仕事をする上において、基本的には静かであることが求められます。
一方で、適度な騒音があること、例えばホワイトノイズはパフォーマンス向上効果がある、という説もあります。
果たして、適度な騒音はパフォーマンスをあげるのでしょうか?それともさげるのでしょうか?
子どもを対象にした実験
ストックホルム大学にて、子どもを対象に、ホワイトノイズがパフォーマンスをあげるのか、それともさげるのか、研究が行われました。
The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children - Behavioral and Brain Functions
Background Noise is typically conceived of as being detrimental for cognitive performance; however, a recent computational model based on the concepts of stocha...
実験では次のようなことが行われました。
- 11~12歳の生徒51名(男子25名、女子26名)が対象となった
- 生徒には、7段階の“注意力”の評価が行われ、6と7の評価対象生徒は“不注意グループ”とされた
- “不注意グループ”にはADHDの診断を受けた者はおらず、薬による治療を受けた者もいなかった
- 2×2デザイン(騒音レベル:低い高い)(グループ間変数は不注意レベル:普通不注意)を使用
- 51人の学生が、2つの騒音条件下でエピソードに基づく言葉の自由想起テストを行った
- 高騒音条件では、聴覚的背景雑音(ホワイトノイズ、78 dB)の中で動詞-名詞文を提示し、低騒音条件では、雑音なしで文を提示した
この結果、騒音の影響は、不注意グループの子どもの成績を向上させ、普通グループの子どもの成績を悪化させることとなりました。
(騒音が不注意グループと普通グループのエピソード記憶のスコア差を解消させた。)
つまり、適度な騒音は、注意力に欠ける人にとってはパフォーマンス向上につながるものになる可能性がある、ということです。
“適度”の加減は人により違いがある?
研究のバックグラウンドとして得られていた知見としては、次のようなものもあるようです。
こちらのグラフは、縦軸が認知機能テストのパフォーマンスで、横軸が騒音レベルで、一般的には騒音レベルが低すぎる場合と高すぎる場合にパフォーマンスが減衰する傾向があるようです。
また、不注意な子ども(成績の悪い子どもも)は、普通の子ども(成績の良い子どもも)に比べて、パフォーマンスが最適化されるためには、より高いレベルの騒音が必要とのこと。
つまり現状では、何が一番良いのかが判断つかない状況と言えそうです。
個人レベルで、自分にとって最適と思われる静粛さ(騒音の加減)を探っていくのがよさそうです。
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