前回は、いきなりインプットから入るより、アウトプットできない部分を明確にしてからインプットした方が良いよ、ということで、いきなりですが例題から入ってみました。
今回は、簡単に財務3表の解説を行っていきます。
とは言え、結構、というか超重要です。
前回はこちらです。
企業はどんな活動をしているの?
何かを仕入れて、何かを売る。
こういう「営業活動」については、多くの働く方にとって馴染みの深い経済活動かと思います。
でも実は、会社という存在は、実に様々な活動を行っています。
次の図を見てみて下さい。
これは、事業会社の活動の全体像概要図です。
まず何かしら事業を行うにあたって、「お金」というものが必要になります。
このお金はどこから調達してくるのでしょうか?
何も無い空間から、ぽっと出てくる、なんてことは無いですよね?
この事業活動を行うにあたって必要になるお金、これは株主や銀行から「①資金調達」をする必要があります。
出資をしてもらったり、お金を貸してもらったりするんですね。
なお、一番最初に会社を設立する際の出資、これは大体の場合、社長様ご自身が出資をする例が多いです。
そして、この調達したお金をもって、「②投資」を行います。
事務所としての本社や、何か売る商品を作るための工場、サービス提供のためのシステム投資をはじめ、別の会社を買収するM&Aなどが、この投資です。
この投資を行うことによって、ようやく営業活動が行えるようになります。
(もちろん、行う事業によって、この投資の大小は異なります。)
そうして、行った「③営業」において、物を仕入れて、商品を売って、経費を支払って、利益を出します。
(場合によっては損、つまり赤字を出します。むしろ、創業初期は赤字である場合の方が多いですね。)
出した利益は、「④資金分配」として、銀行への利払・元本返済、つまり借りたお金の返済を行ったり、株主への配当を行ったりします。
そうしてそうして、余ったお金、つまり余剰資金が出て、これを再投資して、改めて投資活動や営業活動を回していきます。
この一連の流れが「事業活動」です。
複雑なように見えるかもしれませんが、流れ自体は慣れればシンプルなものです。
営業活動だけに注目されがちですが、全体の流れを俯瞰してみる事が、数字に、会計に強くなるための第一歩です。
ここで家計簿について考えてみよう
それでは次に、家計簿について、ちょっと考えてみて下さい。
家計簿について考えてみる
みなさん、家計簿はつけるでしょうか?
最近は紙の家計簿だけでなく、アプリにより、一定自動で集計できるサービスも増えています。
この家計簿には次のような機能があります。
- 一定期間のお金の出し入れを時系列に沿って記録できる
- 収入や支出を項目別に分けて記載できる
- 記録が簡単(面倒ではあるけれど)
- 収入や支出の内訳・構成がわかる
- 現預金の残高もわかる
しかし、家計簿では、ビジネスをやる上で足りない機能が多くあります。
家計簿ではビジネスで使うには不足がある
ビジネスにおける足りない機能とは、例えば次のようなものです。
- 資産や債務の状況がわからない
- ある期間にいくら儲かったのかの正確な数字は解らない(カード払いや銀行のローンなどにより)
- 記録する人によりルールがまちまちで統一性が無い
そこで発明されたのが財務3表です。
超大事な財務3表
財務3表には次のような利点があります。
- お金を集め、何に投資し、利益をあげる、という3つの活動を表現できる
- 資産や債務を正確に把握できる
- 期間利益を正しく算出できる(収支の期間を一致させる機能により)
- 統一された会計のルールがある
- 財務3表通しで数字がリンクしている(複式簿記の機能により)
図で見てみましょう。
財務3表とは、
どれくらい利益をあげているのか、を示す損益計算書(PL)
お金をどのように集め、何に投資しているのか、を示す貸借対照表(BS)
会社の現預金の動き、を示すキャッシュ・フロー計算書(CF)
の3つのことです。
これら3つはそれぞれリンクし、
「資金を集め、投資し、売上を通して利益をあげ、そして出したキャッシュ(お金)を分配する」
という企業の活動を表現することができます。
財務3表が存在することにより、企業は自分たちの事業活動が適正か否かを判断でき、そして銀行や株主も会社にお金を出して良いのか否かの判断ができるようになるわけです。
つまり、超大事、ということです。
この3つ、財務3表をここで覚えて下さい。
- 損益計算書(PL)
- 貸借対照表(BS)
- キャッシュ・フロー計算書(CF)
例題と回答を見てみる
問題1:財務3表とは
財務3表とは、(①)をあらわす「貸借対照表(BS)」と、(②)を表す「損益計算書(PL)」、(③)を表す「キャッシュフロー計算書(CF)」のことを指す。
- どのくらい利益をあげているか
- どのくらいの経営効率があるか
- 会社のお金の動き
- どのようにお金を集め、それを何に投資しているか
- 会社の資本の動き
解答1:財務3表とは
① どのようにお金を集め、それを何に投資しているか
② どのくらい利益をあげているか
③ 会社のお金の動き
今回、押さえていただきたいのは、ビジネスの流れの話と、その流れが財務3表によって示されているという点についてです。
この話は、仮に起業をしたい、ということになったのなら、必然的につきまとってくる話です。
また、会社員として働いていても、役職があがればあがるほど、関係性が強くなってくる話です。
会計の話は、本当に小難しいことが多いですが、是非、しっかり押さえていただければと思います。
本記事は管理会計基礎講座というテーマで連載を進めています。
次回は、貸借対照表(BS)の概要についての解説です。
その後の予定としては、損益計算書(PL)、キャッシュ・フロー計算書(CF)、そして改めて財務三表のつながりについて、ざっくりとした見方やポイントについて解説する流れで考えています。
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