカーも、事業計画の見直し・下方修正、減損損失の計上などを行っています。
失業率が悪化をはじめ、明確に雇用環境が悪化しはじめている
労働統計としては、常用雇用指数、完全失業率共に悪化しはじめています。
過去になかったか?と言えば、あった状況ではあるのですが、常用雇用指数は1%を切り、完全失業率も3%に迫る水準です。
有効求人倍率の落ち込みも止まりません。
1倍に迫る勢いで悪化を見せており、今後、労働統計含めて回復して行くのか、注視です。
なお、所定外労働時間の指数は大幅な改善(?)を見せています。
所定外労働時間が減ったこと自体は良い事だと思うのですが、今この状況での数字は、単純に「仕事が無い」というだけでしょうから、多くの労働者にとって、厳しい収入状況にあると容易に推測されます。
企業倒産件数はまだ増えていないが、休廃業は増えている
企業倒産件数は、裁判所もリモートや時短などで止まっていた件を超えても、大幅な増加は見られない状況です。
M3は大幅に増加していますね(当然ですが)。
なお、東京商工リサーチのまとめでは、休廃業・解散企業の数が急激に伸びており、5万件をこえるのでは?と言われています。
「倒産」としてカウントされていなくとも、コロナ影響をうけての休廃業は大幅に増加していることは間違いが無いようです。
日経平均は堅調だが、本当に実態を表しているのか?
日経平均は、数字上は堅調です。
正直な所、この数字は実体経済を表しているのか?と疑問に思います。
ただ、各国が金利を下げに進んでいる中、行き場を無くしたお金が株式市場に流れ込んでいる、とシンプルな構造で考えれば、回復期待を含めた実態と言えないことも無いのも確かです。
とりあえず、現状で筆者がいえるのは「これが現実」という点のみです。
本統計は、また2か月後位にアップデートしようと考えています。
元データは下記になります(Excelデータ)。
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