自社株買いはやめた方が良い理由(社員側視点)

人事・総務

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業の株価が下落しています。
自社の株式を持株会制度を活用したり、個人的に買っている人は多いでしょう。
そして、自社株買いのリスクが実現し、損をしている人も多いでしょう。
ここでは、自社株買いはやめた方が良い理由を、従業員視点で解説していきます。

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従業員による自社株買いについて

従業員持株制度」というものがあります。
これは、従業員が自分の給料の一部を拠出し、参加している従業員で共同して自社株を購入(買い付け)する制度です。
給与天引きで払う場合が一般的ですね。
一般的には、5%~15%程度の補助があり、福利厚生として位置付けている上場会社が多く存在します。
(この補助のことを「奨励金」と一般的に呼びますね。)

また、一般論として、自分が勤めている会社の株式を(上場会社であれば)購入して資産形成につなげる、ということも当然可能です。

これらを総称して自社株買いと言います。

果たして、これらは得なのでしょうか?それともやらない方が良いのでしょうか?
結論を言うと、自社株買いはやらない方が良いです。

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持株会制度は企業側にとってメリットが大きい

先に、持株会制度について解説です。
自社株買いは、企業が設定する制度では無く、従業員個人で行うものなので、省きます。

企業側のメリット

企業がよく従業員持株会の制度を導入する理由ですが、結論、企業側にとってメリットが大きいからです。

  • 安定株主が増加する(ので、株主総会の運営が楽になる、買収抑止につながる)
  • 従業員のモチベーション向上につながる(効果はよく疑問視されているが)
  • 退職金やボーナスを出せない(出さない)ことへの説明になる

この通り、安定株主の確保、従業員へのインセンティブ、もろもろ報酬設定に対する弁明ができるため、非常に都合が良いのです。
奨励金部分の費用負担と、精々が持株会制度の運用コストがかかる位ですからね。
実際、奨励金付きの持株会制度を導入している上場会社は、約97%ほどになります(東京証券取引所より)。

では、従業員にとってはどうでしょうか?

従業員側のメリット

これも簡単に説明ができます。

  • 少額から始められる
  • 天引きされ自動で積みあがっていくので簡単
  • 奨励金が付きお得感がある

日本人は一般的に株式投資が苦手な方が多いのですが、従業員持株会制度はこの通り、非常に簡単に負担が少なく始められ、続けられるのです。

これだけ聞くと、やった方が良いように思えますね。

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従業員にとって、自社株買いをやらない方が良い理由

自社株買いはリスクが集中する

自社株買いをやらない方が良い理由は、端的に言うと、リスクが集中するからです。

お勤めの会社の業績が悪くなる場合を考えてみましょう。

この場合、本来もらえるはずのボーナスが減り、自社株の価値も減ります(資産が減る)。
つまり、ダブルパンチのダメージを受けることになります。

最悪倒産するとどうなるでしょうか?

仕事もなくなり、給料も途絶え、当然ボーナスも無くなり、もしかしたら将来もらえたかもしれない退職金も無くなります。
そして、今まで積み上げてきた自社株の価値も無くなります。

会社に勤める、ということ自体が、自分の人生を会社にベット(チップを用いて賭けをすること)することです。
その会社に勤める、ということに加えて、自身の財産を自社株につぎ込むことは、ベットの上乗せです。
もちろん、会社の業績が向上するのならば、ダブルで良い結果になるのですが、マイナスの振れ幅が非常に大きい。

これが自社株買いをすることにより起きるリスクの集中です。

それでも株式投資をしたいのなら

もし、株式投資をするならば、競合他社の株を買う方が良いでしょう。
さらにいうと、海外の競合株を買う方が、リスクヘッジという観点では良いです。
よく理解している業界のはずなので、他業界の株を買うよりかは、選別も容易なはずです。

持株会の場合の補足

なお、従業員持株会制度で自社株買いを行っている場合は、コントロール可能領域が少ない、というリスクも加わります。
持株会は、財産の処分(現金化)に制限があると共に、仮に脱退した場合、再入会が面倒であったりできないこともあります。
リスクが集中するのみならず、コントロールが難しいことも加わるので、リスク管理の観点では最悪です。

最後に

以上、自社株買いをやらない方が良い理由を解説してきました。

自社株買いは、見方を変えれば良い場合も当然あります。
しかし、上記のリスクやデメリットはしっかりと理解した上で実行すべきでしょう。

企業側も、メリットはそうだとして、従業員持株会制度が本当に従業員のためになっているのか?はよく再検討を行った方が良いでしょう。
取り組みを継続するならば、福利厚生という装いではなく、純粋に従業員の財産形成のオプションの提供、というスタンスの方が好感が持てます。

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