思いついたアイデアは移動をすると何故すぐに忘れてしまうのか?という話

生産性・業務効率化

何かアイデアを思いついて、そのアイデアを書き留めよう、実行しようとして部屋を移動します。
すると何故か、さっき思いついたばかりのアイデアを忘れてしまう。
そんな経験をしたことがある人も多いでしょう。
何故、このような現象が起きるのでしょうか?

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バーチャルリアリティーにおける記憶保持の実験

記憶というものは、本の中の情報のように、連続した章やエピソードとして、脳に記録されます。

そのため、今現在のエピソード記憶は、過去のエピソード記憶よりも記憶が保持されやすく、また思い出しやすくなるのです。

この点について、リンク先の記事でいくつかの実験が紹介されています。

最初に紹介された実験では、部屋を移動するたびに新しい記憶のエピソードがつくられ、その結果として、前にいた場所での記憶を思い出すことが難しくなる、ということについて研究が行われています。

実験はバーチャルリアリティー空間で行われました。

数十人の被験者を対象に、モニターに表示されたバーチャルリアリティー空間の中を移動してもらいました。
VR空間には大小55の部屋があり、小さな部屋にはテーブルが1つ、大きな部屋には両端に計2つずつのテーブルが置かれています。

実験では、テーブルに置かれている物を拾い、部屋の中や次の部屋に移動しながらテーブルに置かれていた物と交換していく、というアクションが繰り返されました。

テストでは、新しい部屋に入るタイミング、もしくは大きな部屋を横切るタイミング(次のテーブルに移動するタイミング)で行われ、画面上に表示された物の名前を見て、それが今持っている物なのか、それとも今置いた物なのか、思い出してもらいます。

その結果、同じ部屋の中を移動するよりも、次の部屋に移動した場合の方が記憶力が低下することがわかりました。

つまり、次の部屋に移動したタイミングで、新しいエピソード記憶により上書きされていく、ということです。

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リアル空間における記憶保持の実験

それではリアル空間ではどうでしょうか?

2つ目の実験では、現実の空間に、複数の部屋とテーブル、様々な物を設置し、VR空間と同様の環境が作られました。

そして、物を持って移動、交換しまた移動、というアクションが繰り返されました。
自分が今現在持っている物は箱の中に隠れており見えない状況です。

そしてVR空間と同様に、時折、持っている物や直近置いた物について、記憶のテストがされました。

その結果、部屋の中を移動するよりも、別の部屋に移動する時の方が記憶力が低下する、という事象が再現されました。

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アイデアを思い付いたらすぐにメモを取ろう

なお、前の部屋に戻った際の記憶についてもテストされ、同様に記憶力の低下が起きることが示されています。
これは、前の部屋に戻った時に過去のエピソード記憶を想起するのではなく、部屋を移動するたびに、例えそれが前にいた部屋であっても新しいエピソード記憶が作られていく、ということを意味します。

人の記憶力というものは非常にあやしいものということがよくわかる研究です。

結論として言えることは、アイデアを思い付いたらすぐにメモを取ろう、という所でしょうか。

なお、長時間労働を行うと記憶力が低下する、という研究もあります。
これは睡眠により記憶の定着が行われない状態が続くとエピソード記憶がたまりすぎて脳が混乱するからかもしれません。

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