ウーバーイーツの配達員を見かけることが、すっかり一般的になってきました。
配達員の仕事は、1件あたりの単価が低く、収益的に非常に厳しいと聞きます。
それでは、ウーバーイーツの配達員を支援するアプリ開発はどうでしょうか?
ウーバーイーツ配達員向けアプリ開発は儲かるか?を考えていきます。
(参考)フェルミ推定
フェルミ推定とは、実際に調べることが困難な数字や、感覚的に予測するすることが難しい数字を、論理的に算出する作業のことです。
大きい(または小さい)数字を、要素別に因数分解し、推測可能な(または既に知っている)情報の組み合わせにします。
有名なフェルミ推定例題としては「日本にある電柱の数は何本か?」というものがあります。
日本の国土は40万㎢であり、2割が都市、8割が地方とし、都市部は50m間隔に電柱が立っていると推測。
地方部は200m間隔に電柱が立っているとした場合。
都市部は50m×50mで2,500㎡に1本の電柱があり、地方部は40,000㎡に1本の電柱がある計算になります。
この例題の場合、日本の電柱の本数は、4,000万本と推定されます。
(実際の電柱の本数は3,600万本)
(40万㎢ × 20% ÷ 2,500㎡) + (40万㎢ × 80% ÷ 40,000㎡) = 4,000万本
フェルミ推定では、数字があっているあっていないは大した問題ではなく、その推論の過程が重要になります。
お題:ウーバーイーツ配達員向けアプリ開発の事業規模を求めよ
町の中を走っているウーバーイーツ配達員を見て、あなたは思いました。
「大変そうだなぁ。彼らを支援するようなアプリを開発できたら、彼らも助かって、自分も儲けられるかも。どうだろう?」
ウーバーイーツ配達員向けアプリを開発した場合、どれだけの事業規模を見込めるでしょうか?
イメージとしては、自転車に取り付けて、ナビゲーションや効率的な配送ルートを指示してくれる、一々ウーバーイーツの管理画面と別アプリをがちゃがちゃしなくても一連の操作がスムーズにできるスマートフォン・タブレットアプリです。
ビジネス向けアプリになるので、月額課金制のサブスクリプション型のサービスとなるでしょう。
フェルミ推定
まず一番最初に考えなければいけないのがウーバーイーツ配達員の人数です。
次に、アプリの使用率で、加えてそこから課金率、月額課金額を推測します。
事業規模は下記の計算式で求められるはずです。
ウーバーイーツ配達員向けアプリ事業規模
= ウーバーイーツ配達員人数 × アプリ使用率 × 課金率 × 月額課金額 × 12ヶ月
ここで一番推測がしづらいのがウーバーイーツ配達員の人数です。
東京、大阪、名古屋など、都市部に限定して存在し、主要な駅に5人ずつ程度、配達員がいると仮定します。
その他のパラメータをざっくり過程で置いて考えると、次のようになります。
ウーバーイーツ配達員向けアプリ事業規模
= 配達員5,000人 × アプリ使用率30% × 課金率50% × 課金額300円/月 × 12ヶ月
= 270万円/年
結構、小さいですね。
もう少し、市場を大きく捉えられないか?
ウーバーイーツ配達員の実際の人数に関して、統計的な資料は見当たりませんでした。
それでも大きな問題はありません。
年額売上高が270万円というのは小さすぎるので、想定に根本的な誤りがあり10倍の規模だったとしても、少なくとも法人で取り組むサイズ感でないのは明確だからです。
ここでは視点を変えて、「もう少しスケールさせられる方法は無いか?」を考えてみます。
まず、食事の配達を考えた時に、「出前館」という大手の存在が浮かびます。
ウーバーイーツに限定せず、食事宅配を考える方々向けのアプリを考えるのです。
また、リンク先の記事を見ると、何人もの配達員を束ねてグループで活動している団体も存在するとのこと。
グループ単位で活動している配達員向けアプリも考えられます。
この場合、サブスクリプション型モデルでいうならば、上位プランを設定できるでしょう。
もう少し事業の範囲を広く考えるならば、既存のお弁当宅配業者向けの、最適配送ルートの自動案内のアプリなども考えられます。
一応、ここでは、上記2つでパラメータを再検討してみます。
出前館のような別の配達サービス込みで配達員を10,000人と仮定します。
配達員向けアプリ事業規模
①個人単位での配達想定
= 配達員7,000人 × アプリ使用率30% × 課金率50% × 課金額300円/月 × 12ヶ月
= 378万円/年
②グループ管理機能有り
= 配達員3,000人 × アプリ使用率50% × 課金率100% × 課金額500円/月 × 12ヶ月
= 900万円/年
① + ② = 1,278万円/年
これでも、事業規模は小さいと言わざるをえません。
ただでさえ配送単価が低いこのビジネスで、そこまで有料課金額を増やせるとは思えません。
(更に10倍の値段でも使いたくなるような神アプリが開発できるなら別ですが。)
配達員の人数が仮に10倍の10万人だったとしても、ようやく年間1億円の売上高です。
まとめ
こうしてみた時に、ウーバーイーツの配達員向けアプリ開発は、法人レベルでは割に合わないと結論付けられます。
まず大前提として、出前館などの別の配達サービスにも対応できることが必要です。
加えて、課金額を増やせる、上記プランの設計も必須です。
それでも、小規模事業者の売上高レベルです。
仮に取り組むとしたら、ウーバーイーツの配達員が複数人所属するグループで、他の配達員やグループでも使えるようなアプリを開発し、業務効率化も図るし、自分たちの収益の足しにもするようなイメージでしょう。
これでしたら、かなり現実味を帯びてきます。
配達のノウハウや困りごとをよく知っている配達員当事者がアプリ開発に取り組むのは、一考の価値があるかもしれません。
食事配達の市場規模は年々増加していくと考えられるので、先駆的に開発できれば、結構な収益基盤になるでしょう。
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