広告換算値を追うな!~広報(PR)のKPIの考え方~

マーケティング

PR効果を測定する上で良く話題にあがる指標が広告換算値。
PR関係者は必ず触れる事になる指標ですが、近年は広報(PR)が採用するKPIとしては相応しくない、という意見が多いです。
今回は広告換算値について考えていきます。

こちらの記事も併せて参照ください。

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広告換算値とは

広告換算値概要

何かしらのメディア媒体に露出した際に、どれだけのPR効果があったのか?はPR担当者としても、経営者としても知りたいところです。
しかしながら、PR効果というものは、決算書のような具体の数字で出せる類の数字では、当然にありません。

そこで登場したのが広告換算値です。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、各種WEB・SNSメディア。

このような各種メディア上で取り上げられた際、仮に同様の尺や枠を購入・出稿した場合に、要した広告費の金額をPR効果の代替として用いるのが広告換算値です。
ようは、「何かメディアに取り上げられたぞ。仮に自分達が広告費払ったとしたらこれくらいの費用がかかったはずだぞ。ひゃっはー!」というのが広告換算値ですね。

広告換算値のメリット

まず、上述したようにPR効果というものは大前提として測定しづらい、という性質を持っています。

何かしらの広告を打ったとして、売上高であったり、コンバージョンレートが改善したり、とかとか、具体の成果っぽい指標が存在するわけですが。
これらの指標は、何も広告だけで変化・改善するわけではありませんね。
つまり、広告の直接的な効果を測るのは難しいのです。

また、記事のPVや露出したテレビの視聴率(から換算される視聴者数)を成果として考える方法もあるかと思いますが。
メディア毎に、当然にメディアの価値も異なるわけで、そのPV・流入数を同じ軸で測って良いのか?という問題があります。

その意味で、「仮に同様の尺・枠を購入したとしたら、いくらの広告宣伝費を要したのか?」をPR効果の指標として採用するのは、一定の合理性があるのです。
広告の直接的な効果を測れると共に、その効果を具体の金額で示す事ができますので。

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(参考)広告換算値の算出方法概要

参考程度に広告換算値の算出方法について、概要を説明します。

なお、広告換算値のロジックはメディア毎に異なりますし、PR担当者によっても異なるので、共通言語として語るのは微妙に難しかったりします。
(まぁ、PR系の方々で、そのような曖昧性を気にする方も少ないですけれどね。)

新聞・雑誌:媒体毎の広告出稿料金があるので、それをベースに算出。

テレビ:15秒CMの出稿料金(スポットCM料金単価)をベースに算出(放映の時間帯に応じたA帯~C帯というものがあり、またそこから露出時間を考慮して計算する)。

ラジオ:スポットCM料金単価をベースに露出時間を考慮して算出。

WEBメディア:媒体毎にロジックが大きく異なる。PVをベースに、TOP広告の単価で算出していく、というのが基本。統計的な処理を施す場合も多い。

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広告換算値の問題

さて、広告換算値にはいくつかの問題があります。

代表的な所としては次のようなものです。

  • 広告単価が入手できないと算出ができない
  • 広告はコンテンツやデザインなど自分達の意志を込められるが、メディアに取り上げられる場合はコントロール不能な場合が多い
  • 特にWEBメディア,SNSの算出のバーチャル性の高さ(ほぼほぼ無意味)

しかし、これらは問題の一部です。

冒頭で書いたのですが、広告換算値は近年は広報(PR)が採用するKPIとしては相応しくない、という意見が多いです。

それは何故か?

結論、広告換算値はあくまでも「換算効果」をバーチャルに示したものに過ぎず、「成果」を測定したものでは無いからです。

つまり、仮説としてのコストに着目したものであって、価値に目が向けられていない。

PRとは「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の略です。
パブリックに働きかけて、何かしらの行動変容を起こしてもらい、なんぼの仕事と言えます。

PRの役割は、単純に情報を広く発信する(広報)ことではなく、「外部との関係性構築」にあるのだから、コミュニケーションのアウトカム(成果)を測定した方が良い、もっと言うとアウトカムにも縛られない社会への影響力も考慮した方が良い、という事ですね。


冒頭提示した「広報(PR)のKPIの考え方 」においても触れたバルセロナ原則ですが、このバルセロナ原則においても広告換算値はPRにおいて有効では無いとされています。

バルセロナ原則2.0「7つの原則」

  1. ゴールの設定と効果測定はコミュニケーションとPRにとって重要である。
  2. アウトプットだけの測定よりも、むしろコミュニケーションのアウトカムを測定することが推奨される。
  3. 組織のパフォーマンスへの効果は測定可能であり、可能な限り測定すべきである。
  4. 量と質を測定・評価すべきである。
  5. 広告換算値はコミュニケーションの価値ではない。
  6. ソーシャルメディアは他のメディアチャネルとともに測定可能であり、測定すべきである。
  7. 測定および評価は、透明性があり、一貫性があり、有効なものであるべきである。

以上、広告換算値と、広告換算値が現代のPR(広報)のKPIとして如何に相応しく無いか、について見てきました。

広告換算値は、リーチ、という観点では決して的外れな指標では無いので、今後も活用され続けていく事は確かでしょう。
しかし重要なのは、何のためのPR活動なのか?という点にあります。
つまり、目的とゴールの明確化ですね。

PRのKPI設定と測定は非常に難しいものがありますが、設定した目的と明確化したゴールに沿って、取り組んできた施策の検証と効果測定を自社なりに模索するのが本質的な形と言えるでしょう。

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