運も実力の内、という言葉があるにはありますが、世の中において成功するか否かの要素に「運」のウェイトが大きいと、一部で言われています。
この点に関しては、一定の研究もされており、「運」もしくは「たまたま」により起きる弊害が指摘されています。
評価にバイアスがかかりパフォーマンスの認識が誤った例
UTSビジネススクールの研究チームは、サッカーにおけるパフォーマンスと評価について調査を行いました。
ヨーロッパのサッカーリーグの試合における1万本以上のゴールポストに当たった、シュートを含むデータの分析が行われました。
分析の結果、ポストに当たった後、得点をした選手、しなかった選手のその後のパフォーマンスを調査した所、選手のパフォーマンスには大きな違いが無かったことが示されました。
しかし、偶然にゴールを決めた選手は、運悪くゴールを決められなかった選手に比較して、その後の試合で活躍をする機会が増えていることも示されました。
また、偶然のゴールであったとしても、試合の結果を左右するものである場合や、新進気鋭の選手である場合に、より高く評価されることがわかりました(評価はジャーナリストやファンからの評価も含みます)。
つまり、「たまたま」成果を出せば、パフォーマンスは同じであっても、高く評価され、また成果を出す機会が与えられる、ということです。
研究チームは、統計的に判断できるスポーツの領域でも、このような評価バイアスが起きているのだから、客観的な評価が難しいビジネスの領域でも評価バイアスが起きているであろう、と指摘しています。
現実における人事評価にて留意すべき点
上述の通り、「たまたま」成果を出して評価されるとなれば、組織における歪みが生じる恐れがあります。
もちろん結果/成果は重要なものですが、評価に偏りがあると、報酬や昇進の機会に非効率性や不公平性が生じ得ます。
それは組織にとって、潜在的なコストとなっていくでしょう。
スキルが無くても、たまたま周囲のサポートが手厚かったり、本当に運が良かっただけの人物が昇進し、スキルも才能もある人物が認められない、というような事態も起き得ます。
組織やマネージャーは、人のパフォーマンスを評価する際に、結果/成果のみならず、プロセスや努力についても考慮する必要があるでしょう。
嘘か誠かは不明ですが。
野村證券が「入社後に成長するのは、どういう人材か」を知るため、「支店長に就任した人の共通点」について、数億円の費用をかけてコンサルタント会社に調査を依頼したそうです。
その結果、入社後に伸びる人に共通しているのは、卒業した大学の偏差値や、両親の学歴・職種、家庭の裕福さとは関係なく、『入社して最初に出会った先輩や上司が優秀だったこと』と分かったとのこと。
つまり、企業としては、応募者の中から優秀な人材を選び出すためにお金をかけるより、受け入れる側の教育のほうが重要という示唆が得られます。
(一部のTwitterの投稿より。)
「運」「たまたま」で判断が歪み、組織に悪影響を残さないようにしたいものです(言うは易しですが)。
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