簿記や会計、というビジネス・ジャンルが存在します。
多くの諸先輩方が「学んだ方が良い」という一方で、苦手意識を持っている人も多い領域です。
結局「経理が学ぶ領域」という状態になってしまっています。
ここれでは、会計は経理だけのものではないよ、と題して、その意味を解説していきます。
「〇〇に強い」とはどういう状況?
さて、唐突ですが、「〇〇に強い」とはどういう状況でしょうか?
と言われても困ると思うので、この〇〇に「英語」をあてはめて見ます。
「英語に強い」とは?
それでは、「英語に強い」とは、どういう状況でしょうか?どのようなスキルを身に着けていたら「英語に強い」と言えるでしょうか?
ちょっと考えてみて下さい。
はい、考えてみたでしょうか?
それとも、すっとスクロールしたでしょうか?
それはともかくとして、「英語に強い」を分解すると次のようになると例示できます。
- 読める
- 書ける
- 聴ける
- 話せる
ようは、読み書き会話の要素をいずれか、ないしは全部できて「英語に強い」ということですね。
その水準感を脇において考えれば、とりあえず大きな反論は無いかと思います。
それでは、今度は〇〇に「会計」をはめてみましょう。
「会計に強い」とは?
「会計に強い」という状況はどのようなものでしょうか?
さきほどの英語の例にならって、考えてみて下さい。
どのような使用場面に分解できるでしょうか?
スキル的にはどのような切り分けができるでしょうか?
もったいぶってもあれなので、早速、ここでの回答を示します。
「会計に強い」は次の3つに分解することができます。
- 読む
- 活かす
- 作る
これだけだとわかり辛いと思うので、図解で解説します。
まず、会計の「読む」スキル。
これは、決算書や財務資料の読解力です。
上場会社はIR情報として、各種決算資料を公開しています。
こういった資料を、ざっくりでも良いので、読むことができるか?
雰囲気として、会社がどういう状況にあるのかを掴むことができるか?という読解力です。
自社内の管理会計資料を読むスキルもこれにあたります。
文字通り「読む」だけのスキルなので、専門性は低く、慣れの問題でクリアできるレベル感です。
次に、「活かす」スキル。
これは、経営分析、財務といった領域で使うスキルになります。
仕事をしていれば、会社の状態を集計された数字を活用して、経営の判断や、タスクの水準向上に繋げるかと思います。
こういった管理会計のスキルがこれに該当します。
また、管理会計の数字を詳細に分析して、アクションの改善につなげる経営分析のスキルや、会社の財政状態を適切に把握し外部からお金を調達するスキルもここに含まれます。
ようは、そこにある数字を活用して、仕事に反映させるためにスキルですね。
最後に、「作る」スキル。
これは、会社の状態を日々集計していくスキルです。
経理が行うような簿記、会計がこれに該当します。
専門性が高い領域になるので、確かな知識と経験が必要になります。
会計は経理でしか有効活用できないのか?
こうして書くと、仕事をする上で必要なのは、「活かす」スキルなんだな!と思われるかもしれません。
そして、会計の「作る」スキルは経理にとって有効で、それ以外の部署には必要ないスキルなのかも?とも思うかもしれません。
この考え自体は、概ねは間違ってはいません。概ねは、です。
しかし考えてみて下さい。
みなさんも、日々の仕事の中でKPIの集計を行ったりしませんか?
今期のOKRをどう設定しようか考えたりしませんか?
ここまで書けばわかるかと思いますが、「作る」スキルは経理だけのものではなく、普遍的なビジネス・スキルです。
何か問題が発生した時や、改善したい事象が出てきた時、(まともな人なら)起きていることを冷静に把握し分析を行うはずです。
そして、その分析は数字ベースで実施するはずです(と期待を込めて書く)。
分析の結果として設定する、改善の結果を示すファクターとしてKPIも見ていくはずで、これも数字で表されているはずです。
つまり、何か乗り越えなければいけない問題を数字で捉え、そして改善進捗も数字で管理する、ということです。
私はこれを、立派な会計のスキルだと考えます。
是非、会計を経理だけのものと思わず、そして苦手意識を持たずに勉強をしてみてください。
仕事の展望が開けるはずですし、できるようになると面白いですよ。
本記事は管理会計基礎講座というテーマで連載を考えています。
次回以降は、何回かにわけて、会社にとって重要な会計要素を読み解く基礎として、BS/PL/CFについて、管理会計的観点で解説していきます。
次回はこちらです。
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