ロジカルシンキング(論理的思考)の重要性について、疑問を呈する人は少ないでしょう。
実際、数多くの研究により、ロジカルシンキングの能力の高さと、年収の高さや犯罪率の低さなどが関係することが示されています。
しかし、より良く生きる、という観点ではクリティカルシンキング(批判的思考力)の方が重要だ、という示唆があります。
クリティカルシンキングとは?
まず大前提として、クリティカルシンキングについて触れておきます。
批判的思考(ひはんてきしこう)またはクリティカル・シンキングとは、あらゆる物事の問題を特定して、適切に分析することによって最適解に辿り着くための思考方法である。批判の定義については論者によって異なるが、共通的には、単に否定的になるのではなく、自身の論理構成や内容について内省することを意味する。その方法論としては、考察対象をよく理解すること、間違った推論を起こす暗黙の前提を明らかにすること、証拠について評価したり、循環論法や人身攻撃など論理的な誤りを避けるための誤謬についての理解といったこと。
Wikipedia「批判的思考」より
「批判的思考」というと、ネガティブなイメージを抱くかもしれませんが、解説にある通り、単純に否定をする、というような話ではなく、きちんと論理的に物事を考え分析しましょう、というものです。
ロジカルシンキング(論理的思考)が、推論によるある種の答え(結論)を導く思考のプロセスなのに対し、クリティカルシンキングは論理的な正しさのみならず、物事の妥当性を導く点が特徴的です。
クリティカルシンキング(批判的思考力)に関する調査
カリフォルニア州立大学の研究者達がクリティカルシンキングとライフイベントに関する調査を行いました。
教育者や企業は、学生や求職者のクリティカルシンキングの能力を評価することが重要であることに同意していますが、クリティカルシンキングの現実的な成果について検証された研究はほとんどありません。
Halpern Critical Thinking Assessment(HCTA)は、信頼性の高いクリティカルシンキングの測定法であり、複数の集団および学業成績の測定法で検証されています。
本研究では、HCTAのスコアが、教育、健康、法律、金融、対人関係などの広範な領域における現実の成果を予測するかどうかを検討しました。
米国の地域社会の成人(n=50)、州立大学の学生(n=48)、コミュニティカレッジの学生(n=35)を対象に、HCTAとライフイベントの行動目録を記入してもらいました。
全体的に、クリティカルシンキングのスコアが高い人は、低い人よりも否定的なライフイベントを報告しませんでした。
つまり、クリティカルシンキングの能力が高いと、人生における悪いライフイベントの発生頻度が低く、より良い人生を送れている、ということが示唆されています。
この研究は、ロジカルシンキングの重要性を否定するものではありません。
冒頭に記載の通り、ロジカルシンキングの能力の高さと、年収の高さや犯罪率の低さは関係があります。
このロジカルシンキングの能力を更に発展させて、クリティカルシンキングの能力も高められるとより良い人生を送れる可能性が高まる(かもしれない)という点が本稿のポイントです。
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