ビル・ゲイツ氏と皿洗い

生産性・業務効率化

マイクロソフトの創業者であり、世界に革新をもたらした「Windows」を世に送り出したビル・ゲイツ氏が、3月13日にマイクロソフトの取締役を退任する、という報が流れました。
時代の流れを感じつつ、ここではビル・ゲイツ氏のある習慣について紹介します。
それは、「皿洗い」です。

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ビル・ゲイツ氏の習慣

ビル・ゲイツ氏は、自身の習慣として、皿洗いを毎日夕食後に行っているそうです。
ハウスキーパーなどを雇うことに、一切不自由がないであろう彼が、何故自分自身でそのような家事を行うのか?
「自分の皿洗いのやり方が好きだ」と彼自身は回答していますが、皿洗いにはストレスレベルを下げて、インスピレーションをえる力も向上することが、いくつかの研究で示されています。

なお、アマゾンCEOのジェフ・ベゾフ氏も同じく、皿洗いをする習慣があるそうです。
彼曰く、「私がすることの中で最もセクシーなことだと、確信している」とのことです。

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皿洗いの効能

米フロリダ大学の研究により、上述の通り、皿洗いにはストレスレベルを下げるという効果が示されています。
具体的には、「皿洗いに集中し、一枚一枚丁寧に、注意深く洗う」ことにより、ストレスレベルが約30%低下するという効果が見られたそうです。
研究チームは、皿洗いに「マインドフルネス」の効果あると話をしています。

何も考えずに皿洗いをした場合には効果が見られませんでした。
また、皿洗いには、水の感触や温度、お皿の感触、洗剤の感触や匂い、タスクを処理するということそのものなど、心理に与えるいくつかの要因があるため、具体的にどのような要素がストレスレベルを低下させるに至ったのかは、不明とのことです。

米カリフォルニア大学の研究によると、高い認知能力を要しない作業、つまり単純作業を行うと、脳がなんてことのないよしなしごとを考えはじめるため、クリエイティブな発想につながりやすい、という結果を出しています。

英ランカシャー中央大学の研究では、アドレス帳からの電話帳のコピーという単純作業を行った後、クリエイティブに発想する力が高まったという結果を出しています。
研究者は、職場での退屈な仕事は否定的にとらえられていましたが、実はクリエイティブな側面をもつ、肯定的なものなのでは、としています。

これは私自身の実体験としても、難しい頭を使うタスクの合間に、比較的簡単なタスクを挟み込むと、長い時間集中力を維持して働けることを実感しています。
ずっと同じ難しい頭を使うタスクを行っていると、数時間で頭がボヤっとしてきますが、きちんと「息抜き」を挟んでいくと、一日中働いていられます。

他の多くの人からも、お手洗いやシャワーを浴びている時など、インスピレーションをえやすい、という話を聞きます。
ボーっとするなり、ただ手を動かして無心になっている時、その感覚がディスプレイの中の文字やグラフを見ているときと比較して、「脳にスペースが生まれる感覚がある」というのです。

ここで当たり前に注意しなければいけないのは、「皿洗いをすれば成功するわけではない」という点ですね。
「成功者は、いわゆる雑務も大切にする」が「雑務をしている人が成功するわけではない」ということです。

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皿洗いはカップルの関係も良好にする

米ユタ大学の研究によると、家事は様々にあるけれども、その中でも皿洗いの分担はカップルの関係への影響が大きいとしています。
それは、皿洗いは料理やガーデニングなどとは違い、賞賛されることのない類の家事だからとのことです。

日本においても、「夫婦で押し付け合いになる家事」の1位に「食器洗い」がきています。
同様に「夫婦喧嘩のもとになる家事」の2位にランクインしています。

食器洗い乾燥機の導入が、時短効果として、よく取り上げられますが、あえて「クリエイティブな能力の向上」の観点で、皿洗いに取り組んでみるのは、一つの案として良いかもしれません。
何事も「意思をもって取り組む」ことは、プラスの結果を生みやすいものです。

最後に、ビル・ゲイツ氏に敬意と謝辞を

最後に、マイクロソフトを退任し、慈善事業にフォーカスするというビル・ゲイツ氏に、改めて敬意を表すると共に謝辞を述べたいと思います。

1995年にWindows95が発売された時、私はまだ、これから中学生になろうというタイミングでした。
その時は自宅には書院のワープロがある位で、自宅のパソコンというものはありませんでした。
近くの電気店であこがれをもって眺めていたものです。

その後入学した中学では、大量のFM TOWNSが導入されていました。
また、PC-9800も1台だけでしたが、設置されていました。
私はここで、ベーシックをはじめ、いくつかのプログラミング言語を独学で学ぶ機会を、幸運にも得ることができました。

Windowsに本格的に触れるようになったのが、家族の就職活動で必要だから、ということで購入したコンパックのデスクトップです。
高校2年生あたりだったかと思います。
インターネットにはダイヤルアップでの接続という、不便なものでしたが、私はむさぼるようにパソコンをいじり倒しました。
今は懐かしいFlashを使ったサイトや、某有名掲示板、様々なゲーム、そういったものを楽しみつつ、自分自身の勉強にWordやExcelを使っていました。
私の今の(自分で言うのは若干憚られる)高い事務処理能力の基礎は、この時代に築かれたのでしょう。

その後、大学に入学し、アルバイトでお金を稼げるようになってからはまったのが「自作PC」です。
今は休刊になってしまった「日経WinPC」や、なんとか続いていたけれども昨年に休刊してしまった「DOS/V POWER REPORT」を読み漁りつつ、たまたま実入りのよい仕事(理系だったので、研究系の仕事を先輩から紹介された)をしていたので、かなりの金額を自作PCにつぎこみました。

就職してからは、ずっと管理系の仕事をしていたので、MicrosoftOffice製品とは仕事上でも長い付き合いとなります。
高校・大学と、がっつりOffice製品を利用していたので、最初に就職した会社では非常に重宝されました。
マクロも組めたので、諸先輩方の何倍もの効率で仕事ができ、誇らしかったことを覚えています。

ノートパソコンの性能が一定水準以上になってからは自作PCをやめてしまったので、自分でWindowsをインストールする、ということは無くなってしまいましたが、最先端のものを使う、というマインドは色々な所に影響したと感じています。
例えば、2008年にiPhone3Gが日本で発売されてからは、多分、大多数の日本人の中では、かなり早くスマートフォンを使うようになりました。
まだ、折り畳み式の携帯電話、いわゆる「ガラケー」が主流の時代です。

だらだらと書いてきましたが、ようは、20年以上の時間(私の人生の半分以上)を、Microsoft製品と過ごしてきた、ということです。

ビル・ゲイツ氏の今回の退任は決してネガティブな内容ではないとのことです。
元々、第一線からは離れていたので、一定予期はしていましたし、すでに慈善活動家としてポリオ撲滅など、あらたな領域で戦っていたので、今回の報は決して驚くものではありませんでした。
しかしながら、私の人生を振り返りつつ今回の報を聞いた時、非常に思い出深く、そして感慨深く感じたのです。

彼は2007年のハーバード大学の卒業式でも「多くを与えられた人が、人助けをしないで、いったい誰がやるのか?」という趣旨のスピーチをしています。
今回の慈善活動へのフォーカスについても、どれだけの想いをもっての選択なのか、僭越ながら感じ入るものです。

そして、今回の報をもって、自分自身がどれだけ社会に対してコミットできるか、覚悟をもって臨めるか。
自分自身が「多くを与えらえた人」だと信じ、そして仕事で成果をだすだけのみならず、世界の不平等や横たわる諸問題に対して貢献していくか、改めて決意を表明するものです。

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