外食産業前年比(2020年8月)および最近の消費者動向

統計・経済

外食産業前年比の8月は、回復傾向を見せていた7月から再度転落傾向が出た月となりました。
最近の消費者動向と併せて、数字を見ていきます。

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外食産業業績推移

まず、売上高前年比推移です。

こちらにある通り、7月までは回復傾向を見せていましたが、8月に入り全体的に減少、転落傾向を見せています。

要因としては客数の減少が大きく、客単価は業種毎に若干の違いはあるものの概ね横ばいです。

特に居酒屋系は客数も客単価も減少傾向にあるので、非常に厳しい状況にあると言えます。

同上
同上

理由としては、新型コロナウイルス感染者数の数字上の増大にあると考えられます(いわゆる”第二波”)。
実態の脅威以上に、心理的な恐怖心や忌避感の他、無難な安全行動を優先する方向に消費者が動いたのでしょう。

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消費者の利用動向の変化

利用動向概観

上記の客数推移からも利用頻度が減少した事自体は明確ではあるのですが、アンケート調査によると、下記のような利用頻度の変化があったようです。

ソフトブレーン・フィールド株式会社「コロナでも利用が増加した、外食チェーンの施策をレシートから探る」より

計算してみると各層で下記のようになり、月に2~3回程度以上外食する人全てにおいて利用頻度が減少し、しかし月に1回以下程度は外食利用をする、という人が大幅に増加した形になります(まぁ、当たり前の数字ではありますけれどね)。

月に1回以下:31.7% → 52.4% (165%)

月に2~3回程度:33.8% → 25.9% (77%)

月に1~2回程度:24.3% → 15.0% (62%)

週に3~5回程度:7.8% → 4.9% (63%)

ほぼ毎日:2.5% → 1.8% (72%)

同上

外食利用における変化では、利用回数の変化は上述の通りですが、それ以外ですと、「利用する店舗」「利用時間」「利用人数」「ジャンル」「金額」に大きな変化があった模様です。

飲食業においては数%の変化でも業績に大きな影響を与えるので、上記は全てにおいて外食産業全体にダメージを及ぼしたはずです。

同上

利用シーンの変化では、ランチ帯とディナー帯においてテイクアウト(デリバリー含む)が増えた結果です。

ランチ帯のテイクアウト比率は高いので、如何にランチ帯に最適化したデリバリー対応商品を開発できるか?は今後の外食経営において重要な要素となるでしょう(もちろんディナー帯も)。

デリバリーに関しては、下記2つの記事においても触れているので、参考にしてください。

嗜好(店舗選択ポイント)の変化

店舗の選択ポイントとしては、最近はやはり「ソーシャルディスタンス」や「感染症対策」をポイントとしてあげている消費者が多い模様です。

飲食店利用時の行動を見ても、「ソーシャルディスタンス」や「感染症対策」に気を払っている傾向は同じで、特に女性を中心に、「マスク着用」「他の客との距離」「消毒」が行われています。
(一方、男性の特に20歳代において「特に対策を行っていない」の数字は大きいですね。まぁ、ロジカルに考えたら、当然の行動結果だとは思いますが。)

これらの調査は一定の示唆があり、女性目線で安心”感”がある店舗作りを行えるか?が重要と考えられます。

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苦境はいつまで続くのか?

各所で語られてはいますが、ワクチンと治療薬が完成・普及し、終息宣言やそれに準じた発表がされない限り、状況は続くものと考えられます。

NRIの推計では、2021年4月においても、まだ今の低消費水準が続くという事です。

新型コロナウイルスそのものは、実体として”落ち着いた”状況と言え、マスク着用、手洗い・うがい・消毒等の当たり前の衛生対策を行えば、危ない物では無いのですが、如何せん人々の「心理」は難しいものがあります。
感染症より、人の方が恐ろしいのです。

飲食店に限らず、ダメージを受けている事業者は、まだ1年は最低でも続く、という前提で経営の方向性を検討していく必要があるでしょう。

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