仕事での「燃え尽き症候群」対策~回復方法はシンプル~

生産性・業務効率化

仕事で頑張りすぎて「燃え尽き症候群」になってしまう方が大勢います。 趣味で気晴らしをしたりと、独自の方法で対策をしている方が多いかと思いますが、ここでは科学的な対策、回復方法を解説します。

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忙しい人向けまとめ

  • 燃え尽き症候群はWHOからも認定されいる健康状態に影響する要因
  • 問題が起きている状態ではあるが、「疾病」とはされていない
  • 自分自身が受ける「周囲からの様々な期待や要求、労働時間、その他諸々のストレス(ストレッサー)」などに対して、「報酬、評価、公平性、人間関係、安心感」などに対する自分自身の欲求のバランスが欠いたときに発生する
  • バカンスに行くなどの、根本的解決から目をそらしたものは効果が薄い
  • 対策は、「運動をする」「睡眠をしっかりとる」「人間関係を良好にする」「環境を変える」「圧倒的な実力をつける」
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燃え尽き症候群とは

燃え尽き症候群は、アメリカの心理学者ハーバート・フロイデンバーガー博士が提唱した考えです。

2022年に発効する世界保健機関(WHO)の新しい国際疾病分類(ICD-11)の中で、健康状態に影響する要因の中の、不適切な慢性的な職場ストレスによるものとして記載がされています。
この中では、問題が起きている状態ではあるものの、「疾病」とはされていません。

一つ古いICD-10では、生活管理困難に関連する問題の中の、重要な枯渇の状態とされ、こちらも同様、「疾病」とはされていません。
その状態として次の3つがあげられています。

  • 極度の疲労感:エネルギーが枯渇、または消耗したという感覚
  • 皮肉っぽさ(離人症):仕事への忌避感の増加、または否定的ないしは冷笑的態度の発露
  • 無力感:能率の低下

具体的には、酷い疲労感により朝起きるのが辛くなったり、会社に行きたくない、仕事をしたくない、というような状態であったり、
常にイライラしていて、突発的な行動(退職、過度な浪費、極端な飲酒など、最悪の場合の結果も含む)に出たり、
家庭環境やほかの人間関係への悪影響などが出たりします。

燃え尽き症候群は決して珍しいものでは無く、ドイツの調査では労働人口の6%程が症状を示しているそうです。
イギリスの調査では、3社に1社に、自社内に燃え尽きている人がいる、と回答しています。

なお、日本では、例えばスポーツ選手などが、華々しい結果を出したあとに、打ち込むものが無くなってしまった喪失感、というようなニュアンスでも使われます。
これは、若干正確性に欠ける理解です。

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燃え尽きの原因と効果のない対処方法

燃え尽き症候群の原因に対するよくある誤解として、「長い期間に渡って、過度に働きすぎた結果」というものがありますが、これは一つの可能性にすぎません。
実際には、自分自身が受ける「周囲からの様々な期待や要求、労働時間、その他諸々のストレス(ストレッサー)」などに対して、「報酬、評価、公平性、人間関係、安心感」などに対する自分自身の欲求のバランスが欠いたときに発生するされています。

そのため、仕事に限らず、例えば「親が過保護な場合」「親から過度な期待をされている子供」も燃え尽きやすいと指摘されています。
親からの高い期待をされて支援、管理もされているが、それに応えることによって自分の人生がどれだけ良いものになるのか?自分にとって幸せなのか?というマインドになり、燃え尽きてしまう、ということです。

燃え尽き症候群への対処方法として、よく気晴らしとして「バカンスに行く」という方法があげられますが、これは効果がありません。
いくつか研究によって、バカンスで元気にはなったが、その持続時間は短く、数日から3週間ほどで、元の燃え尽きた状態に戻ってしまったという結果が示されています。

燃え尽き症候群の原因を端的に表現すると「周囲からうけるストレスに対する、自分自身の報われ感のバランスが欠けた時」である以上、大本の自身を取り巻く環境が変わっていない以上、一時的に回復したとしても、元の燃え尽きた状態に戻ってしまうのは当然と言えます。
根本的な問題を解決していないのですから。

ではどうすれば燃え尽きないのか?

ここまでは燃え尽き症候群になってしまう原因と、よくある勘違いに関して解説してきました。
ここからは、具体的に燃え尽き症候群にならないための、もしくはなったとして回復するための対策を、科学的な知見と、科学的ではないが多くの成功者が語る経験談を元に解説します。

運動をする

まず1つ目が「運動」です。
「運動かぁ、、、」とがっくり来るのは早いです。
豪ニューイングランド大学の研究によると、持久力系の運動、筋力トレーニングのどちらでも、継続的に運動を継続している方は「幸福度」が向上し、「達成感」も得られたという結果が出ています。
また、「メンタルヘルス」の改善や「ストレス指数」の減少も併せて見られました。
加えて、運動を継続している従業員は、病気欠勤の割合が9分の1になり、生産性が大幅に向上するとのことです。

睡眠をしっかりととる

睡眠とメンタルヘルスは密接な関係があります。
睡眠時間が短い、あるいは長すぎる方は、心身ともに不調に陥る傾向があることが示されています。
適切な長さは人によって違うのですが6時間から8時間、比較的最近の研究では7時間~8時間が適切であるという主張が多いです。
なかなか寝付けない、という方も多いと思いますが、上述した運動をすると、良質な睡眠をとりやすくなります。

こちらの記事では、燃え尽き症候群に関して心理学者の方が解説しており、自分自身に対してしっかりとケアをすること(食事、運動、睡眠)の大切さを説いています。

また、こちらの記事で解説していますが、寝る前の電子機器の使用は、良質な睡眠を妨げるので注意が必要です。
寝る1時間~2時間前は、光を発する電子機器の使用は控えましょう。

人間関係を良好にする

周囲の人にサポートの手を差し伸べたり、ポジティブなフィードバックをすることが、自分自身へのストレスを軽減させ、健康水準の向上に寄与する、という研究結果があります。
不足した場合に燃え尽き症候群の原因にもなる「評価」や「人間関係」、「安心感」という欲求を満たすためにも、職場の中で相互にサポートしあい、フィードバックをしていくことは、重要でありかつ効果があります。
組織全体で燃え尽き症候群を防ぐことにつながるので、助け合う、賞賛しあう文化を社内で作ってみてはいかがでしょうか。

また、親しい友人を大切にするのもストレスに強くなる効果があります。
子どもに対する調査ではありますが、親しい友人が一人でも存在する子は、存在しない子よりも、「レジリエンス」という対ストレス能力が高いことが示されています。
長く連絡をとっていない親しい友人がいるのなら、是非、食事に誘ってみるとよいでしょう。

環境を変える(例えば転職をする)

ストレスフルであり、それに対応するだけの自分が望むものを得られない職場であるならば、素直に転職するのも一つの手です。
「嫌なら辞めればいいじゃん」という身も蓋もない話ではあるのですが、自分の希望がかなえられる職場を探すのは、合理的であると考えます。

その際には、ただ単純に「嫌だから」「自分にあわないから」というような理由だけで転職するのではなく、「自分がやりたいことは何だろうか?」「自分が譲れない要素はなんだろうか?」という点を考えて転職活動に臨まなければ、同じような結果が訪れてしまうでしょう。

転職が不安ならば、「自分がやりたいこと」がやれるポジションへの異動を会社に直訴するのも考えられます。
会社は、シンプルに従業員がやりたいことを把握していないがために、適切なポジショニングができていない場合が多くあります。
ですので、必ずしも有用とは限りませんが、効果がある場合があります。

圧倒的な実力をつける

もう一つおすすめなのが、「圧倒的な実力をつける」ことです。
これも身も蓋もない話ではあるのですが、圧倒的な実力をつけると、高い成果を出せるので、周囲からの賞賛や高い評価を得やすくなります。
また、どういう状況であれ、自分自身が成果を出せることを重々承知しているので、周囲からの評価を一々求めなくなります。

成果をだせるので、そもそもとして周囲からの成果に対するプレッシャーが問題になりません。
望まない環境であった場合の、転職度の自由度も、はるかに高くなります。
どういう環境下でも、一定程度やっていける自信もあるので、安心感も満たされます。
(もちろん、これらは人によります。承認欲求の塊のようなハイパフォーマーも大勢います。優秀なのに自身が無い方もいます。不思議ではあります。)

そうはいっても、どうやれば、その実力をつけられるのか?という問題があります。
一つシンプルな方法は、やはり勉強です。
勉強という新しいチャレンジ自体が「環境を変える」ことにもつながるため、ストレスへの対処方法にもなります。
こちらでは、忙しい現代人にとって有用な、本当に効率的な勉強法について解説しています。

まとめ

見てきた通り、燃え尽き症候群は「周囲からうけるストレスに対する、自分自身の報われ感のバランスが欠けた時」に発症します。

対策は、「運動をする」「睡眠をしっかりとる」「人間関係を良好にする」「環境を変える」「圧倒的な実力をつける」の5つです。

色々書きましたが、この内、もっとも効果が高いと感じるのが最後の「圧倒的な実力をつける」です。
本当に身も蓋も無いのですが、やはり圧倒的な実力を身に着けると、会社に対する発言力やコントロール権が増します。
こういう状態は、求められる成果の絶対量と質は高くなりますが、自尊心が満たされるだけでなく、純粋に楽しいものですし、給料も高くなりやすいです。

結局のところ、燃え尽きかねない状況を何とか乗り越えて、自分自身のステージを一段階あげるのが一番効果的なのです。

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