「安楽早正」で改善を

生産性・業務効率化

「改善」は、仕事であろうがプライベートであろう関係無く、多くの人の関心事項です。
今回は、この改善について一つの切り口、「安楽早正」について考えてみます。

概念としての考え方を前半に、具体例を後半に提示します。

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「安楽早正」とは

安楽早正(あんらくそうせい)とは、「もっと安く(安全に)、もっと楽に(楽しく)、もっと早く、もっと正しく出来ないか」という意味の言葉です。
同じ成果を出すのならば、安楽早正に越したことはありません。

そして、この安楽早正は改善のための一つの切り口になり得ます。

「安」

「安」は、もっと安く出来ないか?という思考です。

高額な外注業者。
使っている消耗品。
導入しているシステム類。

仕事をしていれば、身の回りには多くのコストが存在します。

漠然と仕事をするのではなく、この身の回りのコストについて考え、もっと安く出来ないか?という切り口で改善をするのです。

「もっとコストダウン出来ないか」
「もっと安いやり方は他にないか」
「その仕事を少なくすることは出来ないか」
「その仕事そのものを全部やめられないか」

こう言った問いかけしてみましょう。

なお、この「安」は安全の頭文字でもあるので、「もっと安全なやり方は無いか?」という捉えられ方もされます。
主に、工場のような製造や工事の現場などでの使われ方ですね。

「楽」

「楽」は、もっと楽に出来ないか?という思考です。

同じ成果に至れるのであれば、プロセスはシンプル、簡単な方が良いに決まっています。
シンプル・簡単であれば、ミスも少なくでき、出戻り仕事も減るでしょう。

「判断を楽に出来ないか」
「誰にもできるように出来ないか」

こう言った問いかけが重要です。

また、この「楽」を「楽しく」と捉える考え方もあります。
「もっと楽しく出来ないか」という事ですね。

同じ仕事をするのであれば、当然に楽しい方が、これもまた良いに決まっているので、この捉え方も重要でしょう。

「早」

「早」は、もっと早く出来ないか?という思考です。

年々、一人の従業員がこなさなければいけない業務量は増えている、と言われています。
つまり、業務のスピードアップに支えられているのですね。

「もっと短い時間で出来ないか」
「もっとスピードを上げられないか」
「誰もが早く出来ないか」

などの問いかけをしてみましょう。

「正」

最後の「正」は、もっと正しくできないか?という思考です。

「安」とも一部通ずる所があるのですが、正しく仕事ができないと、誤った箇所の修正、出戻り仕事が発生します。
ようは手間が増えるのです。

単純に手間が増えるだけならばまだ良いのですが、「やり直し」は通常、面白くなく、メンタルにくるものがあります。
予定外のミスが発生したのならば、業務全体の計画に影響を与える可能性もあり得ます。

「もっと正確に出来ないか」
「もっと簡単に出来ないか」
「誰もが間違えずにやる方法は無いか」

手間をかけずもっと正しく出来ないか?という切り口で改善に取り組んでみましょう。

なお、この「正」を不正が起きづらい業務設計に、という切り口で捉える場合もあります。
コンプライアンスは今の時代、当たり前といってよい話ですので、この視点も大事ですね。

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事例

上の話は抽象性が高いので、具体例を3つ程あげてみます。

空港のクレーム「荷物の待ち時間が長い」を減らすには?

飛行機に乗った事がある方ならイメージがつくと思うのですが、荷物の待ち時間って非常に長いと感じませんか?
実際、空港の現場では、この待ち時間に対してクレームが度々発生するそうです。

このクレームを減らすにはどのような施策をとれば良いでしょうか?

ちょっとだけ考えてみてください。

答えは「荷物の受取り場所を飛行機の降機場所から遠くする」です。

人間は不思議な生き物で、ただじっと待つよりも、歩いている方が、イライラしないそうです。
同じ時間がかかるのに、です。

正に、安く(事実上コストがかかっていない)、楽に(負担は同じ)、早く(すぐにでも実行できる)、正しく(誰でも間違えずに実行できる)できる施策です。

工場トラブル「商品荷詰めミス」を減らすには?

次は工場です。

商品を箱に詰める場面を考えてみてください。

ある工場では、製品を箱に自動で詰めるラインが設置されていました。
このラインが問題で、度々、製品が入っていない「空き容器」が発生するトラブルが起きていました。
なんとか改善できないか?とプロジェクトが組成され、多額の費用を投じて重量を検知し、「空き容器」が発生した場合はラインが自動的にストップ、人の手により「空き容器」を除去できる仕組みが導入されました。
その後、この商品における「空き容器」クレームは全く無くなり、プロジェクトは成功か!と思われました。
しかし、実際に調べてみたら、この工場に導入された「空き容器」検出の直近の検知件数は、「0」だったとの事。
どういうことでしょうか?

ちょっとだけ考えてみてください。

答えは「何度もラインが止まり面倒だったので、「空き容器」検出器の前に扇風機を設置して、「空き容器」を吹き飛ばすようにした」です。

良いですね。
これも、(本来なら)安くでき、扇風機を置くだけでできラインが止まる手間も減り、置くだけなので早く実行でき、高い精度で成果を導けます。

トイレ清掃の手間「飛び散り」を減らすには?

最後はトイレ清掃の「飛び散り」問題です。
男性の方は、よくわかりますよね?

ある清掃業者やトイレを設置している方々が、これに悩み、「飛び散り」を減らせないか考えました。
そして、クリティカルに「飛び散り」を減らせるアイデアが出てきて実際に成果が出ました。

それは何でしょうか?
ちょっとだけ考えてみてください。

答えは「小便器に“的(まと)”を貼り付ける」です。

男という生き物は、何歳になっても子どもなのか、“的(まと)”があると狙いたくなるものです。
その的を狙って用を足すので、「飛び散り」が激減した、というのです。

これも、安く楽に早く、そして文字通り「正確」に的にあたった例ですね。


以上、「安楽早正」の切り口で改善について考えてみました。

仕事というと真面目なもので、「怠ける」という事が許されないような感覚を持っている方もいるかもしれないのですが、同じ成果を出せるのであれば、安く安全に楽に楽しく早く正しく不正が起きないやり方ができるならば、そちらの方が当然に良いと思いませんか?

「安楽早正」で改善し、本質的な所にフォーカスできるよう、取り組んでみてください。

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