緊急事態宣言解除後の経済シナリオを考えてみる~アフターコロナの経済~

経営企画

新型コロナウイルスの新規感染者数も幸いのことに、減少に転じてきました。
2020年5月6日に緊急事態が解除されるか延長されるかが注目されています。
ここで、5月6日後、経済がどのように動いていくか、そのシナリオを考えてみます。

ベストシナリオ、ノーマルシナリオ、ワーストシナリオの3ケースです。
ベストシナリオで推移すると良いのですが、あまり期待はできそうにありません。

なお、こちらの記事にもある通り、感染そのものはこのGW明け頃には一定の落ち着きを見せるものと推測しています。

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ベストシナリオ

ベストシナリオの起点としては、緊急事態宣言が5月6日に全面的とは言わないにせよ、大部分が解除されることにあるでしょう。
感染も一定程度の落ち着きを見せ始めます。

世の中的には、解除されたからすぐに元の生活に戻る、というようなことは無いでしょう。
リモートワークに移行した企業も、何となく安全が確認されるまでリモートワークを継続する、という選択を取るケースがまあまあな数出てくると思われます。
つまり、今の外出ムードの状況をずるずると続けながら、少しずつ状況が改善していくような動きになると推測されます。

2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の時は、半年くらい、影響が継続したことを踏まえると、2020年の秋口までは、景気が落ち込んだ状況が続きます。
日本では、例年より多くの倒産企業数、経済的死者数(自殺者数)が発生します。

これがベストシナリオです。

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ノーマルシナリオ

ノーマルシナリオでは、緊急事態宣言が5月6日に一部解除されるものの、全体としては延長という判断に落ち着く、というものです。
場合によっては、一部を除き概ね解除されるものの、継続して外出自粛・リモートワーク推奨が出される、というケースも考えられます。

延長の可能性が大きそうですけどね。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が5月6日に期限を迎える中、自民党の世耕参院幹事長は国民生活や企業への影響を考え、宣言の延長について今週中にも判断すべきという考えを示しました。

TBSnews 自民・世耕参院幹事長、緊急事態宣言の延長“今週中に判断を” 2020年4月28日

日本医師会の釜萢敏常任理事は28日に開いた記者会見で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う政府の緊急事態宣言について、5月6日を期限として解除することは「難しい」と述べた。特定の都道府県だけ解除すると他の地域からの「人の移動を引き起こすことが懸念される」と指摘し、全国で延長する可能性が高いとの見方も示した。

日本経済新聞 緊急事態宣言の解除「難しい」 日医、全国延長言及 2020年4月28日

この場合も、一定程度は外出する人が増えるものの、元の生活に戻る、ということは無いでしょう。
巣ごもり消費が継続して好調に推移するでしょう。
リモートワークを導入した企業の多くは、そのまま継続するでしょう。

飲食店をはじめ、多くのリアル店舗が根をあげ始めます。
なんとか、4月を乗り切ったリアル店舗も、5月6月、、、と苦境が続き、この先半年で爆発的に倒産数が増加します。
あわせて、経済的死者数(自殺者数)も大幅に増加するでしょう。
場合によっては、新型コロナウイルスによる死者数よりも多くなる可能性もあります。

そして更に追い打ちをかけるように、2020年冬頃から再度、新型コロナウイルスの感染者が増え始めます。
1918年にはじまったスペイン風邪では、3回の波があり、結局のところ収束まで3年がかかりました。
本当の意味での第2波が訪れるのです。
(感染をして回復しても、必ずしも抗体を獲得できるわけではない。加えて、そもそもとして感染者数が少なく、集団免疫効果が少ないので、高い確率で第2波が来ると想定される。)

再び外出自粛の風潮、場合によっては緊急事態宣言も出て、何とか2020年を乗り切った企業に大ダメージを与えます。
当然、2021年のオリンピックの開催も現実的で無くなってきます。
少なくとも、強行しても期待する経済効果を生むことはないでしょう。

なお、既に開催の可能性について、否定的な意見が出ています。

AP通信は10日(日本時間11日)、「組織委員会の事務総長、2021年の五輪開催さえも疑わしいと示唆」の見出しで報道。9日、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の武藤事務総長は、新型コロナウイルス流行の影響で東京五輪のさらなる延期や中止を想定する必要性について問われ、「いつ終息するのかは誰も明確に言えない」と語った。

中日スポーツ 「組織委事務総長が2021年の五輪開催は保証できないと語る」米メディアが報道 2020年4月11日

この頃には、有効な治療薬や、ワクチンの開発に目途が立つ可能性もあるので、感染症そのものへの脅威は2021年で落ち着くと、一定の期待が持てます。

2021年一杯まで経済不況が続き、事態がようやく収束します。
非常に多くの倒産数・破産者数と経済的死者数(自殺者数)が発生し、感染症から来る間接的な影響がまき散らせます。
数字を見ず感情的に怖がる人たちと、統計的・科学的に物事を見て感染症そのものよりも経済的ダメージの方が大きいとわかっている人たちの間で、埋めがたい溝も生まれるでしょう。

これがノーマルシナリオです。
可能性として高いと考えているため、少なくともノーマルシナリオ前提で企業の経営者・経営企画担当者は事業計画を見ておいた方が良いです。
直近でIPOを考えているベンチャー企業も2021年はきついでしょう。
2022年にまで伸ばす前提で考えた方が良いです。

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ワーストシナリオ

上述した通り、1918年のスペイン風邪のように、感染拡大が3回発生します。
新型コロナウイルスの感染影響が3年ほど続くのです。
日本においては1918年の第1波よりも、1919年1920年の第2波第3波の方が死者数が大きいという結果になりました。

2020年の外出自粛に辟易とした人々が油断し、2021年の再拡大時には普段通りの生活を続けます。
開発が追い付いたという治療薬やワクチンが、想定よりも効果を発揮しません。
感染症による直接的な死者が2020年よりも多く発生します。

世界的にも同様の動きが発生し、各国で社会不安が継続します。
経済も落ち込み、各国が景気刺激策を乱発します。
具体的には貨幣乱造が考えられ、これによりインフレが世界的に発生します。
アメリカをはじめ、欧米の経済が大幅に落ち込むでしょう。
1929年の世界恐慌を上回る、第二次世界恐慌への突入です。
(景気刺激は必要ですが、やりすぎるとかえって経済にダメージを与えます。)

また、北朝鮮の情勢も不安です。
最悪、北朝鮮の核がロシアないしは中国経由で中東やアフリカ地域に流れることも予想されます。
そうすると起きるのが、欧州・中東あたりでのテロリズムの頻発や、紛争・戦争の発生です。
世界的には経済が落ち込むものの、軍事需要の発生により中国が経済的に台頭します。
アメリカに代わり、中国が世界の経済リーダーになっていく可能性があります。
このワーストシナリオの中でも最悪ルートを辿った場合、第三次世界大戦が勃発する可能性も否定できません。

なお、常々不安視されていた通り、日本ではハイパーインフレが発生します。
日本の経済圏はズタボロになり、倒産企業・破産者の爆発的増加と、感染症による直接死者数を大幅に上回る経済的死者数(自殺者数)が出てしまうでしょう。

これがワーストシナリオです。

(追記)金正恩氏の動向が不透明でしたが、その姿を各種報道の通り見せたようです。
何が真実で、何が誤りなのか、得られる情報からは判断がつかないですが、報道が真実ならば、各流出のリスクは下がったと見て良いでしょう。

ワーストを想定して準備をしよう

流石にワーストシナリオに突入する、ということは起きないものと信じたいです。
しかし、経営者は楽観的に見ていてはいけません。
ワーストシナリオが起きる前提で、できる対策は打っておいた方が良いでしょう。

  • 早々にリストラ策を実行し、事業体をスリムにする
  • 業務のIT化を進め、外出自粛が長期化、もしくは再度発生した場合でも業務継続ができるようにする
  • 固定費を抑制し、売上減少への対応力を高める
  • 金利スワップなどリスクヘッジに対応、金利の大幅増加に備える
  • 既存プレイヤーが凋落し、新規ビジネスのチャンスが増える、時代の変化に注視する

感染自体が落ち着いたとしても、100%間違いなく、経済影響は長引きます。
長期戦前提で、この先1年2年を乗り切りましょう。

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