「寝てないアピール」がダサい、ということは大分周知されてきています。
一方で、「寝てないアピール」がプラシーボ効果で本当に寝不足と同じ悪影響を受ける可能性についてはほぼ知られていません。
プラシーボ睡眠、プラシーボ寝不足の悪影響について見ていきます。
プラシーボ睡眠のポジティブな効果
睡眠不足はパフォーマンスに多大な悪影響を与えます。
それのみならず、リスク判断を歪める可能性や、認知症等のリスクの向上など、様々なデメリットが睡眠不足にはあり、この悪影響はカフェインの覚醒効果ではカバーできない、ということもわかってきています。
しかし、もしかしたら「よくネタ」と思いこむことがパフォーマンスへの悪影響を緩和できるかもしれません。
こちらの記事では「プラシーボ睡眠」について紹介しています。
プラシーボ睡眠の研究概要
研究では、学生達に前日夜の睡眠の質について10段階評価で報告してもらいました。
その後、研究者は学生達に実験の背景を説明するために、睡眠が認知機能に及ぼす影響について簡単なレクチャーを実施しました。
そのレクチャーでは、「成人は通常、睡眠時間の20〜25%をレム睡眠に費やしており、レム睡眠が少ないと学習テストの成績が低下する傾向があること、また、レム睡眠の割合が25%以上の人は、学習テストの成績が良くなる。」という虚偽の説明がされました。
また、脈拍、心拍数、脳波の周波数を測定する機器に接続され、「これらの機器により、前日夜にどれだけのレム睡眠をとったのかを把握することができる。」という、これまた虚偽の説明がされました。
そして、被験者一人一人に、16.2%または28.7%のレム睡眠をとったと伝えました。
(実際には脳波しか測定していないし、どれだけのレム睡眠をとったのかの計算もされていない。)
このような心理的なコントロールを受けた後、被験者は聴覚的注意力と処理速度を測定するテストを受けました。
(実験は2回行われ、実験の偏りをコントロールしながら、同じ条件の実験が繰り返された。)
プラシーボ睡眠、もしくはプラシーボ寝不足によりパフォーマンスが変わる
上述の実験の結果、レム睡眠が平均以上であると言われた被験者はテストのパフォーマンスが高いことが示されました。
また、レム睡眠が平均以下であると言われた被験者は、テストのパフォーマンスが低いことが示されました。
この結果は、被験者が自己申告した睡眠の質にフォーカス(自己申告による偏りを排除)をしても同様の結果が得られました。
つまり、実際の睡眠の質に関する自己申告よりも、研究者から与えられた「嘘の情報」に大きな影響を受け、パフォーマンスが変化したのです。
まとめると、「寝てないアピール」はプラシーボ効果で本当に寝不足と同じ悪影響を受ける可能性があるということです。
自分がどれだけ疲れているのか、口にすることはパフォーマンスに悪影響を与える可能性があることを考えると、「よく寝た」「元気だ」と口にする方が良いと言えるでしょう。
「寝てないアピール」は、マウンティングとしても効果がありませんしね。
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