今回はポジション・トークの話です。
リモートワークって結局、良いの?悪いの?
どちらなのでしょうか?
世の中の言説は、結局の所「ポジション・トーク」
ポジション・トーク、という言葉を聞いたことがあると思います。
主に金融の世界で使われる言葉なのですが、一般用語としても当たり前に使われます。
使われ方、意味合いとしては次のようになります。
「それぞれの立場から自分に都合の良いことを言う。」
では、このことを前提にリモートワークって結局の所、良いのでしょうか?悪いのでしょうか?という点を考えてみたいと思います。
(推進した方が良いのか、これまでの会社への出勤形態の方が良いのか。)
結論、どちらの立場でも物を言えてしまいます。
良いとする立場(推進派)
一例ですが、リモートワークを推進する立場からの発言です。
リモートワークは非常に効率的だ。
通勤の時間で無駄に消耗しないし、自分にとってリラックスできる空間で仕事ができて効率的。
余計な雑談や、会議のような時間の無駄も減らせる。
リモートワークに反対するのは、時代遅れの人間のやることだ。
なるほど、と思います。
ロジカルシンキング的には下記ポイントがあり、「リモートワークは良い、反対するのはおかしい。」と言っているわけです。
- 通勤時間の削減ができる
- 集中できる環境で仕事ができる
- 見えていなかった業務上の無駄が明らかになる
他にも色々な観点で物が言えそうです。
考えられる点としては、次のようなポイントを列挙できます。
- 遠隔地の優秀な人材を雇用できる
- オフィスを縮小化できるので固定費削減になる
- 育児や介護などの問題で働けなかった人が働けるようになる
ふむふむ。
これだけ聞くと、リモートワークを推進しない手はないじゃないかぁ!となるのは短絡的です。
反対の立場からでも考えてみましょう。
悪いとする立場(出勤派)
リモートワークはかえって業務効率を下げる。
まず、何か新しいことを教えるにも、非常にやりづらい。
新人教育や業務引継をどうすれば良いのか。
次に、何をやっているのか見えづらいから、プロセス、頑張りを評価することもできない。
また、顔が見えないが故に、疲れているのか、精神的に参っていないか、の把握も遅れる。
実際に、休職者が増えている。
やっぱり、リモートワークを無理に推進しようというのは、極端な意見だ。
確かに、論理構造としては全くおかしくありません。
主張は次の3点でもって(多少、肉付けしています)、「リモートワークは悪い、推進するのは極端な意見だ。」と言っています。
- 特に新人を中心に、教育上の問題がある
- (仮に業務記述書を作成したとしても)プロセス評価がしづらい
- 業務負荷・メンタルケア上の問題がある
こちらも、良いとする立場と同様、他にも色々な観点で物が言えます。
- 情報漏洩のリスクが高まる
- コミュニケーション不足になりチーム・ビルディングに影響する
- 意図しないコミュニケーションで発生する、新しいアイデアの創発に弊害が出る
- リモートワークに対応する機器やシステムの導入が必要だから追加コストがかかる
ここまで見てきて、どう感じたでしょうか?
ポリシーの明確化が重要
ようは、人が何か主張をしようという時は、何かしらの立場があって発言をしている、ということです。
つまり、ポジション・トークなんですね。
ニュートラルに会社の立場で考えて発言している、と言っても、結局それは従業員側からしてみれば、会社側からのポジション・トークになるわけです。
では、ポジション・トークが悪いのか?というとそうではありません。
一番重要なのはポリシーの明確化です。
うちは資金も十分にある。
無理に社員を出勤させて万が一何かあっては、レピュテーション・リスクとか、むしろそちらの方が問題だ。
今回はリモートワークを推進する方向性で進める。
でも良いですし。
この状況は、会社にとって大きなチャンスだ。
それに冷静に調べれば、手洗い・うがい,マスク,消毒液をはじめ、当たり前の対処をすれば感染リスクも無い。今は、このチャンスを獲得することを優先する。
社員には、何とか出勤する方向で納得してもらう。
でも良いでしょう。
(どちらの選択をして、従業員や顧客、社会がどう思うかは、ここでは別の話として。)
リモートワークの良し悪し、効率・非効率の話をしても、あまり意味がありません。
所詮は、どこまで行ってもポジション・トークだからです。
真に会社にとって必要なことは何か?
この観点で物事を考え、ポリシーを明確化し、意思決定を行っていくのが良いでしょう。
(まぁ、この締めくくりも会社という立ち位置で書いているので、ポジション・トークですし。)
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