部下に自分事で考えて動いてもらうためにはどうしたら良いのか?

マネジメント・リーダーシップ

統制の所在(locus of control:ローカス・オブ・コントロール)の考え方を元にした研究では、部下の職務上の自律性を高めれば、時間の経過とともに統制の所在が内的になる、つまりは自分事で考えて動いていく形にパーソナリティが変化していく、としています。

ここでは、部下に自分事で考えて動いてもらいたい、と考えるマネージャーや経営者へのヒントを提示します。

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統制の所在の考え方

まずはじめに統制の所在についてです。

統制の所在(とうせいのしょざい、英: locus of control)またはローカス・オブ・コントロール(LOC)は、行動や評価の原因を自己や他人のどこに求めるかという教育心理学の概念。
統制の所在が内側 – 良くも悪くも自分のせいと考える。テストで良い/悪い点を取ると、自身の努力や能力を褒める/責める。
統制の所在が外側 – 良くも悪くも環境のせいと考える。テストで良い/悪い点を取ると、テスト内容や教師の質を褒める/責める。

Wikipedia「統制の所在」より

統制の所在が内的の人は、何かしらの課題を達成した後、目標のハードルを上げやすく、逆に失敗した場合には目標を下げる、という傾向があります。
他にも、次のような傾向があるとのことです。

  • ~したい、~することを選ぶ、是非とも~したい、という用語を使う
  • 他の人に影響を与えようとする
  • 誰が言ったか?ではなく、何を言ったか?に着目する
  • 失敗や失望に対して、自分自身を抑圧する
  • 自分がコントロールできることに時間とエネルギーを集中し、また出来事を定義し物事を実現していく

統制の所在が外的な人は、逆に、何かしらの課題を達成した後、目標のハードルを下げやすく、失敗した場合には目標をあげる、という傾向があります。
他の傾向は次のようなものです。

  • できない、~しなければならない、~するべきだ、という用語を使う
  • 周囲の人々に影響を受けやすい
  • 何を言ったか?ではなく、誰が言ったか?(ステータス、地位、肩書等)に着目する
  • 失敗に対して、不安や罪悪感を感じにくい
  • 日々の出来事に反応する、人に頼りがち
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統制の所在が内的だと「自分事で考えて動ける」

この統制の所在自体には良し悪しは無いはずではあるのですが、一般的には統制の所在が内的の方がメリットが多いと言われています。

例えば、母親の統制の所在が内的の子どもは、学力が高くなる傾向があるとされています。

子どものためにより良い食事を与えたり、物語を聞かせたりするため、子どもも勉強に関心を持ちやすい、ということです。
逆に統制の所在が外的な人の子どもは、自分の子どもの成績が悪いのは遺伝の影響や、学校の問題だ、と言う風に考える傾向があります。

そして、統制の所在が内的だと「自分事で考えて動ける」ため、成功者に多い気質だとされています。

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部下に権限を与えて自由に仕事をしてもらえば、自分事で考えて動けるようになっていく

部下に仕事上の自律性を与えると統制の所在が内的になる

それでは本題ですが、次に紹介する論文は、部下に仕事上の自律性を与えると統制の所在が内的になる、つまりは自分事で考えて動けるようになることを示唆しています。

ScienceDirect

研究では、約3千人の被験者を対象に、4年間に渡る追跡調査が行われました。
調査では、仕事上の自律性やスキル活用が、従業員満足度や統制の所在にどのように影響を与えるのかが分析されました。

分析の結果、仕事上の自律性が、統制の所在を内的にすることに影響していることが示されました。
スキルの活用度合については、従業員満足度を高めることには繋がれど、統制の所在に影響を与えることはありませんでした。
また、従業員満足度が統制の所在に影響を与えることも確認できていません。

部下に権限を与えるのが重要、ということ

つまり、部下に権限を与えて自由に仕事をしてもらえば、自分事で考えて動けるようになっていく、ということです。

ジョブとスキルがマッチした環境とか、従業員満足度が高い環境とか、そういうものは部下が自分事で考えて動くかどうかには、関係がない、ということでもあります。
(日本だと、ここにフォーカスした施策の方が多い感じですね。)

非常に当たり前で、一般的にそうだよね、と思われるであろうことです。

しかし、多くの職場で、「自分事で考えろ!」「もっと自律的に動け!」と言うものの、適切な権限を与えない、自分で考えて行動したら「勝手なことをするな!」と叱られる、というようなことが行われているのではないでしょうか?

部下が自分事で考えない、尻が重くて中々動かない、とするのであれば、その責任は部下ではなく上司や経営者にあります。
そして、そのように捉えることこそ、統制の所在が内的であると言えます。

部下に「統制の所在が内的であって欲しい」と思うのであれば、それを実行するのは上司・経営者からです。

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