オフショア開発を成功させる方法~コミュニケーションの重要性~

経営企画

日本のエンジニア人材の枯渇は深刻なままであり、採用コストも人件費も非常に高く推移しています。
そこで話題として出るのがオフショア開発。
ここでは、オフショア開発についての基本的な点を解説します。
ようは、しっかりとコミュニケーションをとりましょう、という話です。

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オフショア開発とは

オフショア開発とは、システム開発などの業務を、海外に委託することを言います。
この場合の海外とは、海外の別法人であったり、海外に存在する自社グループ法人である場合があります。
切り出して委託する業務としては、製造工程、テスト工程である場合が一般的です。

日本においては主に2つの目的をもって、オフショア開発の検討が行われます。
1つ目が、コスト面で、人件費が比較的安い中国やベトナム、インドなどのを委託先として選定することによって、大幅に人件費を削減することが可能になります。
2つ目が、日本のエンジニア不足の深刻さからで、教育水準が高く、人口も多い地域を選定すれば、このエンジニア不足を解消する手段となりえます。

他にも、ラボ型開発と呼ばれる手法をとり優秀な人材を低価格で確保したり、人件費が安いことを逆手にとって日本で開発するよりも高品質なシステム開発体制を構築することなどを目的とする場合もあります。

委託先として多いのが、上記であげた国の内、特に「ベトナム」が人気で、話題としてあがりやすく、事例も多く見聞きします。
なぜベトナムが選ばれやすいかと言うと、親日で、日本人の気質に比較的似ていて、英語でのコミュニケーションが取りやすいこと(場合によっては日本語が通じることもある)などがあげられ、そのため、共同での開発プロジェクトが進めやすい、ということです。
他にも、フィリピンやミャンマーも日本人の気質にマッチしやすい国として、候補にあがります。

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失敗事例が多い

では、実際のところはどうなのかと言うと、失敗事例の方が多く見聞きするのが現実です。
なぜ、失敗してしまうのでしょうか?

言語が異なる

言語の差によるコミュニケーション上のミスや、コミュニケーション自体が成立しない、薄い、という話は、もっともよく聞く事例です。
せめて英語であればまだ良いのですが、現地の言語でないとスムーズに受け入れられない状況もあり、この場合、非常にコミュニケーションが厳しくなります。
英語(ないしは現地語)ができるエンジニア、ないしは日本語ができる委託先エンジニアを雇った結果として、コスト削減につながらなかった、という話もあります。
また、物事を図表でまとめて整理して考えるのが不得手であったりもするので、コミュニケーションにおける工夫がなかなか実らないという事例も見聞きします。

文化が異なる

親日で、気質が比較的似ているとはいえ、異なる国・文化の人たちだということを忘れてしまったパターンは失敗事例の一つとして、良く見聞きします。

日本人よりは時間にルーズですし、要件や仕様は英語でのやり取りの場合が多いですが、阿吽の呼吸は通用しないので、行間に書かれている真意を汲み取ることは基本しません。
書いていないことは全く期待できないため、出来上がってきた成果物を見た結果、期待と全く異なるものであったという話は珍しくないのです。

委託先が日本側に譲歩する場合もあり、真意が伝わらないままに委託先が勝手に作業をしたり仕様を変えてしまったりして、二重コストがかかってしまうことも珍しくありません。
この場合、委託先は委託先で、善意で良かれと思ってやっている場合も実際に多く、揉める話は多いです。

教育水準が高いとはいえ、技術力不足による品質上の問題の発生や、文化の違いによる作りこみの甘さが障害となる場合もあります。

また、委託先の文化や生活スタイルについて指摘した結果として、プライドを傷つけてしまい、決定的な亀裂が生じてしまった話も見聞きします。

こういった諸問題を解決するためハイレイヤー人材を選定したり、異なる言語・文化を乗り越えられる運用体制を敷いた結果、結局の所、日本で開発するよりコストが高くなってしまった、という話は非常に多く見聞きする失敗事例です。

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どうすれば成功させられるか?

上述の通り失敗の事例を見てきましたが、発注者サイドの管理不足やグローバルレベルでのプロジェクトマネジメントの力量不足が根本的な問題というわけです。
業務を委託しているからといって、全体の進捗管理に関して丸投げは決してやってはいけません。
プロジェクトマネジメントについては必ずグリップし、開発のブラックボックス化が進まないようにしていきましょう。

オフショア開発を成功させるための方法は、至極シンプルなことでして、それはチームビルディングをしっかりと行いましょう、「コミュニケーション」を取りましょう、という話です。

作業内容の確認や進捗管理にがっつり入り込む、場合によっては現地に赴くことも必要です。
委託先のメンバーがどういう人たちで、どんなスキル感、考え方を持っているのかを知るのは、プロジェクトマネジメント上、非常に有効に機能します。
なお、現地に赴くのは、存外に歓迎されます。
(想像してみれば当たり前ですが、自分たちのお客様が、自分たちに興味をもって話を聞きに来てくれたら、普通に嬉しいですよね。)

こちらの企業では、CTOがベトナムに引っ越して、一緒に開発するなど、思い切りのある取り組みをしています。
かなり現地に入り込んで、現地の方々と同化して一体となって開発をしています。
ここまでのエネルギー感があれば、成功するのも当然であろうというイメージが強く湧くでしょう。
つまり、相手にこちらへの歩み寄りを強くは求めず、こちらから先方に歩み寄り、どれだけ同化するような努力をしたか、ということです。

ブリッジエンジニアと呼ばれる、コミュニケーションの仲介ができるエンジニアを採用することも有効に機能します。
委託先として、日本語の理解力が高い方がいる所を選定したり、オフショア開発を成功させた企業のエンジニアを採用し、ノウハウを社内に取り込むことなどが方法としてあげられます。
阿吽の呼吸を期待せずに、きちんとロジカルに説明していけば、最終的にはうまくコミュニケーションがとれるはずです。

委託先のエンジニアを日本に招いて、自社の取り組みを体験してもらったり、実現したいことの認識を直接すりあわせたりする事例も成功例として聞きます。
問題意識の共有を行うことは、異なる文化だからこそ、有効に機能します。

責任と要求水準についてしっかりと理解してもらうことも重要です。
不安な部分や、開発における要所部分については、コードを送ってもらい、定期的に確認をしていくなどの管理は必要でしょう。
成果物に不備がある場合に、発生するコミュニケーションを嫌い、発注者側で修正をしてしまい、差し戻しやクレームなどは入れなかった、というパターンも良くなく、どこまでの品質を要求しているのか、という点を示し続けることは必須です。

まとめ

ここまで見てわかると思いますが、オフショア開発に取り組む場合は、新規事業を行うくらいのつもりで、かなり気合を入れて、エネルギーを投入して行うことが必要です。
コスト削減や人材不足、という点だけに着目して行うと、失敗をする確率が非常に高まります。

相手も同じ人間ですので、しっかりと正しいコミュニケーションをとっていけば、オフショア開発の成功確率は高まっていきます。

また最後に、中国やベトナム、インドの人件費も年々高騰している点は留意すべきです。
つまり、コスト削減に取り組んでいたはずが、そのメリットがいつかは必ず失われる、ということです。
オフショア開発を行う場合は、別の地域でのオフショア開発に移し替えられるように発注者側でそのノウハウを蓄積していくことが必要でしょう。

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