株主総会をオンラインのみで開催できるようにする法律が9日可決されました。
これまではバーチャルオンリー株主総会のハードルは非常に高いものでしたが、今回の改正で大きくハードルが下がる可能性があります。
しばらくはハイブリッド型がメインになるでしょうが、実例が増えれば会社・株主双方の利便性が大きく向上するかもしれません。
改正産業競争力強化法が改正
次のとおり、「改正産業協力強化法」が改正された模様です。
第六十六条 金融商品取引法第二条第十六項に規定する金融商品取引所に上場されている株式を発行している株式会社(以下この条において「上場会社」という。)は、株主総会(種類株主総会を含む。以下この項及び次項において同じ。)を場所の定めのない株主総会(種類株主総会にあっては、場所の定めのない種類株主総会。以下この項及び次項において同じ。)とすることが株主の利益の確保に配慮しつつ産業競争力を強化することに資する場合として経済産業省令・法務省令で定める要件に該当することについて、経済産業省令・法務省令で定めるところにより、経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合には、株主総会を場所の定めのない株主総会とすることができる旨を定款で定めることができる。
衆議院「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」
経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合、とあるのですが、ここの部分が具体どういう事なのか?
こちらは具体がわかり次第、記事にしていきたいと思います。
準備を進めている企業の存在も
審議が遅れた影響で今期(2021年3月期決算)の株主総会には間に合わないでしょうが、着々と開催できるよう準備を進めている企業も存在します。
例えば武田薬品は今回直近の株主総会で、次のような定款変更を上程しています。
別の会社ですとZホールディングスも準備を進めています。
まだまだ完全オンラインの株主総会は、具体の運営上の課題が見えていない(解像度が低い)点もありますが、間違いなく実例は増えていくでしょう。
関連してハイブリッド型の株主総会の導入は必須となってくるのでは無いでしょうか。
上場企業は大体において東京に集中しているので、オンライン株主総会の普及は地方や海外在住の株主にとっても、極めて利便性が高くなるのは間違いありません。
今後は、具体の運用部分まで踏み込んで法改正されることを望みます。
株主総会が行われるより前に、決算発表、決算説明会はすでに終わっており、株主総会の開催までに1ヶ月以上の期間が空くのは通常の事です。
この期間で、質問を公に見える形で募集しつつ回答も行う。
十分な説明も事前に動画等で公表する。
株主総会本体自身は、あくまでも実際の決議を行う場(オフィシャルに意思決定を行う最高機関としての場)とする。
そのような具体の運用まで可能とする法改正にブラッシュアップできれば、日本のIRも相当な水準向上が図れるでしょう。
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